ニュース

KDDI、サムスン電子、富士通の3社、オープン化した5G SA仮想化基地局の商用通信に成功

 KDDI株式会社、韓国Samsung Electronics(以下、サムスン電子)、富士通株式会社の3社は18日、世界で初めて、商用ネットワークに接続するオープン化した5Gスタンドアローン (以下、5G SA)の仮想化基地局によるデータ通信に成功したと発表した。

 開発した仮想化基地局は、O-RAN標準に準拠し、オープン化したサムスン電子の無線制御装置 (DU:Distributed Unit、CU:Centralized Unit) と、富士通の無線装置 (MMU:Massive MIMO Unit)で構成される。

 従来の基地局は、無線制御装置に専用ハードウェアを用いるのに対し、開発した基地局では汎用的なハードウェアを用いている。ネットワーク機能は、サムスン電子の完全に仮想化されたソフトウェアで実現。また、無線制御装置と無線装置間のインターフェースをオープン化したことにより、サムスン電子の無線制御装置と、富士通の無線装置という異なるベンダーによる構成を実現した。

開発した基地局と従来基地局の比較

 完全仮想化されたソフトウェアは、さまざまな場所に設置したハードウェアに迅速な展開が可能となる。5G SAで提供されるネットワークスライシング機能や、マルチアクセスエッジコンピューティング (MEC) を組み合わせることで、顧客の利用用途に合わせた通信サービスを柔軟かつ迅速に提供するとしている。

 また、無線制御装置と無線装置間のインターフェイスをオープン化することにより、安全性と信頼性を確保。さまざまな機器の組み合わせが可能となるため、顧客のニーズや状況に合わせた、最適なパフォーマンスを提供する基地局を構成できるとしている。

 さらに、全国で共通化した汎用のハードウェアを利用することが可能となるため、基地局建設に関わる作業が効率化でき、完全仮想化されたソフトウェアは自動化システムとの親和性が高いため、基地局の設定作業時間が短縮され、地方などを含めた全国への迅速な基地局展開に貢献できるとしている。

 KDDIでは、2022年度中に開発した基地局を一部地域から展開する予定。また、3社は、今後もオープン化と仮想化に対応した基地局の開発を推進していくとしている。