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日立の2023年度上期連結業績は減収増益、Lumada事業は国内外ともに順調

通期の業績見通しを上方修正

 株式会社日立製作所(以下、日立)は27日、2023年度上期(2023年4月~9月)の連結業績を発表した。

 売上収益は前年同期比8.4%減の4兆9600億円、調整後営業利益は同0.3%増の3254億円、Adjusted EBITA は同2.0%増の4009億円、税引前利益は同14.1%増の3220億円、当期純利益は同21.2%増の2091億円となった。このなかには、2023年10月に持分法適用会社化が完了する日立Astemoが含まれているが、これを除く「今後の連結事業」では、売上収益は前年同期比12%増の3兆9248億円、Adjusted EBITAは前年同期から492億円増の3596億円となり、増収増益になったことを強調した。

実績ハイライト(FY23 1H)

 日立の河村芳彦執行役副社長兼CFOは、「デジタルシステム&サービスはデジタル需要を刈り取り、Lumada事業が拡大して増収増益。グリーンエナジー&モビリティも、日立エナジーがエネルギー転換への加速を背景とした大規模な受注残が売り上げにつながり、増収増益となった。だが、コネクティブインダストリーズが若干の減益になった。日立ハイテクにおける半導体製造装置の売上減少が影響している」と述べた。

日立 執行役副社長兼CFOの河村芳彦氏

 Lumada事業の第2四半期(2023年7~9月)の売上収益は前年同期比21%増の5770億円となった。またLumadaの売上収益の内訳は、マネージドサービスが前年同期比18%増の1790億円、コネクテッドプロダクトは同21%増の1870億円、システムインテグレーションは同21%増の1420億円、デジタルエンジニアリングは売上収益が同30%増の690億円となった。

 なお、Lumada事業は2023年度通期見通しを上方修正しており、売上収益は当初見通しから300億円増加となる前年同期比18%増の2兆3100億円、全社売上収益に占める比率は29%を見込んでいる。また、Adjusted EBITAは同13%増の8180億円としており、全体の41%を占めることになる。Lumada事業のAdjusted EBITA率は約15%を見込んでいる。

 セグメント別のLumada事業の見通しは、デジタルシステム&サービスが前年同期比18%の1兆1000億円、コネクティブインダストリーズが同16%増の9100億円、グリーンエナジー&モビリティが同23%増の3900億円としている。

 「Lumadaは、国内外ともに順調に立ち上がっている。中でも、Lumada事業の成長率が高いのがグリーンエナジー&モビリティである。鉄道事業および好調な日立エナジーが含まれる領域であり、ITとOTを掛け合わせた提案が増加している」という。

Lumada事業

 デジタルシステム&サービスでは、2023年5月にGenerative AIセンターを設立以降、国内外での生成AI関連の受注が拡大。すでに300件の問い合わせがあるほか、10数件の受注を獲得しているという。また、GlobalLogicでは米ソフトウェア企業から生成AI活用案件を受注。生成AIの適用によって、システム開発やカスタマーサービスの生産性向上を図る全社AIトランスフォーメーションプロジェクトを推進していることを示した。
 また、GlobalLogic Japanでは、大成建設と建築物のメタバース空間において、プロジェクト関係者同士の合意形成に必要なデータを一元管理する「建設承認メタバース」を構築。アフラックとは、がんに関わる社会的課題を包括的に解決するために、ステークホルダーが連携、協業する仕組みとして「キャンサーエコシステム」の構築に着手する事例があり、顧客との協創を加速していることを示した。

 コネクティブインダストリーズでは、AIによって港湾のターミナル運営を効率化する技術開発を、三井E&Sおよび三井倉庫とともに、国土交通省から受託。グリーンエナジー&モビリティでは、鉄道システム事業において、イタリアの高速鉄道路線向け最先端デジタル信号化契約に、コンソーシアムのメンバーとして参画したことを報告した。

 2023年度上期のGlobalLogicの業績は、売上収益が前年同期比23%増(ドルベースでは16%増)の1206億円、Adjusted EBITAは17億円増の239億円。EBITDAマージンは19.8%となっている。

 「GlobalLogicは高度成長を続けている。第2四半期も売上収益で前年同期比21%増、Adjusted EBITAで20%増という高い収益性を維持している。鉄道事業や日立エナジーとのコラボレーションを強力に進めているほか、GlobalLogic Japanでも仕事が取れている」という。

