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ファンケル、顧客データの分析基盤を「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Analytics Server」に移行

 日本オラクル株式会社は7日、株式会社ファンケルが、カスタマーリレーション強化や顧客満足度向上実現に向け、データウェアハウス基盤を「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で刷新したと発表した。

 ファンケルでは、2014年から「FIT(FANCL Information Technology)」プロジェクトとして、経営戦略をITで支える基盤の整備を進めている。2021年4月から開始した第3期中期経営計画「『前進2023』~逆境を超えて未来へ~」では、マルチチャネル化を進化させたファンケルならではのOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)の取り組みを推進し、個々の顧客に最適なアプローチを実現するIT基幹システムを実現する「FIT3」への取り組みを掲げている。

 具体的には、顧客をもっと深く理解し、「ファン化」につなげていくため、購買情報だけでなく購買に至るまでの行動情報や、ファンケルからのアプローチへの反応、どのような情報を提供した顧客がロイヤルカスタマーになったかなど、「顧客を“理解するためのデータ”」を収集し、分析できるシステムへの刷新を図っている。

 ファンケルでは従来、店頭、通信販売、オンライン販売、電話窓口といったチャネルを通じて取得した顧客データや、製品の販売データの管理、分析、可視化、会計レポートなどの各種レポート作成などに利用されるデータウェアハウス基盤を、「Oracle Exadata」「Oracle Business Intelligence」上で構築し、オンプレミス環境で運用していた。

 このデータウェアハウス基盤には、600テーブル、8TBを超える大量のデータが蓄積されており、CRMやマーケティングオートメーション(MA)ツールと連携され、従業員や販売店店長など約350名のアクティブユーザーが日々利用していたことから、ミッションクリティカルなシステムとして位置付けられていた。

 ファンケルは、このデータウェアハウス基盤の刷新において、従来のOracle Exadataと同等以上の性能や安定性に加え、柔軟なリソースの増強、移行の容易性を要件として、複数のクラウド・サービスを比較検討した。その結果、既存アプリケーションや周辺システムとの親和性、短期移行の実現性、BI製品の操作性の維持、ライセンス管理や保守の簡素化を考慮し、OCIを選定したとしている。

 ファンケルは、2021年2月にOCI採用を決定し、Oracle ExadataをOCI上で提供される「Oracle Exadata Database Service」へ、Oracle Business IntelligenceをOCI上に構築した「Oracle Analytics Server」へ移行開始した。日本オラクルのコンサルティングサービス部門の支援のもと、アセスメント、クラウド環境構築、データの段階的な移行を行い、2021年9月にデータウェアハウス基盤のクラウド移行を完了し、稼働を開始している。

 OCIへの移行は、実質1日にも満たないシステム停止時間で行われ、業務への影響が一切ないスムーズなクラウド移行を実現したと説明。これまで、別のハードウェア上で稼働していたOracle ExadataとOracle Business Intelligenceを、OCI上のOracle Exadata Database ServiceとOracle Analytics Serverに移行することで、データウェアハウス基盤全体の性能が向上し、BIツールを利用するユーザーの体感処理速度が向上しているという。

 また、運用面においても、夜間のバッチ処理が約2時間短縮され、営業開始時間までに終了しないという課題を解消。ファンケルでは、OCIのコンソールの操作性も高く評価しており、OCIコンソールから容易に、瞬時にデータベースの拡張やコンピュートリソースの伸縮が行えるため、繁忙期の基幹システムからのデータの取り込み増加にも柔軟に対処し、継続的なデータ量の増加にも柔軟な対応が可能になるとしている。

 ファンケルでは今後、カスタマーエクスペリエンス(CX)のさらなる向上や販売チャネルの拡大、業務部門の働き方改革推進などの戦略的なツールとして、データウェアハウス基盤を活用してくと説明。また、OCIで提供されるAIやAutoMLを活用し、データウェアハウス基盤をさらに進化させていく計画としている。