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オカムラ、オラクルのクラウドサービスでデータ分析基盤を刷新 BIのレスポンスタイムを最大1/60に

 日本オラクル株式会社は10日、株式会社オカムラが、オラクルのクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で提供されているデータウェアハウス(DWH)クラウド「Oracle Autonomous Data Warehouse」と、BI機能を提供する「Oracle Analytics Cloud」を導入し、データ分析基盤を刷新したと発表した。

 オカムラでは、2010年にオンプレミスのBIソフトウェア「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」を軸としたデータ分析基盤を構築。販売分析や生産効率、物流効率の向上などを目的として、全従業員の4分の1にあたる約1000名が利用していた。しかし、DWHで利用していたアプライアンス製品の保守期限を契機とし、ビジネスの変化に迅速に対応できる環境への移行や、AIやIoTの活用によるビッグデータへの対応などを目的として、データ分析基盤の刷新を計画したという。

 従来のオンプレミスの環境では、月末・月初や期末・期初、あるいは企業のオフィスレイアウトの見直し、店舗の改装や新規オープンが行われる繁忙期など、データ分析基盤の負荷が高まる時期に合わせてサイジングを行い、ハードウェアを選定していたが、それ以外の時期との負荷の差が大きく、リソースの余剰が生じていたとのこと。

 そこでオカムラは、余剰リソースなどの無駄を省いてコストを最適化するとともに、運用負荷を低減でき、10年以上利用可能な拡張性の高い環境で、今後のAIやIoTの活用に備えてビッグデータにも対応できること、柔軟なリソースの増減を実現しつつ、これまで以上のパフォーマンスを実現できることなどを要件に、複数ベンダーのソリューションを比較検証。その結果、Oracle Autonomous Data WarehouseとOracle Analytics Cloudを採用している。

 Oracle Autonomous Data Warehouseは、プロビジョニングやチューニング、パッチ適用、バックアップなどを自律的に行うDWHクラウド。特にオカムラでは、オートスケーリングの機能を高く評価した。同機能によって高負荷時はリソースを追加、逆に低負荷時はリソースを削減し、コストの最適化を実現した。

 一方のOracle Analytics Cloudは、従来使われていたOracle Business Intelligence Enterprise Editionとの互換性も高いうえ、利用者数が少ない夜間や休日にリソースの調整を行っているため、業務への影響が少ないという。

 また、いずれのサービスもフルマネージドであるため、バージョンアップやバックアップといった作業が不要となり、運用管理の負荷が軽減された。

 オカムラは今回、イデア・コンサルティング株式会社の支援を受け、2020年8月に両サービスを用いた新たなデータ分析基盤への移行を完了し、稼働を開始しているが、新システムでは、Oracle Autonomous Data Warehouseの基本性能やスマートスキャンを活用することで、従来のデータベース環境と比べて少ないリソースで高いパフォーマンスを実現しており、バッチ処理が平均1.5倍の性能改善が見られたほか、BIのレスポンスタイムも最大60分の1に短縮されたという。

 また年額費用は約36%削減され、コスト最適化も果たしている。このほか、レスポンスの高速化により、従業員のレポート作成時の作業効率向上にもつながっているとのこと。

 今後オカムラでは、経営層向けによりリアルタイムに近いデータや予測分析結果などの提供や、従業員自ら分析も行えるセルフサービス・アナリティクスの展開を検討している。また今回の導入によってOCIの価値を確認できたことから、オンプレミスのOracle Databaseで運用している基幹システムについても、OCIへの移行を検討するとのことだ。