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デル・テクノロジーズ、中堅・中小企業のPC運用負荷を削減する新サービス「ゼロタッチ PC for SMB」

 デル・テクノロジーズ株式会社は21日、中堅・中小企業向けの新サービス「ゼロタッチ PC for SMB」を開始すると発表した。

 デル・テクノロジーズが提供するPC即納モデルに、日本マイクロソフトのMicrosoft 365 Business Premiumを搭載。PCの初期セットアップをゼロにする「ゼロタッチPC立ち上げサービス」、故障したときの障害対応をゼロにできる「ゼロタッチPC運用サービス」、運用管理のマニュアル対応をゼロにする「ポータルサイト/プレミアサイト」をセットにしたトータルサービスとして用意した。

ゼロタッチPC~オンラインで実現する3つのZeroで運用負荷を軽減~

 また、PCは1台から、一括あるいは月額で購入可能。デル・テクノロジーズの担当営業経由かオンラインサイトから購入でき、国内倉庫から最短で翌日に届けるという。

 「運用管理、セットアップ、障害対応の3つの作業負荷をできるだけゼロにし、PCのライフサイクル全体をカバーする包括的なサービスとして提供する。中堅・中小企業の課題であるPC運用管理の負荷から解放し、攻めのITにリソースシフトできるサービス」と位置づけており、「これにより、国内中堅・中小企業の市場において、今後3年で販売台数を2倍に成長させる」(デル・テクノロジーズ 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏)とした。

デル・テクノロジーズ 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏

 PC運用管理が日々の業務の2割を超えている企業、店舗や工場などの拠点が多数あり、導入や発送などの手配負荷が高い企業、ヘルプデスクの1次受けにかかる時間が情報システム担当者の業務を圧迫している企業、故障時のメーカーサポート対応の時間の捻出が困難な企業、ユーザーへ代替機手配や修理対応に時間を要している企業に最適化したサービスとしている。

 デル・テクノロジーズが提供するゼロタッチPC対応即納モデルは、ノートパソコンとデスクトップパソコンをあわせて以下の4機種7モデルを用意。Windows 10あるいはWindows 11をプリインストールしている。

Latitude 3520(CPU: Core i5、メモリー: 8GB / 16GB、ディスク: 256GB SSD)
Latitude 5330(CPU: Core i5、メモリー: 8GB / 16GB、ディスク: 256GB SSD)
Latitude 7330(CPU: Core i5、メモリー: 8GB/16GB、ディスク: 256GB/512GB SSD)
OptiPlex 3000(CPU: Core i5、メモリー: 8GB、ディスク: 256GB SSD)

 デル・テクノロジーズ 西日本副支社長兼広域営業統括本部 フィールドセールス本部 西日本営業部長の木村佳博氏は、「中堅・中小企業に最も多く使われているモデル構成を用意した。これらの機種に関しては、利用ユーザー向けの共通在庫を抱えており、故障した際にもすぐに交換できるようにしている。今後、要望や市場ニーズにあわせて対象機種を増やしていく」としている。

デル・テクノロジーズ 西日本副支社長兼広域営業統括本部 フィールドセールス本部 西日本営業部長の木村佳博氏

 また瀧谷上席執行役員は、「いまは半導体不足で、いつでも欲しいものが手に入るわけではないため、PC調達時の担当者の負荷が高まっている。また、故障時には担当者が手作業で対応したり、キッティング作業や拠点展開も手作業で行ったりしているという例もある。調達や予備機の手配などに苦労している情シス担当者を支援できる」と述べた。

 Microsoft 365 Business Premiumでは、Officeやクラウドサービス、セキュリティなどを提供。Microsoft IntuneとWindows Autopilotにより、新規PCの導入や展開作業の省力化、デバイスやアプリケーションの管理における高い生産性を実現できるという。Officeのライセンスをすでに導入済みの企業に対しては、Enterprise Mobility + Securityや、Microsoft Intuneだけのライセンスも用意している。

