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NTT Com、欧州「GAIA-X」との接続を実現するプラットフォームを実証

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は8日、欧州が自国・地域のデータ主権保護を目的として構想を進めているデータ流通基盤「GAIA-X」について、GAIA-Xの中核を構成する技術「IDSコネクター」と、相互接続を可能とするプラットフォームのプロトタイプを開発したと発表した。

 脱炭素社会の実現やSDGsの早期達成、産業力の維持・向上など、あらゆる課題の解決を行う上で、データ利活用は欠かせないものとなっている。一方で、企業・国家機密の流出防止、データ主権の保護のため、データの越境流通や利活用を管理・規制する法制度や技術整備が世界各国・地域で進んでおり、そのひとつが欧州で進められているGAIA-Xとなる。

 今後、欧州諸国の取引先と機密性の高いデータを送受信するには、GAIA-Xを介して実施することが求められる見込みで、GAIA-Xに対応できない企業は、欧州企業とデータ流通を伴うビジネスができなくなることが予想される。

 企業がGAIA-Xに個別に対応する場合、特殊な技術に精通した技術者を確保し、多くの時間とコストを伴うシステム改修や、GAIA-Xへの接続認証取得などを行う必要がある。NTT Comが今回行った実験は、企業各社の個別対応を不要とするために、プラットフォームの商用化を目指すための取り組みとなる。

 開発したプロトタイプは、GAIA-Xのコア技術であるIDSコネクターとの相互接続を実現するプラットフォームで、秘匿性の高いデータを安全に流通させる仕組み「DATA Trust」を備える。実験は、脱炭素社会の実現に向け、データをもとに製造方法の見直しを検討するというシーンで、製品の製造を受託するスイスの工場から、製造発注元となるドイツおよび日本の企業に、製造時のCO2排出量を算定するための電力消費量データを流通するケースを想定して行った。

 実験の結果、利用者は個別対応をすることなく、開発したプロトタイプにシステムを接続するだけで、法律や契約にもとづき許可された相手にのみ必要なデータを流通することに成功した。

 NTT Comでは今後、GAIA-Xとの接続を模擬したテスト環境を日本国内に構築し、国内外の複数のパートナー企業による相互接続試験を今夏から開始する予定。その結果をもとに、国際間データ流通の課題に取り組む組織・団体と連携しながら、今年度中にプラットフォームの商用提供を予定するとしている。

実験のイメージ