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富士通、無線基地局ソフトウェアとNVIDIAのGPU技術を組み合わせた5G仮想化基地局ソリューションを提供

 富士通株式会社は20日、通信事業者などの顧客向けに、富士通の無線基地局ソフトウェア(vCU、vDU)と、NVIDIAのGPU技術を組み合わせた5G仮想化基地局ソリューションを、2023年3月からグローバルに提供開始すると発表した。同ソリューションの開発は、株式会社NTTドコモが推進する「5GオープンRANエコシステム(以下、OREC)」の枠組みのもとで協創し、NTTドコモはソリューションの性能検証、評価に協力した。

 5G仮想化基地局ソリューションは、2022年3月に提供を開始した仮想化基地局に、NVIDIA製のGPU処理エンジン「NVIDIA A100X(以下、A100X)」と、基地局処理を実行するアクセラレーション「NVIDIA Aerial SDK(以下、Aerial SDK)」や包括的なAIフレームワークを組み合わせることで、通信事業者からエンタープライズの顧客まで幅広いユースケースに展開できる。

仮想化基地局ソリューションのイメージ

 仮想化基地局内のGPU処理エンジンA100Xのハードウェアリソースを仮想化することで、演算リソースを分散させて処理できる。これにより、無線基地局の通信処理と、AIなどを用いたコンピューティング処理を同一GPU上で並行して行えるため、従来より簡便なオールインワンの機器構成で、多様なアプリケーションを5Gネットワークと連携させて運用できる。製造現場におけるAGV(無人搬送車)の制御や、ARやVR技術を活用した映像配信など、エンタープライズの顧客による5Gの超高速、大容量、低遅延通信の特長を生かした、新たなサービス提供にも貢献するとしている。

 A100Xの演算性能を活用し、基地局の処理能力を向上させ、多くのユーザーに高品質な通信環境を提供できる。また、Massive MIMOをはじめとする将来的なアンテナ技術の向上に伴う高負荷なデータ処理にも、ソフトウェアのアップグレードのみで容易に対応できる。

 富士通は、ソリューションの提供を通じて、NTTドコモなどの通信事業者と協力し、オープンな5Gネットワークのグローバル展開に貢献すると説明。また、ソリューションは2月27日~3月2日までスペインのバルセロナで開催される世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2023」に出展する。