 またGlobalLogicは、デジタル関連エンジニアの増強を目的に、昨年度から、ルーマニアのFortech、ウルグアイのHexacta、アイルランドのSideroの3社を買収しており、これが売上収益の拡大にも影響。これらの影響を除くと、売上収益はドルベースで前年同期比6%増になる。

 日立全社の地域別業績では、日本の売上収益が前年同期比7%減の1兆7698億円となり、構成比は36%。海外は前年同期比9%減の3兆1902億円で、構成比64%となった。海外のうち、中国が前年同期比12%減の6467億円で構成比は13%、ASEAN・インド他が同12%減の5826億円で構成比は12%。北米が同11%減の8673億円、構成比は17%。欧州は同3%増の7672億円となり、構成比は15%。その他地域が同17%減の3261億円で、構成比は7%となった。

地域別売上収益(FY23 1H)

セクター別の業績

 セクター別では、デジタルシステム&サービスの売上収益は前年同期比8%増の1兆1925億円、Adjusted EBITAは15%増の1350億円となった。また、受注高は前年同期比13%増の1兆4010億円となり、そのうち、フロントビジネスは18%増の6660億円、ITサービスは10%増の5115億円、サービス&プラットフォームは6%増の4760億円となっている。

 「フロントビジネス、ITサービス、サービス&プラットフォームのすべてが増収増益になっている」という。

 デジタルシステム&サービスでは、第2四半期の受注高が前年同期比15%増の6693億円となっており、受注残は約1兆5000億円の規模に積みあがっている。

 「DX需要が続いており、金融、公共の受注が好調。また、ITサービスでは、セキュリティやクラウド、Lumadaが好調であり、2桁増を維持している。第1四半期からの好調な受注トレンドが継続している」(日立の加藤知巳執行役常務 DeputyCFO)と述べた。

 グリーンエナジー&モビリティの売上収益は前年同期比27%増の1兆3457億円、Adjusted EBITAは同47%増の796億円。そのうち、日立エナジーは、売上収益が前年同期比31%増の8273億円、Adjusted EBITAは前年同期から264億円増の633億円となった。また、第2四半期の受注高は前年同期比14%増の6538億円となり、受注残高は約3兆9000億円に達している。「すでに3年弱分の受注が積みあがっている。エネルギー分野は、数10年に一度のスーパーサイクルに入っており、その影響が大きく出ている」という好調ぶりだ。

 コネクティブインダストリーズの売上収益は前年同期比3%増の1兆4638億円、Adjusted EBITAは同2%減の1457億円となった。

セグメント別の実績ハイライト(FY23 1H)

通期業績見通しを上方修正

 一方、2023年度通期業績見通しを上方修正し、売上収益は前回の7月公表値から3500億円増加の前年比15.9%減の9兆1500億円、調整後営業利益は450億円増加の同3.8%減の7200億円、Adjusted EBITは300億円増加の同2.2%減の8650億円、税引前当期利益は300億円増加の同10.4%減の7350億円、当期純利益は200億円増加の同19.9%減の5200億円とした。

 「前回見通しから、すべての利益項目で上方修正した。日立Astemoを除く、今後の連結事業では、増収増益を見込んでいる」という。売上収益の3500億円の増加のうち、為替影響が3分の2を占め、Adjusted EBITの300億円増加では約6割を占める。

 また、「今後の連結事業」の業績見通しでは、売上収益が前回公表値から1800億円増加の8億円、Adjusted EBITは180億円増加の8180億円と上方修正し、増収増益の見通しとしている。

見通しハイライト(FY23)

 デジタルシステム&サービスでの売上収益が前回見通しから200億円増加し、前年比3%増の2兆4700億円、Adjusted EBITAは前回見通しから20億円増加し、前年から162億円増の3100億円とした。グリーンエナジー&モビリティの売上収益は、前回見通しから2000億円増加し、前年比13%増の2兆7800億円、Adjusted EBITAは前回見通しから130億円増加し、前年より224億円増の1860億円。コネクティブインダストリーズは前回見通しから変更はなく、売上収益は前年比1%増の3兆円、Adjusted EBITAは前年から178億円増の3300億円としている。