ニュース
日本マイクロソフト、GIGAスクール構想を支える取り組みを強化 教員・生徒・保護者それぞれに向けた施策を展開
2021年4月16日 06:00
日本マイクロソフト株式会社は15日、教育分野での取り組みについて説明会を開催した。文部科学省が提唱する「GIGAスクール構想」の支援に向け、同社では2020年2月に「GIGAスクールパッケージ」を発表。その後、コロナ禍においても学びを止めないよう、GIGAスクール構想の早期実現に向け対応を進めてきたという。
GIGAスクール構想では、1人1台のICT環境を前提に教育現場でのICT活用を進めることになる。こうした環境でのICT活用に向けた取り組みを、日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長の中井陽子氏が、教員向け、生徒向け、保護者向けといった対象者別に説明した。
まず教員に向けては、教員向けプラットフォームの「Microsoft教育センター」や、自治体向け無償研修「GIGA Start Program」、教員向けサポートコミュニティ「マイクロソフト認定教育プログラム」といったプログラムをすでに展開している。Microsoft教育センターには60以上の教員向けセルフラーニング動画教材を用意しており、1カ月平均4000人の教員が利用中。GIGA Start Programでは、自治体に無償の教員研修プログラムを提供し、累計2万5000人以上が研修に参加した。マイクロソフト認定教育プログラムでは、同社の教育ツールを活用している教育者をマイクロソフト認定教員(MIE)とし、中でも教育の変革を目指す教育者289人をマイクロソフト認定教育イノベーター(MIE Expert、MIEE)と認定、情報発信の担い手となってもらっている。
こうした取り組みに加え、6月には教員向け活用ポータルとなる「Microsoft Education授業・学校活用素材集」を公開する予定だ。中井氏は、同ポータルについて「実践例や教材、指導案を提供するほか、文部科学省によるGIGAスクール構想関連の情報発信サイト『StuDX Style』との連携も視野に入れている」と話す。また、マイクロソフト公認のコミュニティ活動として、地域に根ざしたオフライン・オンライン双方のローカルコミュニティ「Microsoft Educator Local Community」も用意する。
生徒に向けては、「Minecraft: Education Edition(教育版マインクラフト)」を活用したレッスンを公開しているほか、プログラミング学習プラットフォームの「Microsoft MakeCode」も用意。2020年には、Minecraftを利用したコンテスト「Minecraftカップ2020」を開催し、参加者が「未来の学校」をテーマに将来の理想の学校を企画した。
4月からは新たに、STEM教育コンテンツ「Hacking STEM」日本語版の無償提供を開始する。中井氏によると、Hacking STEMはすでに世界200カ国以上で使われているコンテンツ。日本でも1人1台の環境が整ってきたことから、日本語版の提供に踏み切る。
また、大学生が最先端テクノロジーを学習する際の無償コンテンツとして、学生向け「Microsoft Learn」を用意する。「STEM教育の延長として、文系・理系を問わずテクノロジーの学習を進めてほしい」と中井氏は述べ、すでに海外でさまざまな大学がMicrosoft Learnを教育に取り入れていることや、日本でも東京工科大学コンピュータサイエンス学部がMicrosoft Learnを活用したIT人材育成を開始していることを紹介した。
保護者に対する取り組みについては、「GIGAスクール構想によって家庭学習が始まることから、保護者向けの情報を充実させている」と中井氏。例えば、PCの持ち帰り学習時に安心してPCを使えるためのマニュアルを3月に公開したほか、保護者からのアクセスが急増しているコンシューマー向け情報サイト「Microsoft atLife」でも、ペアレンタルコントロールを含めたPCの設定や操作の基本などの情報を提供している。
さらに、これまで小学生向けの特集ページを用意していたOffice活用情報サイト「楽しもうOffice」にて、新たに高校生特集も開設。学習を支えるOfficeテンプレートや、リモート学習で需要が高まったバーチャル背景などを提供している。
このほかにも中井氏は、1人1台の学びを支えるプロジェクトとして「きみの学びが、世界を変える」というプロジェクトを15日より開始し、GIGAスクール専用サイトを同日よりリニューアルしたことにも触れた。「新サイトでは、生徒主体の新しい学びの取り組みを紹介しているほか、生徒の多様化を支援するマイクロソフトの取り組みについても情報提供している」と中井氏は説明している。
GIGAスクール構想においては、さまざまな端末が採用されており、特にChromebookのシェアが高いと見られている。Windows PCのシェアについて中井氏は「35~6%だろう」としているが、「シェアを高めるような目標を掲げるよりは、Windowsを選んだユーザーの期待に応え、満足してもらうことが優先。今後も教育現場でのICTを定着させ、数年後の学びの場を変えていきたい」と述べた。