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Tableau、2027年までに1000万人のデータピープルを養成する「Data skills 10 million」を発表

Dreamforce 2021で発表された新機能なども説明

 BIソリューションを手掛けるTableauは9日に、日本向けの記者会見をオンラインで開催。日本時間で10日から開催するグローバルイベント「Tableau Conference 2021」にて発表する新機能や、9月に開催されたSalesforceのイベント「Dreamforce 2021」で発表された機能(Tableauは現在Salesforceの傘下)などについて説明した。

Tableau社CTOのAndrew Beers氏
Tableau社 日本カントリーマネージャーの佐藤豊氏

1000万人のデータピープルを養成

 Tableau CTOのAndrew Beers氏は、「デジタルトランスフォーメーションはデータトランスフォーメーション」とし、世界中のあらゆる業界でデータが生成されて、組織が意思決定にデータを活用できるようになっていると語った。

 そして、「企業がデータドリブンになるためには、データサイエンティストから現場までのすべての人がよりよい意思決定をするための、スキルとアナリティクスプラットフォームが必要」と述べた。IDCのレポート「Salesforce Economy Study」によると、データスキルを必要とする仕事は、現在の27%から、2026年までに全世界で37%に成長するとのこと。また、現在は社員の33%しか意思決定にデータ分析を使用していないという。

 そこでTableauが発表したのが、1000万人のデータピープルを養成する計画「Data skills 10 million」だ。2027年までに1000万人に、雇用や経済のニーズを満たすために必要なデータスキルを提供するとしており、そのために、新しいトレーニングや教育を発表し、既存のプログラムを強化する。

 例えば、Tableauアカデミックプログラムを拡充し、世界中の教育者がアナリティクスを教えられるように、無償のソフトウェアライセンスやeラーニングのカリキュラムを提供する。また、Tableau Foundationを通して、ジェンダー平等に取り組むグローバルな非営利団体に500万ドルを支援するとBeers氏は語った。

Data skills 10 millionにより1000万人のデータピープルを養成する

Tableauビジネスサイエンスにモデルビルダーとシナリオプランニングを追加

 続いて、業務部門がAIを活用してデータ分析する「Tableauビジネスサイエンス」の新版「Tableauビジネスサイエンス2.0」をBeers氏はアナウンスした。

 ビジネスサイエンス2.0では、AIによる予測モデルを構築するモデルビルダー機能を搭載した。従来はSalesforceが開発したAIエンジンEinstein Discoveryを、Tableauに組み込み、Tableauで完結できるようになった。「例えば、スーパーの小売担当マネージャーは、どの店舗が目標を下回ると予測されるか、その理由はなぜかがわかる。予測にもとづいて、より正確なスタッフィングや在庫管理の決定も可能になる」とBeers氏は例を挙げた。

 また、モデルビルダー機能に加えて、シナリオプランニング機能も提供する。「モデルビルダーは過去にもとづいて予測する機能だが、シナリオプランニングは将来にこういう意思決定をしたらどうなるかを探索できる機能だ」とBeers氏は説明。「供給量の増加や業者変更などの意思決定が、収益性や顧客満足度にどのような影響を与えるかを理解できる」と語った。

Tableauビジネスサイエンス2.0

データの準備、保護、管理のための新機能

 そのほか、データの準備、保護、管理をより適切に行えるようにするいくつかの機能もBeers氏はアナウンスした。

 まずはPrep拡張機能。コミュニティが開発したツールを利用して、データ準備のフローを簡素化し改善できるという。さらに、Tableau Publicでデータ準備のフローを共有できるようになった。「これによりベストプラクティスを共有し、データ準備の成功率を高める」とBeers氏。

 続いて、Enterprise Data Catalog(EDC)の統合。Collibra、Alation、Informaticaなどからの外部メタデータを取り込み、Tableauの単一の環境に統合できるという。

 さらに、一元化された行レベルのセキュリティ機能もある。どのユーザーやどのグループがどのスライスのデータにアクセスできるかを一元的に設定することで、柔軟性とセグメンテーションを向上することができるという。

データ準備、保護、管理に関する新機能

エコシステム関連の機能強化

 Tableau社の日本カントリーマネージャーの佐藤豊氏は、エコシステム関連の機能強化をアナウンスした。

 「Tableau Exchange」は、拡張機能ギャラリーを進化させたもので、信頼できるベンダーのソリューションを見付けられるものだ。その中でも「Accelerator」は、あらかじめ構築されたダッシュボードで、0からでなく既存のダッシュボードによってTableauをすばやく使い始められるという。これらの日本版も提供すると佐藤氏は語った。

 また、アプリケーションへの組み込みアナリティクスの機能を強化する。サードパーティーのアプリケーションにTableauのダッシュボードを組み込める機能を以前から提供しており、「これをさらに強化して、ソフトウェア開発者がアプリケーションとダッシュボードの間で、双方向にインタラクティブでシームレスに統合できるようにしていく」と佐藤氏は説明した。

 そのほか、外部アプリケーションとの接続プロトコルにより、認証と承認がよりシームレスになるという。

 さらに、Tableau Publicでは現在450万点超のビジュアライゼーション公開されており、ここに新たに「Hire Me」ボタンを追加する。作者と直接コンタクトできるようにすることで、仕事の機会を増やすという。

Tableau Exchange
パートナーエコシステム
Tableau Publicの「Hire Me」ボタン

Slackとの連携強化など9月発表の機能

 こうした新機能のほか、9月のDreamforceで発表された機能も紹介された。

 Tableau for the Customer 360は、アナリティクスプラットフォームのTableauと、Salesforce Customer 360のビジネスデータを組み合わせるものだ。

 SlackのEinstein Discoveryは、仕事のフローの中で予測を提供するエンジンで、インテリジェントな予測と次のステップを得ることができるという(Slackも現在Salesforceの傘下)。

 Slack-Firstアナリティクスは、SlackとTableauをつなぐ機能だ。これにより、洞察や通知をSlackで受け取ることができるようになる。Slack-FirstアナリティクスについてはTableauの小島清久氏がデモをまじえて説明した。

 まずTableauからSlackワークスペースに接続すると、Slack内のアプリケーションとしてTableauが追加される。これにより、Tableauで閾値を超えた時や、新しい共有、コメントでメンションされた時などにSlackに通知が来る。

 デモでは、一般的な小売企業の業績を可視化したダッシュボードをもとに、まずSlack上のユーザーを指定して共有すると、Slackにサムネール付きで通知されるところを見せた。

 また、Tableau上のコメントにおいて、「@」でSlack上のユーザーを指定すると、Slackにサムネールが通知されるところも見せた。サムネールを高解像度で閲覧できるほか、リンクをクリックしてTableauのダッシュボードに飛ぶこともできる。

 続いてKPIをトラッキングして閾値を超えた時の例として、売上が800万円を超えた時に通知する例を設定。無事、Slackに通知がなされた。

 こうしたSlack-Firstアナリティクスについて、「Slackという、より身近ですぐアクセスしやすい場所で、すぐにデータに対してアクションを打つための通知が受け取れるようになり、よりコラボレーションのしやすさが増した」と小島氏は語った。

TableauからSlackワークスペースに接続
TableauからSlack上のユーザーを指定して共有
TableauのコメントでSlack上のユーザーを指定
Tableauで閾値を超えるとSlackに通知するよう設定