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シスコ、ローカル5Gの展開を支援する「5Gショーケース」を開設

通信事業者から企業までエンドツーエンドの実証ネットワーク基盤を提供

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は12日、高速移動通信方式5Gの価値創出を推進し、エンドツーエンドの5Gネットワーク環境で実証実験が可能となる「5Gショーケース」の運用を開始したことを発表した。

 同日に行われたオンライン説明会では、「5Gショーケース」を開設する背景や概要説明のほか、シスコと東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)による5Gに関する取り組みも紹介した。

「5Gショーケース」のイメージ画像

5Gに関するオープンラボやデモ環境、エンドツーエンドの実証ネットワーク基盤を提供

 「5Gショーケース」は、あらゆる業界の顧客やパートナー企業とともに、5Gの積極的な活用方法を創造・提案し、デジタル変革の推進を支援することを目的に、シスコ東京オフィス27階のCPOCラボに開設。5Gに関するオープンラボやデモ環境、エンドツーエンドの実証ネットワーク基盤を提供する。

 シスコ 副社長 情報通信産業事業統括の中川いち朗氏は、「5Gのインフラは、当社が2021年度の重点戦略の中で注力分野として挙げている『トラベル、ツーリズム&トランスポーテーション(TT&T)』、『デジタルワークプレース』、『パブリックセーフティ』、『インダストリー4.0』、『デジタルスクール』を実現するために重要な役割を担うことになる。そして、今後本格的に5G事業を推進していく上では、コンシューマでの展開に加え、企業や公共機関での活用およびユースケースの創造が必要不可欠になると考えている。今回の『5Gショーケース』は、これらの取り組みをドライブするものと位置づけている」と説明する。

シスコ 副社長 情報通信産業事業統括の中川いち朗氏

 また、「5Gでは、スマートシティやスマート工場、自動運転など、デジタルとリアルが融合した新たなサービスが期待されている。一方で、5GによるDXを加速させるためには、企業や業界の垣根を越え、通信事業者の通信インフラから企業内のシステムまで含めて連携することが重要になるが、今までそうした環境は存在していないのが実情だった。そこで、『5Gショーケース』では、通信事業者の5Gアーキテクチャと企業のネットワークをエンドツーエンドでデジタル連携し、企業・通信事業者・エコパートナーとともに、ソリューションを共創する場を提供していく」と、「5Gショーケース」を開設することの意義を述べた。

「5Gショーケース」の開設趣意

 具体的には、通信事業者の商用インフラをモデリングしたネットワークと企業システムを模したネットワークを接続し、シスコの先端テクノロジーとエコシステムパートナーのテクノロジーを組み込んだ完全なエンドツーエンドネットワークを構築する。また、5Gリファレンスアーキテクチャの上で実現されるネットワークソリューションをデモンストレーションする。

「5Gショーケース」の構成イメージ図

 オープンラボの機能としては、通信事業者、企業、公共機関、エコパートナーや業界アプリケーションとのオープンな共同イノベーション環境を提供し、エンドツーエンドの環境下でアプリケーション開発とテストを実施する。また、シスコのエンジニアがPoC(概念実証)をサポートし、PoCラボ環境の構築に必要なナレッジを提供することで、時間、費用を削減する。

 さらに、通信事業者、企業ユーザー、エコパートナーとともに、5Gを活用したあらゆる業界のビジネスに大きな革新をもたらすユースケースを創出し、DXの加速を支援していく。

 シスコ 業務執行役員 情報通信産業事業統括 システムズエンジニアリング本部長の吉田宏樹氏は、「5Gショーケース」のメリットについて、「サービスプロバイダのインフラとエンタープライズ企業のインフラを融合した模擬ネットワークを構築できるのは『5Gショーケース』のほかにはないと考えている。また、『5Gショーケース』では、当社の先端テクノロジーを積極的に投入するだけでなく、サードパーティの製品やソリューションも展開できるオープンな相互接続検証環境を提供する。これにより、エコパートナーや顧客とともに技術課題を抽出・解決し、5Gを活用した具体的なユースケースを共創することが可能となる。さらに、技術者コミュニティを形成し、5Gにかかわるイノベーション情報を世界に発信できる場としていく」と強調した。

シスコ 業務執行役員 情報通信産業事業統括 システムズエンジニアリング本部長の吉田宏樹氏

 今後、「5Gショーケース」では、5Gソリューションやデモを追加するとともに、製造、輸送、エネルギーなどの業界の垂直ソリューションなどを増強し、5Gおよびそれ以降の積極的な活用方法を創造・提案していく。

 また説明会では、NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 テクニカルソリューション部 ソリューションアーキテクトグループ 担当部長の門野貴明氏が、シスコとの5Gに関する取り組みについて紹介。「シスコとの協働展開としては、総務省によるローカル5Gの実証事業における取り組みの中で、新潟県によるリモート環境での新しい働き方の実証を進めている。ここでは、高精細カメラを用いた遠隔会議システムや3D-VRによる遠隔協調作業システムの構築において、シスコのモバイルコア製品を活用することで、5Gに最適化したハイパフォーマンスなシステムを実現した。今後もシスコとの連携によって、今まで以上にローカル5Gの普及を加速していきたい」と語った。

NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 テクニカルソリューション部 ソリューションアーキテクトグループ 担当部長の門野貴明氏

 「5Gショーケース」への期待については、「当社は今年7月、調布市のNTT中央研修センタに『ローカル5Gオープンラボ』を開設し、オープン3か月でローカル5Gの検証・設備見学で約40社が来場している。今回シスコが開設した『5Gショーケース』では、同社が持つエンタープライズ企業におけるネットワーク構築の実績や知見を生かし、ローカル5Gのさまざまなユースケースを生み出していってほしい」と述べた。