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オムロン阿蘇、生産データの活用基盤として「Oracle Autonomous Data Warehouse」と「Oracle Analytics Cloud」導入

 日本オラクル株式会社は5日、オムロン阿蘇株式会社が、生産データの活用基盤として、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)で提供されているクラウドデータウェアハウス(DWH)「Oracle Autonomous Data Warehouse」と、クラウド型アナリティクスサービス「Oracle Analytics Cloud」を導入したと発表した。

 オムロン阿蘇では、従来、生産ラインの稼働実績を把握するにあたって、現場の従業員が手作業でカウントし、そのデータを終業後に収集して表計算ツールへ入力・集計するという方法を採用してきたため、リアルタイムな生産進捗状況の把握、属人化による作業ミス防止および作業負担削減による業務効率向上が求められていたという。

 そこで同社は、これらの課題を解消しながら、可視化された生産データの経営判断への活用を推進できるよう、生産情報などの製造データを収集・集計・可視化するシステム構築に着手した。

 ツールの選定においては、日々の改善活動でのデータ分析範囲を徐々に広げていくため、新しいデータの取り込みや、製造データだけではなく財務情報や経営データを含む他システム内データとの連携性を重視して、複数のデータ分析ツールを比較・評価したが、その結果、直感的なUIや高い操作性なども評価してOCIの両サービスを選定している。

 さらに、他社がユーザーライセンス課金であるのに対し、両サービスは従量制課金で利用でき、将来的な分析画面追加などの工数や、データの増加に伴う開発者・利用ユーザー数の追加の際にも運用コスト増の懸念がない点についても、選定のポイントになったとのこと。なお両サービスは、高い性能および高度なセキュリティを備えながら、オンプレミスで稼働する他社ツールと比較して、導入コストを約70%削減できたとのこと。

 オムロン阿蘇では、日本オラクルのコンサルティング・サービス部門の支援のもと、1カ月の短期間でデータ活用基盤を構築。生産ラインの進捗状況を可視化する画面作成を完了し、2020年5月から順次運用を開始している。

 具体的には、ソーラーパワーコンディショナの生産3ラインに、生産した製品の通過を自動カウントするRFIDの仕組みを構築し、そのデータを自動集計することで、生産開始時間・工程完了時間・生産数などの情報を可視化した。

 可視化された画面は、工場内モニターで生産現場従業員が進捗確認を行うだけでなく、本社オフィス内に設置した大画面モニターにも表示されるほか、コロナ禍での在宅勤務中の従業員も自宅PCからのアクセスが可能。現場担当者、経営者や生産部門の監督者・管理者が、同じ生産ラインの進捗状況をリアルタイムで確認できる環境を実現している。これにより、生産ラインに異常を検知した際にはリモートで迅速かつ適切な対応手段を協議でき、より迅速かつ効果的な対応を講じられるようになったという。

 また、これまで手作業でデータを収集し、表計算ツールに入力・集計していた現場の作業負荷や、本社担当者の工場・現場への移動時間の削減など、従業員の業務負担を軽減。さらには、異常発生時の生産部門の監督者・管理者や現場従業員の心理的負担の軽減にも寄与したとしている。