ニュース

日立、2021年度上期連結業績は増収増益 市況の回復やGlobalLogicの買収などが好影響

 株式会社日立製作所(以下、日立)は27日、2021年度上期(2021年4~9月)連結業績を発表した。

 売上収益が前年同期比28.5%増の4兆8326億円、調整後営業利益は同71.5%増の3100億円、EBITは同10.2%増の4254億円、継続事業税引前利益は同9.3%増の4201億円、当期純利益は同28.6%増の3224億円。調整後営業利益率は6.4%となった。

2021年度上期の実績ハイライト

 日立の河村芳彦執行役専務CFOは、「堅調な決算。市況の回復に加えて、パワーグリッド事業およびGlobalLogicの買収、日立Astemoの統合影響により増収増益となった。また、環境、デジタルという戦略的注力分野での受注、売上収益が順調に推移した。デジタルではGlobalLogicが高い成長を遂げたほか、DX需要を受けたITセグメントが好調で過去最高益を達成。Lumada事業も堅調に推移した。また、環境では日立エナジーの受注が好調であり、第2四半期には大型受注案件が相次いだ。現時点で120億ドルの受注残高がある」とする。

会見の様子

 一方、「半導体不足の影響が自動車関連事業を中心に発生。複数のセグメントにおいて、鉄や銅などの部材価格の高騰により、コストが増加している。また、新型コロナウイルスにより、タイやベトナムなどのアジア地域ではロックダウンが行われ、一部事業で部品供給不足が発生するなど、事業リスクが顕在化している。これは第3四半期、第4四半期も継続するだろう。だが、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの主要5セクターは業績が堅調に推移しており、低収益事業の見直しやコスト構造改革の成果により、ボトムラインの安定化により、当期利益の通期見通しは維持していくことになる」と述べた。

2021年度上期の事業環境

 また、2021年7月に買収が完了したGlobalLogicの業績についても初めて明らかにした。

 2021年第2四半期(2021年7~9月)の売上収益は前年同期比52%増の344億円、調整後営業利益は76億円、調整後営業利益率は22.0%、EBITは76億円、EBITDAは81億円。また、2021年度第2四半期から第4四半期までの9カ月間の業績見通しは、売上収益は前年同期比34%増の1028億円、調整後営業利益は216億円、調整後営業利益率は21.0%、EBITは216億円、EBITDAは233億円を見込んでいる。

 「GlobalLogicは、グローバルDX市場を上回る成長を遂げている。高度なエクスペリエンスデザインとデジタルエンジニアリングにより、DX事業は順調に拡大。日立とのシナジーも加速している。第2四半期は赤字の可能性もあったが、想定よりも上振れしており、すでに黒字化している」という。

 GlobalLogicの米大手製造業の顧客に対して、Hitachi Vantaraのクラウド運用管理サービスを提供したり、Hitachi Vantaraの米金融機関の顧客に、GlobalLogicのデザインエンジニアリングを提供したりといった、GlobalLogicとHitachi Vantaraによるクロスセルの受注実績が早くも生まれているほか、GlobalLogicと日立エナジーが、資産管理ソフトウェアの高度化や、次世代エネルギープラットフォームの開発といった、エネルギー分野のデジタルソリューション拡大に向けた協業を開始している。GlobalLogic単体でも、米セキュリティサービス企業のサイバーセキュリティの全製品ラインに、デザインソフトウェアエンジニアリングを提供する実績が上がっている。

GlobalLogicは順調に成長

 一方、Lumada事業の売上収益は前年同期比38.2%増の6760億円。そのうちLumadaコア事業は同28.8%増の3850億円、Lumada関連事業が同53.2%増の2910億円となった。

 セグメント別では、ITセクターが37%、Astemoおよび上場子会社が16%、モビリティは16%、ライフが13%、インダストリーが11%、エネルギーが7%の構成比となっている。

 2021年度通期見通しは、Lumada全体で前年比42.3%増の1兆5800億円とし、そのうちLumadaコア事業が同33.9%増の9000億円、Lumada関連事業で同55.3%増の6800億円を見込んでいる。

 Lumadaコア事業では、GlobalLogicやパワーグリッド事業買収、日立ハイテクの統合影響のほか、AIやデータアナリティクス、セキュリティ、IoT関連サービスなどのITセグメントが成長を牽引。産業および流通ソリューションも伸長すると見込んでいるほか、Lumada関連事業では、インダストリアルプロダクツ事業や、生活・エコシステム事業などが伸長すると見込む。

