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デル、第4世代CPUとGPUで「シン・パワーエッジ」へと進化する新世代サーバー群を発表

サブスク型のAPEXも、今年後半に利用可能なハードウェアの選択肢を拡大へ

 デル・テクノロジーズ株式会社(以下、デル)は24日、オンラインで記者会見を行い、同社が「シン・パワーエッジ」とプロモーションネームをつけて呼ぶサーバー製品、「Dell PowerEdge」(パワーエッジ)の新世代製品を発表した。

 Power Edgeの新世代製品は、すでに11月に発表されているAMD 第4世代EPYCプロセッサー(以下、第4世代EPYC、開発コード名:Genoa)と、先日発表されたばかりのIntel 第4世代Xeonスケーラブル・プロセッサー(以下、第4世代Xeon SP、開発コード名:Sapphire Rapids)を搭載した新世代のシャーシを採用しているだけでなく、NVIDIA H100(開発コード名:Hopper)、Intel Data Center GPU Maxシリーズ(開発コード名:Ponte Vecchio)を8つないしは4つ搭載できるシャーシなどを提供。汎用向けだけでなく、AI/ML向け、CSP向け、エッジ/通信キャリア向けなどの目的別の製品が用意されていることが大きな特徴となっている。

“シン・パワーエッジ”という愛称でプロモーションを行う予定のDell PowerEdgeシリーズ

国内サーバー市場でデルは市場のリーダーに、この6年でシェアは倍、売上は3倍に

 デル・テクノロジーズ株式会社 執行役員 副社長 データセンターソリューションズ事業統括 松本光吉氏は、デルの日本国内でのビジネス概況や現状などに関して説明した。

デル・テクノロジーズ株式会社 執行役員 副社長 データセンターソリューションズ事業統括 松本光吉氏

 松本氏は「当社のサーバー事業は非常に好調に推移している。6年前と比較してシェアが倍になり、売上も3倍ぐらいになっており、マーケットリーダーとして、シェアでは2位へかなり差をつけて1位になることができた」と述べ、同社の国内サーバービジネスがこの6年で大きな成長を遂げたことを強調した。

デルのサーバービジネスの推移

 そしてデルのサーバービジネスが好調な背景として、テクノロジー、プロセス、ピープルという3つの要素を挙げた。

 松本氏は「テクノロジーという観点では5G基盤の構築、プライベートクラウド、AI/HPCがトレンドになっており、それらに対応していくことが重要だ。プロセスという点では、半導体不足などによるサプライチェーンの課題などに対してお客さまにタイムリーに製品をお届けしていくことなどが重要になっている。また、コロナ禍の中で非接触を前提としてお客さまとのコミュニケーションをとる方法を構築してきた」と述べ、そうした取り組みを行ってきたことが評価されて、デルが国内サーバー市場でナンバーワンのベンダーになれたのだと自己分析した。

 例えば、安定したサプライチェーンの構築では、「お客さまに出荷する2日前の段階ではまだ部品のままという状態で、いつもお客さまには、文字通り“熱々”の製品をお届けすると、冗談で言っているぐらいだ。流通のオーバーヘッドを入れても、1週間以内に作った製品を届ける体制を作ってきた」と説明。ほかにも特定の部品に依存しない製品を作り、代替品を容易に調達できるような体制を執るなどして、顧客に対してオンタイムで製品を提供できる体制を整えてきたと強調した。

堅調なサーバー事業の主な背景
Technology
Process
People

 その上で、今年のデルのサーバー市場展望としては「多種多様な用途やユースケースに応じた製品の展開が求められる。きちんとしたテクノロジーをお客さまにお届けできるように、きちん専用設計された目的に応じたサーバー機器を設計していき、タイムリーに提供できるようにしていきたい」と述べ、今年は多種多様な用途に応じた設計した機器を展開し、それを顧客に訴求していきたいと説明した。

23年国内サーバー市場の展望
市場展望(デル予測)
23年のデル サーバービジネス

汎用、AI/ML、通信キャリア/エッジ、CSP向けと4つのパーパスビルドな製品を用意する「シン・パワーエッジ」

 続いて、デル・テクノロジーズ株式会社 執行役員 製品本部長 データセンターソリューションズ事業統括 上原宏氏が、2023年モデルのデル サーバー製品に関しての説明を行った。

デル・テクノロジーズ株式会社 執行役員 製品本部長 データセンターソリューションズ事業統括 上原宏氏

 上原氏は「グローバルなキャンペーンとしては“PowerEdge.Next”として新しいプラットホームをアピールしているが、日本では“シン・パワーエッジ”というタイトルで展開していきたい」と述べ、新しいPowerEdgeのアピールは「シン・パワーエッジ」というタイトルで行っていきたいと述べた(この記事のトップ画像参照)。

