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NTT Com、欧州「GAIA-X」に対応する国際データ流通プラットフォームの日欧連携共同トライアルを実施

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は14日、欧州が自国・地域のデータ主権保護を目的に開発中のデータ流通基盤「GAIA-X」について、GAIA-Xを構成する技術標準「IDS」のコア技術「IDSコネクター」との相互接続を実現するプラットフォームのプロトタイプを開発することに、2021年4月に成功したと発表した。

 NTT Comではこの成果をもとに、企業間の安全なデータ流通を実現するトラストデータ基盤「withTrust」とIDSを連携させる、セキュアな国際データ流通プラットフォームのプロトタイプを新たに開発し、日欧のパートナー企業・団体と連携した共同トライアルを2021年10月から開始する。

 IoTやAI、クラウドが普及したデジタル社会でデータ提供者の権利を保護するため、欧州では、データ提供者がデータ開示範囲を制限し、データ利用履歴を追跡できる仕組みを備えたデータ流通基盤として、GAIA-Xが2022年4月に提供開始される予定となっている。今後、日本企業が欧州企業と取引する際には、GAIA-Xへの準拠を求められる可能性がある。

 各企業のシステムを個別にGAIA-Xに対応させるには、IDSの仕様に精通した技術者の確保や、多くの時間とコストを伴うシステム改修などが求められる。トライアルは、こうした負担を軽減するため、GAIA-Xに準拠した国際データ流通プラットフォームを開発・提供するための取り組みとなる。

トライアルのイメージ

 実験においては、NTT Comが主査を務めるRRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)WG1 グローバルデータ流通管理基盤検討サブWG(SWG8)において、脱炭素・資源循環のための製造データを企業間で共有するユースケースを想定し、国際データ流通に求められる要件を定義した。

 その要件に基づき、NTT Comは、IDSとwithTrust、安全で信頼性あるデータ交換を目的とした相互運用を行うための標準規格「OPC UA」を連携させて、企業間で安全にデータを共有できるトライアル環境を、日本国内および欧州域内のクラウド上に構築した。トライアル環境に、国内外のパートナー企業・団体の機器やシステムを接続して、日欧間でデータ流通させることで、国際データ流通プラットフォームの利便性や機能性、実用性を検証する。

 また、GAIA-Xに準拠する欧州産業界の複数のデータスペースを、トライアル環境で相互接続する実験も行う。さらに、製造時CO2排出量などを、国や業界による商習慣や法律の違いを超えて円滑に伝達できるよう、共通データモデルを開発して、日欧間で安全にデータ流通させる実験により実用性を検証。株式会社Empress Software Japanなどと協力し、OPC UAコンパニオン情報モデルとして、OPC Foundationに提案する。

 実験の期間は、2021年10月から2022年3月(予定)。実験への参画が決まっているパートナー企業・団体は、オークマ株式会社、オムロン株式会社、株式会社デンソーウェーブ、株式会社Empress Software Japan、横河電機株式会社、早稲田大学 理工学術院総合研究所 産業用オープンネットワーク・ラボラトリ、RRI、SCSN(Smart Connected Supplier Network)、VEC(Virtual Engineering Community)バリューチェーン接続テストWG(2021年10月14日現在)。

 NTT Comでは、トライアルに参画を希望する新たなパートナー企業・団体を募集する。また、トライアルの成果をもとに、パートナー企業・団体と協力しながら、GAIA-Xに準拠する欧州のデータスペースと日本の企業がデータを共有するための課題を抽出して、機能要件を具体化し、その機能要件を実装した国際間データ流通プラットフォームの商用版を2022年度上期に提供開始する予定としている。