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2025年の国内データセンターサービス市場は4兆7231億円、IaaS/PaaSが全体をけん引~富士キメラ総研調査

 株式会社富士キメラ総研は11日、国内データセンターサービス市場の調査結果を公表した。2025年のデータセンターサービス市場規模は4兆7231億円で、2030年には6兆8189億円に成長すると予測している。

 調査では、データセンターサービス11品目、データセンター関連製品25品目の市場を調査・分析し、将来を予測している。また、この調査のシリーズで、データセンター事業者33社の動向を整理した「ベンダー戦略編」では、Webによるユーザーアンケートも行っている。

データセンターサービスの国内市場

 国内データセンターサービス市場については、生成AIの急速な普及、企業のクラウド移行やDX化の進展を背景に確実に成長を続け、2026年には5兆円超、2030年には7兆円近い規模になると予測している。これまではメガクラウドベンダーによるハイパースケールデータセンターなど大規模な投資が市場をけん引してきたが、データセンターの形態も多様化し、数十~数百MWの大規模から数MWの小規模データセンター、コンテナ型データセンターなどさまざまな新設計画が見られると指摘している。

 また、国は震災リスクへの備えや地域活性化などの点からデータセンターの地方分散を推進しており、既存の電力と通信インフラを一体的に、効率よく活用しながら追加投資を行う「ワット・ビット連携」、新たなインフラ整備を行いGW級のデータセンター集積地を造成する「GX戦略地域」などの取り組みが注目されるとしている。

 データセンターサービスの分類のうち「ホスティング(基本)」は、クラウドサービスの普及により新規案件などは減少していたが、生成AI需要の急増によるGPUサーバーの利用ニーズの高まりを受け、2025年は前年比2桁増を見込んでいる。GPUサーバーの専有環境へのニーズが強く、クラウドサービス形態だけでなく、従来のホスティング形態での利用増につながっており、2020年代後半は前年比10%以上の成長が続くと予測している。

 「ホスティング(アウトソーシング)」は、国内有数の大手企業のITシステム向けを中心とした市場だったが、現在は新規システムの構築をクラウドサービスで行うことが一般的となっているため、市場は減少していると分析している。

 「IaaS/PaaS」は、多くの新規システム開発でベースとなっており、既存のオンプレミスシステムからの移行も順調に進み、市場成長が続いている。さらに、生成AIサービスの広がりに伴ってGPUクラウドサービスの利用が広がっており、生成AIの学習やファインチューニング(追加学習による微調整)で利用が進んでいる。現状、クラウド移行が可能なオンプレミス環境のシステムはいまだに多いうえ、GPUクラウドサービスの需要も引き続き増加することで、市場拡大が続くと予想している。

 「ハウジング(基本)」は、クラウドサービスへの移行がマイナス要素であるものの、クラウドサービスでは対応できない生成AI学習用途システムや機密性の高いシステム、通信データ量増大に伴うネットワークラックの需要増加により拡大している。また、SNSなどを展開する外資系Webコンテンツ会社が、利用者増に伴い国内データセンターに大規模な投資・調達を行っていることも拡大要因だとしている。一方、「ハウジング(アウトソーシング)」は、クラウドサービスでの新規システム構築が主流であるため微減が続いている。

 「通信回線サービス」は、近年は新設データセンター数の増加に伴い、データセンター間の通信や、ユーザー拠点とデータセンターを結ぶ通信回線サービスの利用が増加している。データセンターの稼働量に比例して利用が増えるため、今後も市場拡大が続くと予想している。特に、生成AIの利用拡大と関連して、データセンターとユーザーの間でのデータ送受信や複数拠点に分散したGPUサーバー同士の接続、AIサービス利用時の通信需要などの増加が想定されるとしている。

 「共同利用」は、証券や銀行など金融業や公共団体向けの特定アプリケーションを、特定企業・団体が共同で利用するサービスを対象としている。銀行の統廃合などがマイナス要因だが、証券では、証券企業のインフラコスト削減を目的とした共同利用サービスへの移行に加え、顧客分析、ユーザーの利便性向上などを目的にIT投資が拡大しており、市場をけん引すると予測している。

 「その他」は、SaaS/DaaSなどのクラウドサービスが中心で、法改正やユーザー環境の多様化への対応、セキュリティ対策として、システムの柔軟性が高いクラウドサービスの需要が高まっていることから、今後も拡大が予想されるとしている。

 地域別データセンターの総床面積(2025年見込み)は、関東が287万4300㎡、関西が115万9380㎡、その他が55万4070㎡。主要なデータセンター事業者やユーザー企業の拠点が多い関東が60%以上を占めている。今後も、新設数が多い関東、関西を中心に伸びが続くと予測している。

 関東は、印西や東京西部、川崎市、相模原市での開発が活発で、メガクラウドベンダー向けハイパースケールデータセンターの開発が全国で最も進んでいる。東京都心部ではIXやクラウドサービスとの接続などを目的とした利用も進んでいるほか、外資系Webコンテンツ事業者向けの大規模ハウジングも拡大している。

 関西は、大阪府や京都府、奈良県、兵庫県が主要エリアで、関東と同様にメガクラウドベンダー向けのハイパースケールデータセンターの利用が増加している。2026年にはAI用の大規模データセンターの開発が計画されており、大幅な伸びが予想されるとしている。

 その他エリアは、GPUクラウド/ホスティングサービス用の拠点として各地でコンテナ型データセンターが開発されている。関東や関西と比較して小規模だが、北海道や九州では数百MW規模のデータセンター開発が予定されており、クラウドベンダーの誘致やAIサービスの拠点としての利用が進むと予想している。

 注目市場としてはコンテナ型データセンターを挙げており、コンテナ型データセンターの市場規模については、2025年見込みが347億円(2024年比3.7倍)、2030年には755億円(2024年比8.1倍)に達すると予測している。なお、輸送用コンテナを用いたデータセンターを対象としており、プレハブ工法で建設されるデータセンターは含まない。

 コンテナ型データセンターは、積載するIT機器に応じたラックや空調設備、電気設備の増設が容易であるため拡張性が高いことや、ビル型と比較して建設期間が短いことが特徴であり、小規模に投資して徐々に拡張できることから注目されている。都心部などの主要開発エリアは電力確保や建設コストの課題がある中、電力供給に余力があれば短工期である点がメリットとなり、北海道や九州など地方各地で開発が増えている。

 また、市場は、生成AIサービスの稼働に向けたGPUサーバー設置が進んでいることや、新規参入事業者の増加で拡大している。生成AIの活用ニーズに対してGPU環境が不足しており、今後もサーバー稼働環境の整備が必要になるため、市場拡大が続くと予想している。

 一方で懸念点として、データセンターを設計可能な事業者/技術者の不足を挙げている。コンテナ型データセンターでは、各種設備のハードウェアとIT技術に関するソフトウェア関連の総合的なIT知識が求められるため、対応可能な技術者が限られており、近年の参入企業は、市場の黎明期から事業を継続している企業の技術支援を受けている場合が多いと指摘している。