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KT、富士通、NTTドコモの3社、韓国でオープンRANの導入に向けた接続試験に成功

 韓国KTと富士通株式会社は6日、韓国のソウル特別市にあるKT研究開発センターにオープンRANに対応した富士通製の5G基地局を導入した検証設備を、株式会社NTTドコモによる富士通への技術協力のもとで構築し、オープンフロントホールにおける接続試験に成功したと発表した。

 オープンRANとは、無線基地局の仕様をオープンかつ標準化することにより、さまざまなベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能とする無線アクセスネットワーク(RAN)のことを指す。RANにおけるマルチベンダー構成を実現し、例えば省スペースでありながら都心の通信が集中するような場所をカバーできる小型基地局や、広いエリアをカバーできる基地局など、展開シナリオに応じた最適なソリューションの採用、RANの効率的で柔軟な機器調達と構築コストの削減を可能にする。また、仕様をオープンにしているため、安全性や透明性の高いRANを構築できる。

 韓国では5Gモバイルネットワークの普及が進んでおり、今後さらなる5Gの需要の拡大が見込まれている。こうした中、KTはオープンRAN導入によるマルチベンダー化での機器調達や構築コストの削減のほか、柔軟なネットワーク構築を促進させるため、富士通とオープンRAN検証設備を構築。業界団体「O-RAN ALLIANCE」の仕様であるO-RANに準拠して標準化された、基地局の親局(CU/DU)と無線子局(RU)間のインターフェイスであるオープンフロントホールによる、マルチベンダーの相互接続試験を、2021年10月に実施した。

 検証設備で使用された富士通製の5G基地局は、O-RANの技術仕様に準拠した基地局として、NTTドコモにより世界で初めて商用サービスに採用されたもので、富士通製の5G基地局内の親局(CU/DU)と、韓国中堅ベンダーの5G基地局内の無線子局(RU)との接続検証および、エンドツーエンドの通信試験を行い、O-RANの技術仕様に準拠した動作を確認した。富士通は、KTへの5G基地局の納入および検証サポートを担い、NTTドコモは富士通へのマルチベンダー相互接続試験に関する技術サポートを行った。

 今回の試験成功を受け、NTTドコモが富士通などのパートナー企業と推進している「5GオープンRANエコシステム」と連携し、ソフトウェア基地局(vRAN)やRANインテリジェント制御部(RIC)などの導入を、KT、富士通、NTTドコモの3社共同で推進する覚書を締結。3社は韓国におけるさらなるオープンRANの検証設備の構築とマルチベンダー相互接続試験での協力についても合意し、今後はオープンRANのグローバルな普及を目指すとともに、市場をリードするイノベーションの創出を推進していくとしている。