ゼロタッチPC対象即納モデル・Microsoft 365

 また、「ポータルサイト」および「プレミアサイト」では、ゼロタッチPCの説明資料、サービス仕様書、ヒアリングシート、各種資料を提供のほか、ゼロタッチPCで提供される各種サービスの利用する際の事務局への受付手続きも行える。また、製品やサービスの新たな調達もプレミアサイトを通じて行うことができる。

 「ゼロタッチPC立ち上げサービス」では、Windows Autopilotを利用したモダンプロビジョニングを実現。PCの導入に関わる設定作業を自動化し、デバイスやアプリケーションをリモートで管理できる。ゼロタッチPCによる運用を初めて行う企業でも、安心して導入、運用ができるように、管理者マニュアルを提供。管理者向けオンライントレーニングも提供する。

 「管理者マニュアルでは、Microsoft 365管理センターの概要をはじめとしたポータルサイトの説明、Autopilotの基礎設定や設定変更、業務アプリケーションの配布や追加、PC返却時の対応など、立ち上げから利用開始、運用までに必要となる事項をまとめている。同時にマニュアルに対応したトレーニングも用意している。ユーザーの社内環境にあわせて選択できるオプションも用意している」という。

ポータルサイト/プレミアサイト
ゼロタッチPC立ち上げサービス
管理者マニュアル・トレーニング内容

 「ゼロタッチPC運用サービス」は、ゼロタッチPCパートナーから提供されるサービスで、サービスを利用している企業のために、共通予備在庫を保有し、故障した場合には、PCの予備機にセットアップした状態で、最短で翌営業日に発送する。これらのサービスは、ゼロタッチPC事務局で運用を一元化しており、運用サービスの依頼や問い合わせを、専用ポータルサイトからオンラインで行える点も特徴だ。また、PCマルチベンダーサポートでは、ユーザーからの問い合わせに対応。OSやブラウザ、Officeの設定や不具合、操作方法、社内ネットワークの問題などの質問に無料で答える。

 PC廃棄サービスも提供。ゼロタッチPCパートナーが廃棄対象のPCを回収し、買い取りと相殺して無償で廃棄する。要望によりHDD内のデータ消去を行い、消去証明書の発行も行える。

 「従来のPCライフサイクル管理は、調達から運用、廃棄まで、複数のサービスを利用している場合が多かったが、ゼロタッチPCでは、専用ポータルサイトとIntuneによるテナント管理だけで済むため、情シス担当者の負荷を大きく軽減できる」(瀧谷上席執行役員)という。

 また、「専用ポータルサイトによってサービス購入を完結できるほか、キッティング、マルチベンダーサポートのほか、ライフサイクルマネジメントをシームレスで提供する。特に故障対応においては良品在庫の先出しを行うことで、情シス担当者だけでなく、ユーザーに対しても負荷をかけずにすむ仕組みになっている」(デル・テクノロジーズ 執行役員 ビジネス営業統括本部長の渡辺幸治氏)と述べた。

ゼロタッチPC運用サービス
ゼロタッチPCサービス全体の流れ
デル・テクノロジーズ 執行役員 ビジネス営業統括本部長の渡辺幸治氏

 価格は、中堅・中小企業向け即納PCが1台あたり一括で10万円、あるいは月額3000円(製品によって価格は異なる)、Microsoft 365 Business Premiumが1ユーザーあたり年額2万8000円あるいは月額2390円。ゼロタッチPC運用サービスが1台あたり一括3万円あるいは月額900円。ゼロタッチPC立ち上げサービスが一括35万円あるいは月額9800円となっている。

 なお2022年6月末までの発注を対象に、ゼロタッチPCサービスリリースキャンペーンを実施。先着50社を対象に、ゼロタッチPC立ち上げサービスの35万円が、80%引きとなる7万円で利用できる。

