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NEC、インフラ事業者のデジタルツイン導入に向け大容量3D点群データを軽量で高精細な3Dデータに変換する技術を開発
2026年5月12日 15:37
日本電気株式会社(以下、NEC)は11日、世界で初めて、独自AIとガウシアン・スプラッティング(3Dの形や空間を「小さなぼんやりした点」の集まりとして表現し、それらを重ねることで、なめらかで自然な立体映像をつくる技術)を活用し、データ容量が大きく細部を把握しづらい3D点群データを、軽量で高精細な3Dデータへ容易に変換する技術を開発したと発表した。
開発した技術は、都市道路のような広範囲な地形や大規模構造物の3D点群データを変換し、タブレットや一般的なパソコン上でリアルタイムかつ現実に近く、形状や見た目を直感的に把握できる画像による表示を可能にする。また、自治体やエネルギー業界、高速道路事業者をはじめとするインフラ事業者など、現場作業が発生するさまざまな顧客において、デジタルツインの導入をより容易にする。
都市のような大規模かつ広範囲な現場状況を実寸大で仮想空間上で再現する場合には、3D点群データが広く活用されているが、データ容量が大きい点群データの閲覧には、高価な高性能マシンや専用サーバーが必要となるため、運用面で大きな負担や業務活用面での障壁が生じ、これらがデジタルツインの導入ハードルを高める一因となっていた。また、3D点群データの閲覧時には、画面上で対象物を拡大表示すると奥側が透けて見えるなど、現実の見た目と乖離(かいり)することがあり、データに基づいた意思決定を困難にしていた。
こうした課題を解決し、デジタルツインの社会実装を促進するため、NECは長年培ってきたAIやデジタルツインといった技術の知見やノウハウ、研究成果に加え、近年、映画やアニメにおける背景生成やバーチャルプロダクションへの応用が進んでいるガウシアン・スプラッティングを融合することで、今回の技術開発を実現した。
従来の大容量3D点群データでは、画面上で拡大表示した際に、建築物や機器の文字など細部が現実と乖離して表示されることがあり、ユーザーの意思決定が難しいケースがあった。開発した技術では、現場における機材や設備の形状や配置、外観を高精細に表示できるため、監督者が足を運ぶことなく遠隔から多地点を管理することや、リモートで点検・判断することができる。また、変換後の3Dデータは、軽量化に伴う形状のひずみが抑えられているため、構造物のボルトなど細かな凹凸も正確に表現でき、リモート計測などもできる。
また、開発した技術では、元となる点群データを90%軽量化できる。例えば、4.4GBの3D点群データを0.3GBの3Dデータに変換できる。これにより、表示速度が大幅に向上し、タブレットや一般的なパソコンなどの環境でのスムーズな閲覧や共有を可能にする。これにより、ステークホルダー間での報告や合意形成を迅速化できる。
技術は、NEC独自のAIを用いることで、点群3Dデータからさまざまな位置のシミュレーション画像を自動生成できる。そのため、一般的なガウシアン・スプラッティング技術で必要となる膨大な現場画像データを新たに用意する必要がなく、既存の3D点群データのみで利用できる。
これらの技術により、点検・計測業務のリモート化を可能とし、問題の早期発見や、遠隔からの判断や意思決定を通じた現場対応の効率化と、現場作業者や監督者を含むステークホルダー間での迅速な合意形成を支援し、人材不足の解消に寄与するとともに、防災やまちづくりのDX推進を後押しする。NECは、2027年度中に技術の実用化を目指す。

