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東芝、財務会計・BIシステムなどをOracle Exadata Database Serviceに移行

 日本オラクル株式会社は23日、株式会社東芝が、日本・アジアのグループ95社、5万人以上の従業員が利用する標準財務会計システム、BI分析システム、およびその他周辺システムを含む基幹システム基盤に、データベースマシン「Oracle Exadata」をパブリッククラウドサービスとして利用する「Oracle Exadata Database Service」を採用したと発表した。

 今回移行された財務会計システムとBI分析システムでは、従来、データベース基盤としてOracle Databaseを他社ハードウェア上に、またBI分析基盤としてBIツール「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」をOracle Exadata上に構築し、オンプレミスで運用されていた。しかし、ハードウェアの保守期限切れや老朽化に伴い、新たな環境への移行が求められていたという。

 さらにデータセンターの閉鎖計画も決まったことから、アプリケーションサーバー7台とデータベースサーバー4台、あわせて約70TBのデータをかかえる財務会計システムと、アプリケーションサーバー10台とデータベースサーバー8台をあわせて、60TBのデータを抱えてる分析システムの本番環境に加え、ディザスタリカバリ(DR)環境、開発・検証環境を含む新たな環境の構築と移行を、限られた期間内に、かつ経理部門をはじめとする5万人以上のユーザーへ影響を及ぼすことなく行うことも求められていたとのこと。

 一方で東芝では、90%以上のサーバーをクラウド化する方針を示しており、システムのクラウド移行を進めていることから、クラウドファーストでの検討を進め、オンプレミスで利用していたOracle Exadataの実績と、Oracle Database、Oracle Business Intelligence Enterprise Editionとの親和性を考慮。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の一サービスである、Oracle Exadata Database Serviceへの移行検証を開始した。

 そして、日本オラクルのコンサルティングサービス部門の支援のもと、約2カ月にわたる移行アセスメントを経て、OCIが最小のリスクで、最も低コストでかつ期限内に移行可能であることを確認し、2020年8月にOCIへの移行を決定。移行作業は、日本オラクルのコンサルティングサービス部門と東芝デジタルソリューションズ株式会社の支援のもと、東芝インフォメーションシステムズ株式会社によって実施された。

 東芝では従来、大阪のデータセンターに本番環境、東京のデータセンターにDR環境を構築していたが、OCI上でも大阪リージョンを本番環境、東京リージョンをDR環境と開発・検証環境として活用し、計50環境の構築・移行が実施されている。移行にあたっては、OCI上での環境構築、移行リハーサルなどの準備作業を経て、2021年5月から移行を開始し、9月に移行を完了。10月から稼働を開始した。

 この移行後、東芝では、システムの利用状況に応じて無停止で柔軟にリソースを調整可能になったほか、性能バランスの最適化によって、安定性を維持しながら運用負荷を軽減し、運用コストも10%削減された。また性能が向上したため、3時間ごとに行っているBI分析処理の完了率も向上したとのことだ。

 なお、Oracle Cloud東京・大阪リージョンのデータベースをOracle Data Guardによって自動で同期する仕組みも導入され、基幹システムに不可欠な高可用性とデータ保護も実現されている。