 そうした新しいPowerEdgeシリーズの特徴は、パーパスビルドと呼ばれる、顧客のニーズに合わせた製品展開を行っていくことだとし、Core(従来のサーバー機器の延長線上にある汎用)、AI/ML(AI、マシンラーニングやHPC向けのサーバー)、Edge/Telco(5Gのインフラなど通信キャリア向け)、CSP(クラウドサービスプロバイダー向け)といった、4つのカテゴリーに分けて製品展開を行っていくと述べた。

デルのポートフォリオ
4つの分野
4つの分野それぞれの製品

 なおデルは今回、2023年向けのモデルに新しいシャーシを導入し、新世代のCPU/GPUに対応した熱設計、新しい世代のメモリ(DDR5)やストレージなどへの対応などを行っている。

 例えばCPUに関しては、2022年11月に発表されたAMDの第4世代EPYC、そして先日発表されたばかりとなるIntelの第4世代Xeon SPを搭載しており、新しい熱設計により、350W~360Wという両CPUのTDPが発する熱をきちんと放熱できる熱設計を行っていると説明した。

 またGPUに関しても同様で、NVIDIA H100 GPUを最大8つ、IntelのData Center GPU Maxを最大4つ搭載できるようなシャーシが用意され、目的に応じて選択することができるという。

新しいシャーシの特徴

 そしてそれらに共通の機能として、クラウドを利用した管理機能「CloudIQ」、電力管理やCO2排出量の可視化などが行える「OWE PowerManager」、SSL証明書の有効期限の管理やGPU監視などのセキュリティ監視が可能な「iDRAC」などの機能が提供されると説明された。またそれらを利用して、2050年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロにする目標の実現を目指していくと説明された。

システム管理の新機能
サステナブルな製品作り
冷却への取り組み
2050年までに温室効果ガス排出量の正味ゼロを目指す

 個別の製品を見ると、汎用用途向けのPowerEdge R760は、CPUが第3世代から第4世代Xeon SPに強化され、AI推論で2.9倍、VDIのユーザー数で20%増、SAP SDアクセスユーザー数で50%増と、世代をアップグレードするだけで性能強化を獲得できると上原氏は説明した(ただし、AI推論はIntelの新命令AMXなどへの対応を含んだ向上率)。

PowerEdge R760

 またAI/ML向けには、NVIDIA H100が8つ搭載できるPowerEdge XE9680(6U/空冷)、そしてNVIDIA H100ないしはIntel Data Center GPU Maxが4つ搭載できるXE9640(2U/水冷)、NVIDIA H100が4つ搭載できるXE8640(4U/空冷)、AMD/NVIDIA/IntelのGPUを350W版が4つ、75W版を12個搭載できるR760xa(2U/空冷)などがあり、DellのNVIDIA H100を搭載したモデルには、NVIDIAのAI開発環境「NVIDIA AI Enterprise」が無償でバンドルされると説明された。

GPU搭載モデル

 また、そのほかにもCSP用のPowerEdge HS5610/HS5620、大容量データストレージ向けのPowerEdge R760xd2、エッジ向けにはPowerEdge XR4000などが提供されると説明された。

CSP、大容量ストレージ向け、エッジ向け

 なお、今回発表されたPowerEdgeだが、価格はいずれもBTOのオープンプライスで、参考価格として、Xeon Gold 6414Uが1ソケットのPowerEdge R660は274万3352円から、Xeon Gold 6414Uが2ソケットのPowerEdge R760は373万8397円から、という価格が公開されている。

価格など

APEXのラインアップを今年後半に拡大し、マルチクラウドを使いこなしたいという顧客ニーズに応える

 最後にデル・テクノロジーズ株式会社 APEX & Solutions プロダクトマーケティング フィールドマーケティングコンサルタント 野崎絵里佳氏は、Dellが提供している「アズアサービス」(as-a-Service)事業となる「APEX」に関しての説明を行った。

デル・テクノロジーズ株式会社 APEX & Solutions プロダクトマーケティング フィールドマーケティングコンサルタント 野崎絵里佳氏

 APEXは、顧客企業にとって新しいITを導入する時に大きな課題となる初期投資を最小限にしながらサーバーのインフラを導入できる、サブスクリプション型のサービスだ。野崎氏によれば、「企業はマルチクラウド環境に踏み出そうとしているが、現状は結果的に複数のクラウドをつかってインフラを構築した結果、クラウドがサイロ化している。そこで、APEXのようなアズアサービスを選択して、その状況を解決したいと考えている」と言及。大企業などでクラウドの導入が進んでいるが、あるパブリッククラウドにあるデータは別のパブリッククラウドで利用できないなど、サイロ化(たこつぼ化)が発生しており、使い勝手や効率の点に問題があるため、それを解決していきたいと考えていると説明した。

マルチクラウド
APEXの価値

 そうした時に、自社のデータセンターなどのオンプレミスで機器を置くことができるが、サブスクリプション型の課金モデルになっているAPEXは最適であり、2023年後半からは、より広範囲に製品の選択肢を増やし、APEXコンソールと呼ばれるクラウドベースのツールなどにコンピュートメニューが追加され、幅広いハードウェアを選択して契約可能になると述べた。

23年後半にコンピュートメニューが追加される