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NECと富士通、ポスト5Gに向けた基地局装置間の相互接続性検証技術を研究開発
2021年8月20日 18:09
日本電気株式会社（以下、NEC）と富士通株式会社（以下、富士通）は19日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（以下、NEDO）の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、ポスト5Gに対応した基地局装置（O-RAN仕様準拠）間の相互接続性を検証する技術の研究開発を、NECの英国ラボと富士通の米国ラボで行うと発表した。
8月から段階的に検証環境を両社のラボに構築し、検証を開始する予定。本検証環境を活用することで、異なるベンダーの装置間における相互接続性検証を大幅に効率化できるとしている。
第5世代移動通信システム（5G）の商用サービスが各国で始まり、さらに超低遅延や多数同時接続といった機能を強化した5G（ポスト5G）が、工場や自動車など多様な産業での活用が見込まれている。
その一環で、近年は基地局装置のオープン化の動きが活発化し、O-RAN Alliance（Open Radio Access Network Alliance）で策定されているO-RANフロントホールインターフェイス仕様により、さまざまな装置ベンダーの基地局無線機（RU：Radio Unit）と制御部（CU/DU：Central Unit/Distributed Unit）を接続することが可能になりつつある。しかし、異なるベンダーの装置間で相互接続性を迅速に検証するには、検証プロセスの確立、共通で使用できるツールの開発、検証環境の整備などが必要となる。
こうした中、NEDOは「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、NECと富士通に、2020年度から2023年度までの予定で「基地局装置間の相互接続性等の評価・検証技術の研究開発」を委託している。これを受け、NECと富士通は、異なるベンダーの装置間での相互接続性や、当該接続が情報通信ネットワーク全体に与える影響を評価・検証するための環境構築と技術開発を進めている。
さらに今回、NECは英国ロンドンNEC Europe内の、富士通は米国にあるグループ会社Fujitsu Network Communications内のO-RAN検証ラボで、基地局装置間の相互接続性を検証する技術の研究開発を開始することを決定した。
NECと富士通は今回の事業において、基地局開発やO-RANフロントホールインターフェイス仕様に対応した機器開発の経験やノウハウを集結し、O-RANフロントホールでのさまざまなベンダーの装置間相互接続性検証を行う技術を開発する。
開発する技術には、O-RAN仕様に準拠したフロントホールプロトコル（M-Plane、CUS-Plane）の正常性を検証する技術となるFHA（FrontHaul Analyzer）や、RU単体の正常性を検証するP-DU（Pseudo-DU）、通信事業者によって異なるプロファイルをインプットとして、各5Gネットワークに最適なテストシナリオを自動抽出するテストシナリオ抽出ツール、検証をより効率的に実施するためのテストパラメータ変更ツール、検証結果の良否を自動判定する検証結果判定ツールなどの独自技術が含まれる。
これらの技術を両社のラボの検証環境に導入することで、NEC・富士通以外を含む、異なるベンダーの装置間での相互接続性検証の大幅な効率化が可能になる。
英国と米国のラボでは、O-RAN仕様に準拠して標準テストができる適合性試験系（Conformance Test System）や、コアネットワークから端末までの接続検証が可能なエンドツーエンド試験系（E2E Test System）を実施可能。さらに、開発する各技術を相互接続性検証に組み込むことで、システム全体の正常性検証や性能検証などを、各国地域・事業者の商用環境に近い条件で効率的に実施できるとしている。
NECと富士通では、ラボにおいて各国・地域のキャリア、装置ベンダー、政府などと連携し、基地局装置間の相互接続性検証を大幅に効率化することで、装置導入までのリードタイム短縮を目指す。また、NEDOと協力し、事業を通してO-RAN仕様に準拠した機器のグローバルでの普及と発展を後押しし、オープンな5G市場の活性化に貢献するとしている。
