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サイバートラスト、IoT機器の長期使用を実現するサービス「EM+PLS」を強化

IoT機器向け「EMLinux」がLinux高速起動ソリューション「LINEOWarp!!」に対応

 サイバートラスト株式会社は5日、IoT機器の長期使用を実現するサービス「EM+PLS(イーエムプラス)」を機能強化すると発表した。

 EM+PLSは、IoT用Linuxと製品の長期利用を支援するサービス。IoT機器の「設計・開発」から「生産・保守・保全」「廃棄・再利用」の段階に至るまで、ライフサイクルを通したIoT機器の信頼性の担保と継続的開発が可能な環境を実現するという。

 今回の機能強化では、産業グレードの長期利用を実現するIoT機器向けLinux OS「EMLinux」が、リネオソリューションズ株式会社の組み込みLinux高速起動ソリューション「LINEOWarp!!」(以下、Warp!!)に対応した。

 通常、組み込み機器は電源投入後、Linux Kernelから、サービス、起動画面、アプリケーションなどの起動プロセスを経るのに対し、「Warp!!」では、アプリケーションが起動している時のメモリ状態をあらかじめ記憶媒体にスナップショットイメージとして保持しておき、起動時にそのイメージをメモリに展開してOSの起動処理を省略することで、システムの起動を高速化してくれる。

 今回、EMLinuxが「Warp!!」に対応したことで、車載機器、複合機といった、省電力のため利用時以外は電源を落としている機器や、IoT家電などのロボティクス、バッテリー駆動のコンシューマ機器、建機やパネコン、エレベーターなど、瞬断から迅速な復帰が求められる機器、緊急時に電源を入れて利用する医療機器などにおいて、機器の起動をさらに高速化し、サービスの品質向上を支援できるとしている。

 なお、「Warp!!」のこれまでのSoCでの適用例としては、NXP i.MX8MQ(Android 8.1.0)で25.1秒から7.10秒に、Renesas RZ/G1E(Gecko)で38.54秒から3.47秒に、NXP i.MX6(Qt)で35.29秒から4.16秒に高速化など、100以上の組み込み機器への実装実績があるとのことだ。

 加えて今回は、「EM+PLS」ユーザーとサイバートラストのサービス部門とのコミュニケーションを一元化するカスタマーポータルを開発し、「EM+PLS」の全メニューの利用者向けに、最新版の「EMLinux」とあわせて提供開始している。

 このポータルは、リリース物の配布と脆弱性情報の提供、ユーザーサポートをポータル上で実施するもので、複数メンバーの問い合わせ履歴や対応履歴が一元的に把握可能になり、開発を効率化できるほか、ポータル経由でアップデート適用済みの最新のEMLinuxも入手可能になる。

 サイバートラストでは、セキュリティアップデートを取り込んだ最新版のEMLinuxを隔月で提供しているが、最新版のEMLinux 2.2より「Warp!!」に対応し、カスタマーポータルより提供するとのこと(「Warp!!」については、別途購入が必要)。