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SMBC日興証券、営業情報システム基盤と災害復旧環境をOracle Cloud Infrastructure上に移行

 日本オラクル株式会社は2日、SMBC日興証券株式会社が、同社の全社員約1万人が利用する情報システム基盤を、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上に移行したことを発表した。オンプレミスの「Oracle Exadata」で稼働していた環境を、「Oracle Exadata Database Service」を活用してクラウド化することで、ユーザー数やデータ量の増加に対応可能な柔軟性と拡張性を備えたシステムに刷新した。また、東京、大阪リージョンを活用した災害復旧(DR)兼検証環境も新たに構築しながら、運用コストを大幅に低減しているという。

 SMBC日興証券は、データセンター利用とIT運用コストの最適化を図るため、システムの集約、統合およびクラウド化を推進している。システムの単純更改ではなく、セキュリティ強化やシステム拡張などに人材やコストなどのITリソースをシフトする方針のもと、システムの最新化を図っている。

 その一環として、全社員約1万人が利用する営業情報システムを、今後のユーザー数やデータ量の増加に対応可能なシステムに刷新するため、クラウド化を検討していた。従前環境のOracle Exadataと同等の性能、ユーザーへの影響を極小化した確実かつ短期間での移行、可用性の向上に加え、BCP対策強化のためのDR環境と定期的なバージョンアップを推進する検証環境が新たに求められていた。

 SMBC日興証券は、複数のクラウドサービスを検討した結果、高い性能と安定性、移行の容易性、東京、大阪の2リージョンでの利用が可能な点を評価し、Oracle Exadata Database Serviceを選定した。

 システム移行は、日興システムソリューションズ株式会社が、東京リージョンでの本番環境と大阪リージョンでのDR/検証環境の設計、構築を行った。アクセンチュア株式会社が、このシステム移行全体の戦略策定、プロジェクト推進、設計、構築を支援した。また、株式会社NTTデータが提供するパブリッククラウド活用ソリューション「A-gate」の導入により、高度なセキュリティガバナンスおよび情報漏えいを防ぐセキュリティ対策を実現した。

 データベース移行は、日本オラクルのコンサルティング部門が支援し、従前システムから約40TBのデータ移行を短い停止時間で実行するため、「OCI GoldenGate」を活用した。クラウド化された本番環境では、従前環境と同等以上の性能を実現しながら、柔軟なリソース変動が可能になり、データ量やユーザー数の増加に伴うシステム拡張も迅速に行えるようになった。また、新たなDR/検証環境では、「Oracle Data Guard」で本番環境とのリアルタイムなデータ連携を実現し、可用性を強化している。

 検証環境を活用し、定期的なバージョンアップを行うことで、従来の一斉大規模更改から脱却し、セキュリティ向上も実現している。さらにコスト面でも、今後5年間で2億円程度の運用コスト低減が見込まれているという。

 今後、SMBC日興証券では、基幹システムのモダナイゼーションにもOCIを活用していく予定。適材適所での環境選択のもと、パブリッククラウドやプライベートクラウドも活用した次世代システム基盤を検討するとしている。