 「GlobalLogicの買収影響もあり、海外比率が49%まで上がってきている」と、海外での実績が急速に高まっていることを強調した。

Lumada事業

セグメント別の業績

 セグメント別業績では、ITの売上収益は前年同期比3%増の9766億円、調整後営業利益は前年同期から43億円増の1123億円となり、上期として過去最高を記録した。そのうち、フロントビジネスの売上収益は前年同期並の6549億円、調整後営業利益は前年同期から67億円増の788億円。サービス&プラットフォームの売上収益は前年同期比6%増の3937億円、調整後営業利益は前年同期から35億円増の312億円となった。

 DX需要の取り込みによるLumada事業の伸長や、コストコントロールの徹底により増収増益を達成。フロントビジネスは、インドを中心としたロックダウンや、交通分野の投資抑制の影響などがあったものの、Lumada事業が堅調に推移。サービス&プラットフォームは、半導体供給不足の影響が一部発生したが、GlobalLogicが順調に成長したという。

 「IT全体では増収増益にはなったものの、半導体不足が、ITプロダクツ関連の売上収益の減少に影響している。上期はストレージへの影響や、サーバーなどの調達品でも影響があった。また、インドのロックダウンの長期化による需要回復が遅れている」とした。

 なお、デジタル庁の発足に関しては、「これによって大きく変わる点がある」とし、「マイナンバーカードは当社が取り組んできた案件であり、この機能拡張によって、マイナンバーと金融、マイナンバーと保険といった仕事が発生することになる。果敢に仕事を取りに行く。また、デジタル庁を通じて役所全体のIT化、デジタル化を進めることになっており、業務の横通しやデータのシェアといったところでも仕事を取れる。データの管理においてはLumadaの強みを生かしたい」と述べた。

 エネルギーセクターの売上収益は前年同期比69%増の6750億円、調整後営業利益は前年同期から62億円増加したものの8億円の赤字となった。

セグメント別実績 その1

 インダストリーセクターの売上収益は前年同期比8%増の3930億円、調整後営業利益は前年同期から115億円増の255億円。モビリティセクターの売上収益は前年同期比32%増の7094億円、調整後営業利益は前年同期から51億円増の449億円。ライフの売上収益は前年同期比16%減の5110億円、調整後営業利益は前年同期から98億円減の362億円となった。

セグメント別実績 その2

 また、日立Astemoの売上収益は前年同期比134%増の7559億円、調整後営業利益は前年同期から410億円増の223億円。日立建機の売上収益は前年同期比31%増の4736億円、調整後営業利益が前年同期から271億円増の375億円。日立金属は売上収益が前年同期比34%増の4563億円、調整後営業利益が前年同期から276億円増の152億円となった。

 なお、海外売上収益は前年同期比52%増の2兆9201億円で、構成比は60%となった。北米の売上収益は前年同期比54%増の7261億円、欧州は53%増の6177億円、中国は47%増の6980億円、ASEAN・インドは61%の5501億円、その他地域では42%増の3281億円となった。日本は前年同期比4%増の1兆9124億円となっており、海外での高い成長が際立っている。

地域別売上収益

通期業績見通しは7月公表値を修正

 2021年度の通期業績見通しは、7月公表値を修正。売上収益は2000億円増となる9兆7000億円、調整後営業利益は170億円減の7230億円とした。調整後営業利益率は7.5%となる。EBITは据え置き8200億円、当期純利益も据え置き5500億円。EBITDAは180億円減の1兆3520億円とした。

 「半導体不足は、売上収益で年間1800億円、営業利益では700億円のマイナス影響がある。部材高騰では、調達部門での改善対策効果を含めて年間800億円の影響がある」とした。

 ITセグメントでは通期業績見通しの修正はない。ITの売上収益は前年比7%増の2兆2000億円、調整後営業利益は64億円減の2630億円。調整後営業利益率は12.0%になる。そのうち、フロントビジネスの売上収益は前年比2%増の1兆4400億円、調整後営業利益は33億円増の1800億円。サービス&プラットフォームの売上収益は前年比13%増の8900億円、調整後営業利益は185億円増の920億円を見込む。

 「調整後営業利益が前年割れとなるのは、GlobalLogicの買収に伴う無形資産の償却費などが影響している。これらの費用を除くと増収増益になる」とした。

通期業績見通し