 また、ゼロタッチPCセミナーや、ゼロタッチPC使いつくし講座を5月18日から順次開始。ゼロタッチPCサービスの導入の検討を支援する。

ゼロタッチPC~オンラインで実現する3つのZeroで運用負荷を軽減~

 会見には、日本マイクロソフト 執行役員常務 コーポレートソリューション事業本部長兼デジタルセールス事業本部長の三上智子氏が参加。「中堅・中小企業は、日本の企業の99.7%を占め、労働人口では約7割を占めるが、デジタルの活用が遅れており、生産性も低い。中堅・中小企業を活性化することで大切であり、日本マイクロソフトでは、中堅・中小企業のクラウドビジネスを10倍にする計画を立て、デジタル活用を支援している。さらに、パートナーとの連携により、ITよろず相談センターを47都道府県に展開し、中堅・中小企業が気軽に相談できるようにしている」と、自社の取り組みを説明。

 さらに、「ゼロタッチPCは、IT人材のリソースが足りなかったり、PCの管理に時間を費やされて新たなことができなかったりという中堅・中小企業には最適なものであり、大きな期待を寄せている。中堅・中小企業にはぜひ使ってもらいたい。日本マイクロソフトとしても、PC導入や検証サービスの支援、Microsoft 365使いつくしワークショップの提供などを通じて、精いっぱいサポートしたい。300人以下の中小企業のDX実現の一歩になる」と語った。

日本マイクロソフト 執行役員常務 コーポレートソリューション事業本部長兼デジタルセールス事業本部長の三上智子氏

規模が小さくなるほどIT人材が不足している

 一方、デル・テクノロジーズは、「中堅・中小企業IT投資動向調査2022」の調査結果を発表した。

 IT投資動向調査は、今回で6年目となるもので、これまでは従業員数100人以上~1000人未満の中堅企業を対象に実施していたが、初めて従業員数100人未満の中小企業にも調査対象を拡大。この調査結果をもとに、今回の「ゼロタッチ PC for SMB」のサービスを設計したという。

 調査は、2022年2月15日~3月18日に実施。2337社からの有効回答を得ている。

 これによると、事業変革に取り組んだ中堅・中小企業は前年調査に比べて2%増となったものの、依然として23%に低い水準であり、大手企業とのギャップがあること、情報システム部門の担当者の81%で業務負荷が高止まりしていること、既存環境の運用業務に65%の時間を費やしていることなどがわかったという。また、従業員が400人以上の企業では一人情シス、ゼロ情シスの比率は11%であるが、400人未満では58%となっており、規模が小さくなるほどIT人材が不足していることも浮き彫りになった。

中堅・中小企業IT投資動向調査2022 サマリー
クライアントPCの購買・利用に関わる業務負荷

 デル・テクノロジーズ 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏は、「中堅・中小企業の多くが、一人情シスやゼロ情シスという状況にあり、IT人材が不足している。勤務時間が増加しているという情シス担当者も17%になっている。コロナ禍以降は、働く場所や使用するデバイスが多様化し、クライアントPCの管理業務が全体の21%を占めるなど、現状業務が足かせとなり、事業変革に着手できないという実態がある。事業変革の第一歩に着手するには、PCのライフサイクル管理に関わるワークロードを軽減する必要がある」と指摘した。

 また、デル・テクノロジーズ 執行役員 ビジネス営業統括本部長の渡辺幸治氏は、「PCライフサイクル管理で起こる問題では、故障時の障害対応に手間がかかるという回答が最も多く56.3%と半数を占めている。さらに、ユーザーからの問い合わせの負荷が高い、バージョン情報の管理できていないなどの課題が上位にあがっており、いずれも情シス担当者の手間や工数がかかるものばかりである。新サービスとMicrosoft 365 Business Premiumを組み合わせることで、これらの課題を解決できる」としたほか、「中堅・中小企業のSaaS利用では、グループウェアが上位をしており、中でもMicrosoft 365の利用が最も多い。その点でも、Microsoft 365を組み合わせることで、付加価値を高めることができる」と述べた。