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インテック、自治体向けIoTプラットフォームを開発、都市OS「FIWARE」を利用した実証実験を開始

 株式会社インテックは24日、スマートシティの情報基盤となる「都市OS」として期待されている、「FIWARE(ファイウェア)」を利用したセンサー情報を収集・分析・可視化するIoTプラットフォームを開発し、富山県滑川市、南砺市、上市町の協力のもと、自治体業務の効率化や課題解決を目的とした実証実験を開始すると発表した。

 今回、インテックが開発した自治体向けIoTプラットフォームは、社会・公共分野で業種を超えてデータの共有・活用を実現するデータ共有基盤の「FIWARE」と、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供するLPWAの無線通信サービス「ELTRES IoTネットワークサービス(以下、ELTRES)」を採用することで、IoT環境を短期間に導入し、エリアを限定せず全国で利用可能にする。

 自治体が独自で無線環境を構築する必要がないため、すぐに利用開始でき、プラットフォームを活用することで、児童や高齢者の見守り、雨量の観測、田畑の環境監視、各種車両のモニタリング、盗難防止といった、各自治体が抱えるさまざまな課題を解決し、職員の業務負荷削減と住民サービスの向上を実現する。

自治体IoTプラットフォームイメージ

 インテックは、富山県の滑川市、南砺市、上市町の3自治体に協力を得て、各自治体の課題について自治体向けIoTプラットフォームを使った実証実験を行う。

 滑川市は、古くから水害に悩まされてきたことから、河川の改修や、放水路の整備を行うなど、水害対策に力を入れている。実証実験では、住宅密集地に流れ込む伝五郎川に水位センサーを設置し、水位変化の遠隔監視や危険水位のメール通知を行い、水害対策に役立つかを検証する。実施時期は2021年1月~2021年7月(予定)。

実証実験(滑川市) 河川の水位監視

 南砺市は、山間部が豪雪地帯で、毎年11月に除雪対策本部を立ち上げ、冬に備えている。実証実験では、除雪車にGPSを搭載し、除雪車の位置情報や市道の除雪状況をデータ化し、除雪作業の実態を可視化することで、除雪業務委託料精算時のエビデンスとしての利用や、除雪担当エリアの見直しなどの参考データとして活用できないかを検証する。また、積雪量を確認しにくい山間部に積雪センサーを設置し、除雪の必要性について遠隔監視可能かも検証する。実施時期は2021年1月中旬~2021年2月(予定)。

実証実験(南砺市) 除雪業務の可視化

 上市町は、町鳥獣被害防止計画を策定し、町と鳥獣被害対策実施隊が一体となって被害防止に取り組んでいるが、箱罠に餌を仕掛ける作業や捕獲確認のため、定期的に現地作業を行う必要があるが、冬季に箱罠設置場所である山間部に人が入るのは負担が大きいといった課題がある。実証実験では、箱罠にセンサーを設置し、捕獲状況を遠隔で確認することで、現地確認作業の負担軽減に役立てられるかを検証する。実施時期は2021年1月中旬~2021年3月中旬(予定)。

実証実験(上市町) 獣害対策

 インテックは、これまで多くの自治体業務に関わってきたノウハウを生かし、全国の自治体の課題解決を支援するため今後もエリア、分野を特定せず、多くの実証実験を行い、自治体向けIoTプラットフォームの早期事業化を目指す。また、将来的には、各自治体のスマートシティの特性に合わせ、ELTRES以外のさまざまな通信ネットワークを複合して利用するハイブリッド方式のための機能拡張を予定する。