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東芝デジタルソリューションズ、既存製造設備の操作を後付けで自動化する「Meister Apps 設備あやつり制御パッケージ」
2021年10月11日 06:00
東芝デジタルソリューションズ株式会社は8日、既存の製造設備の操作を自動化する「Meister Apps 設備あやつり制御パッケージ」の提供を開始した。
Meister Apps 設備あやつり制御パッケージは、東芝グループが培ってきた、後付けで設備の操作を自動化する「あやつり制御」技術を、製造業の顧客に広く提供するもの。生産工程や検査工程で繰り返し発生する、人手による設備の定型操作を、後付けの装置により自動化することで、製造現場の生産性向上とデジタル化に貢献する。
東芝では、既存の古い設備は、費用や技術の問題で自動化設備への更新が難しいという問題に対し、生産技術の研究開発拠点である「生産技術センター」が取り組み、ものづくりの現場と「あやつり制御」技術を発展させてきたと説明。これまでに、東芝デバイス&ストレージ株式会社が保有する半導体工場を含む国内4拠点で、既設ラインを対象に250台以上を後付け自動化し、半導体工場では着工後操作の自動化で作業員の拘束時間を90%削減。生産性の向上に加えて、人為ミスの撲滅といった成果を出しているという。
また、スキルレス化による新人オペレーターの即戦力化が可能となり、熟練工をより付加価値の高い業務へシフトさせることにつながっており、半導体工場では「あやつり制御」を応用して緊急地震速報に連動した設備の安全停止システムを構築し、BCP対応を充実させている。
Meister Apps 設備あやつり制御パッケージは、製造設備を改造することなく、設備あやつり制御の装置を後付けすることで、操作を自動化できるようになる。改造と比べて、低リスクかつ短期間に導入が可能。後付け装置は、製造設備の画面を読み取り、あらかじめ設定された振る舞いに従って設備に操作信号を返すことで、設備を操作する。条件が合えば、対象設備のメーカーも選ばず、入力操作が一般的なマウス、キーボード、タッチパネルであれば広く適用できる。
後付けした装置は最新のOS上で動作し、製造設備が古い場合でも、後付け装置は社内ネットワークに接続できるセキュリティレベルを確保できるため、センターマネジメントのシステムとも連携できる。
導入したパッケージの振る舞いは、顧客自身が変更可能。導入後に自動化の振る舞いを変えたい場合には、専門的なプログラムの知識なしでも、簡単に変更できる。
パッケージを適用した製造設備の操作ログは、そのまま製造履歴データとして活用でき、例えば、設備あやつり制御が動作を始めた時刻を記録すれば、着工データになる。また、画面に表示されている数値も、OCR機能を活用して読み取れば、そのままデータ化でき、例えば、これまで作業員が目視確認していたパラメーターがあれば、確認自体を自動化できる。
東芝では、パッケージをさまざまな現場に適用できるよう、産業用コンピューターである東芝インフラシステムズ株式会社の「CP30 model 300」を推奨モデルとして選定している。24時間連続稼働を前提に、高信頼・長寿命部品を採用して設計し、10年以上にわたって保守サポートも提供しているため、安心して利用できるとしている。
東芝では今後も、クラウドサービス化などの機能拡張、パートナー企業との連携強化により、ものづくりによるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくとしている。