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デロイト トーマツ、クライアントの企業価値向上に向けFDE人材の活用を本格化

DSとFDEの連携によりAI駆動の全社変革を支援

 合同会社デロイト トーマツは4月30日、AIを活用したクライアント企業の経営・業務変革を実現するため、経営コンサルティングサービスを強化することを発表した。その一環として、6月にFDE(Forward Deployed Engineer)マネジメントオフィスを設置し、FDE人材の活用を本格化する。4月30日に行われた記者発表会では、企業価値起点のコンサルティングサービス強化に向けたFDE人材活用の取り組みについて説明した。

写真左から:デロイト トーマツ コンサルティング Financial Services Industryリーダーの守屋孝文氏、デロイト トーマツ グループ Growth Platformsリーダーの首藤佑樹氏、デロイト トーマツ ノード 代表職務執行者社長の藤岡稔大氏、デロイト トーマツ コンサルティング AI&Data Unitリーダーの下川憲一氏

 AIエージェントやエージェンティックAIの普及にともない、AI活用は単なる技術導入や一時的なPoC(概念実証)にとどまらず、企業の業務プロセスに組み込み、社内外のシステムと連携しながら継続的に成果を創出する本格実装フェーズへと移行しつつある。

 デロイトが2025年に実施したグローバル調査では、「AI施策によって将来的に収益を伸ばしたい」と考える組織は74%にのぼり、本格実装への期待がさらに高まっていることが浮き彫りになった。一方で、経営・業務変革にあたっては、柔軟性が高くシステム連携に優れるAIの特性を踏まえ、価値創出に必要な課題を見極め、継続的な改善を繰り返す高度なエンジニアリングが求められている。

 こうしたクライアントのニーズに応えるため、デロイト トーマツでは、AIを単なる業務効率化にとどめず、企業価値の向上につながる変革を構想から実装・定着まで一貫して支援するFDE人材の活用を本格的に開始する。デロイト トーマツ グループ Growth Platformsリーダーの首藤佑樹氏は、「現場でのAI実装を担うFDEと、企業価値の構造を分析し変革の重点領域を特定するDS(Deployment Strategist)が連携することで、戦略と実行を接続し、AI駆動の全社変革を支援する。これによって、単純にテクノロジーを実装して課題を解決するだけでなく、将来的な企業価値の向上まで視野に入れたビジネスモデルに切り替えていく。また、クライアントの内製化を支援し、その中で当社は、クライアントの業績に直結する成果を出すことにコミットしていく」との考えを示した。

デロイト トーマツ グループ Growth Platformsリーダーの首藤佑樹氏

 FDE人材の主な役割としては、(1)クライアントの現場へ入り込み、成果創出のための業務課題を理解し、解決策を提示する、(2)クライアントの業務課題を解釈し、データ/システムの実装可能な仕様レベルまで落とし込む、(3)短サイクルでの実装(アジャイルアプローチ)を通じて成果創出する、(4)現場で得た知見を自社の組織やプラットフォームにフィードバックし、再利用可能な形に資産化に貢献する――の4つを挙げている。

 FDEが取り扱うシステムは、「アプリ(AIエージェント)」、「システム連携」、「業務アプリケーション」、「知識基盤」、「データ管理」、「システム全体運用・統制」の6つの領域にまたがり、FDE人材には全領域に対する理解が求められる。さらに、顧客価値創出のマインドセットとともに、AI駆動のシステム・データ連携を設計・実装するフロントエンドからバックエンド、インフラまでの幅広いスキルが必要不可欠となる。

FDEが取り扱うシステムの全体像

 デロイト トーマツ ノード 代表職務執行者社長の藤岡稔大氏は、FDE人材を活用した企業価値向上の取り組みについて、「クライアントの企業価値創出に向けて、DSが戦略策定と施策設計を行い変革全体をリードする。そして、その戦略をもとに最適な専門FDEチームを組成・指揮し、複数ソリューションを組み合わせた実装によってクライアントの変革を前進させる。このDSとFDEの連携によって、BPRの実現、組織再編・人員配置の最適化、AI活用人材の増加・レベルアップ、意思決定の高度化・スピードアップ、売上拡大・収益性向上につなげていく」と説明した。

デロイト トーマツ ノード 代表職務執行者社長の藤岡稔大氏

 デロイト トーマツでは、6月からの本格開始に向け、制度整備と並行して、FDE人材の認定・育成、プロジェクトへの戦略的アサインを段階的に進めていく。「社内におけるFDE人材の質を向上させ、人数を拡大するとともに、FDEの価値を最大化するために会社横断的チームとしてFDEマネジメントオフィスを設置する。FDEマネジメントオフィスでは、FDE人材の採用・育成・制度設計・ナレッジ共有・アサイン調整などを担い、各FDEユニットを統括して品質とスピードを両立する運用を目指す」としている。

FDEマネジメントオフィスの概要

 また、記者発表会の後半では、「AI Readyな先進企業の在り方とは~金融機関編~」をテーマに、デロイト トーマツ コンサルティング AI&Data Unitリーダーの下川憲一氏と同 Financial Services Industryリーダーの守屋孝文氏によるトークセッションも行われた。

写真左から:デロイト トーマツ コンサルティング Financial Services Industryリーダーの守屋孝文氏、同 AI&Data Unitリーダーの下川憲一氏

 AI Readyな企業について下川氏は、「業務価値の出し方として、生成AIを単体ツールとして扱う段階から、社内データや他システムと連携して業務プロセスに組み込む段階へシフトしつつある。AI活用の対象となる業務は、『個人定型業務』、『組織共通定型業務』、『個人非定型業務』、『組織共通非定型業務』の4象限にまとめることができ、それらを段階的に改革対象として取り組んでいる」とし、象限ごとのAI活用イメージを解説した。

 守屋氏は、金融機関に向けたAI Readyなプラットフォーム構築支援について、「金融機関におけるAI Readyなプラットフォームは、単にデータを集めてアプリケーションを構築するだけではなく、データのガバナンス設計やユーザーのAIスキル向上、AI活用に向けたマネジメント変革まで支援していく必要がある。その中で、DSとFDEの人材が重要な役割を担うことになる」と説明。今後の展開としては、「金融業界ではいま、異業種からの参入や金融機能の他業界への広がりなど、大きな変革が起こっている。その最前線に立ってクライアントを支援していくために、現場で早期に価値創出できるDS人材の育成に力を注いでいく」と述べていた。