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富士通、超低遅延・多数同時接続に対応する5G仮想化基地局の高度化技術を開発

 富士通株式会社は25日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(委託)」において、5G仮想化基地局の演算リソースをソフトウェア上で柔軟に配置、制御することで、5Gの機能をさらに強化したポスト5Gに対応可能な、仮想化基地局の高度化技術を開発したと発表した。同技術の開発により、5Gから将来のポスト5Gへのシームレスな通信インフラの移行が可能になるとしている。

 富士通では、5G基地局機能をソフトウェア化して仮想化基盤上で動作させる、仮想化基地局へのシフトが通信事業者の間で大きな潮流となっており、ポスト5G化に向けては、超高速通信に加えて、超低遅延、多数同時接続といった異なる特長を生かしたサービスを「必要な場所」「必要な時」に提供するため、多様なユースケースに対応できる柔軟性を基地局上で実現することが求められると説明。こうした背景を踏まえ、NEDOの委託事業において富士通は2020年6月から2023年3月まで、仮想化基地局を5Gからポスト5Gへシームレスに移行するための仮想化基盤技術の開発に取り組んだ。

 富士通は、5G基地局の仮想化基盤上で演算リソースをスケジューリングするパーティショニング処理技術を開発し、複数の基地局機能のリアルタイム処理を可能とした。また、基地局が処理するユーザー数やトラフィック量に応じて、動作に必要なCPUやメモリのリソースを動的に獲得するハードウェアリソース動的配置技術の開発を行い、最大データ転送量(スループット)や遅延時間(レイテンシー)などのサービス要求条件や運用中の接続端末数、サービス種別を考慮したハードウェアリソースの割り当て制御を実現した。リアルタイムで柔軟な仮想化基地局の対応により、同時接続端末数を向上させられる。

事業での開発技術イメージ

 今回開発した技術を、富士通が提供する仮想化基地局に適用することで、従来型のハードウェア基地局と比較して、スループット性能が30%、同時接続端末数が3倍に向上するとともに、ネットワーク全体における基地局設置数の削減にもつながり、初期投資から運用までの費用(CAPEX、OPEX)も、ハードウェア基地局と比較して30%以上削減できることを確認したと説明。汎用サーバーのCPUやメモリなどのハードウェアリソースを基地局処理へ動的に割り当て可能にしたことで、プライベート5G向けの小規模システムから、通信事業者が提供するパブリック5G向けの大規模ネットワークまでシステムを柔軟に構成できる仮想化基地局を実現した。

 富士通は、今回の事業で開発した技術を適用した仮想化基地局を、国内外の通信事業者が提供するパブリック5Gや自治体、企業などが運用するプライベート5G向けに、2023年度下期よりグローバルに提供を開始すると説明。また、さらなるネットワークの高度化に向けて継続して技術開発を行い、次世代の通信基盤の早期展開に貢献するとしている。

 NEDOは、今回の技術開発をはじめ、今後もポスト5Gに対応した情報通信システムの中核となる技術を開発することで、日本のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化を目指すとしている。