週刊海外テックWatch

オープンウエイトは審査対象外 米AI安全審査に残る奇妙な線引き

 米政府が進めるAIモデルの安全審査体制が動き出そうとしている。開発企業が自発的に参加し、公開前のフロンティアモデルを政府に提出して審査を受ける枠組みだ。報道によると、クローズドソースの米国フロンティアAIモデルを審査対象とする一方、中国製オープンウエイトモデルは対象外にするという。なぜ、この奇妙な方針が進められているのだろう。

新モデルへの政府アクセスを、公開前30日までに自主提供

 ホワイトハウスは8月4日、Anthropic、OpenAI、Google、Metaなど主要AI企業の幹部を招き、新たな「AI安全フレームワーク」について協議した。New York Timesなど複数のメディアによると、柱となるのはフロンティアモデルの一般公開30日前に政府へ早期アクセスを提供するという仕組みだ。協議内容や結果は非公開だった。

 ここに至るまで、米政府のAI安全審査を巡る方針は二転三転してきた。

 5月21日、AI開発企業のフロンティアモデル安全審査を定める大統領令への署名が、直前になって突然延期された。Washington Postによると、Elon Musk氏、Mark Zuckerberg氏、政権顧問のDavid Sacks氏らが反対したためだという。大統領本人は「気に入らない部分があった。だから延期した」と記者団に語った。

 実際に大統領令が署名されたのは6月2日で、当初案から大幅に縮小した内容となった。当初は開発企業に対して、フロンティアモデルは提供の90日前に政府に提出することを求めていたが、最終的には最大30日間に短縮された。

 さらに「本条項のいかなる内容も、義務的な政府ライセンス、事前承認、許可要件の創設を認めるものと解釈してはならない」と明記し、義務的なライセンス制を否定する内容になった。

 法律事務所Akin Gumpは、連邦政府と先端AI企業との関係が「自主的な枠組み」であることを明確にしたと分析している。

 米国立標準技術研究所(NIST)傘下のAI標準・イノベーションセンター(CAISI)は5月初め、Google DeepMind、Microsoft、xAIと配備前評価契約を締結したと発表していた。8月の協議で、枠組みの具体化に向けた調整が進んだものだと言える。

 では、この非公開の協議では何が話し合われていたのか。