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サイバートラスト、製造業でのIoT機器の長期使用を支援する「EM+PLS」を発表

IoT機器向けトラストサービスで東芝デバイス&ストレージと提携

 サイバートラスト株式会社は9日、製造業におけるIoT機器の長期使用を実現する新サービス「EM+PLS(イーエムプラス)」を2019年秋から提供すると発表した。また、これに伴いサイバートラストと東芝デバイス&ストレージ株式会社は、IoT機器向けトラストサービスで提携すると発表している。

 同日に行われた記者発表会では、新サービス「EM+PLS」の概要および東芝デバイス&ストレージとの提携による取り組み内容について説明した。

記者発表会で握手するサイバートラスト 副社長 執行役員の伊東達雄氏(左)と、東芝デバイス&ストレージ システムデバイス事業部 事業部長の松井俊也氏

 「EM+PLS」は、製造業向けIoT用Linuxと製品の長期ライフサイクルを支援するサービス。IoT機器の「設計・開発」から「生産・保守・保全」、「廃棄・再利用」の段階に至るまで、ライフサイクルを通したデバイスの信頼性の担保と、継続的開発が可能なIoT開発環境を実現し、製品の長期利用を支援するという。

 サイバートラスト 副社長 執行役員の伊東達雄氏は、新サービスを提供する背景と狙いについて、「製造業では現在、オートモーティブや鉄道/航空、通信・交換機、ファクトリーオートメーションなど、ほとんどの製品で10年以上の利用期間にわたり継続した保守・運用と法律の順守が必要となっている。その中で、近年の国際的なIoT機器のサイバーセキュリティ対策では、『自由なデータ流通の信頼性』および『サプライチェーン全体の信頼性』を担保することが重要になってきた。また、急速なIT化により開発の複雑化や肥大化が進み、製品リリースの短期化・効率化が求められている一方で、すべてを自社開発することは難しいのが実情だ。そこで今回、これらの製造業の課題を解決するサービスとして『EM+PLS』を提供する」と述べた。

サイバートラスト 副社長 執行役員の伊東達雄氏

 具体的には、IoT機器の長期間かつ継続的な提供を支援するため、「長期利用できるIoT用Linux」、「本物性を担保するトラストサービス」、「コンプライアンスツールの拡充」という3つの要素を実現するソリューションを提供する。

「EM+PLS」のサービス概要

 まず「長期利用できるIoT用Linux」では、長期的にファームウェアアップデートができ、ソフトウェアの脆弱性対応が可能な組み込み向けLinuxとその仕組みを提供する。「『EM+PLS』で提供するIoT用Linuxは、コミュニティとの連携により10年間のパッチ提供をコミットする。また、製造業向けに最適化し、リアルタイムOSと共存して利用できるようにする」(伊東氏)としている。

 なお今回のサービス発表と同時に、産業グレードの長期利用を実現する組み込み向けLinux OSとして「EMLinux(イーエムリナックス)」の試用版を提供開始している。

 「本物性を担保するトラストサービス」では、国際機関認定の認証局が運営するIoT認証基盤で信頼の起点を担保し、IoT機器が本物であることを担保するトラストサービスを提供する。

 同サービスでは、識別情報を安全に格納するルートオブトラスト、完全にユニークな識別情報であるトラストアンカー、個体を識別してデバイスの管理を行うトラストサービスによって、製品ライフサイクルの全過程でIoT機器の本物性を担保する「セキュアIoTプラットフォーム」の構築を目指す。

本物性を担保するトラストサービス

 「コンプライアンスツールの拡充」では、IoT関連の法改正や変化するコンプライアンスに対応し、半導体設計・製造からIoT機器製造、販売・設置、運用・保守、廃棄・リユースまでのサプライチェーン全体をトラストチェーンに変えるツール群を、パートナー企業と連携して提供していくという。

 また今回、「EM+PLS」で提供するIoT機器向けトラストサービスにおいて、サイバートラストと東芝デバイス&ストレージが提携することが発表された。

 具体的な提携内容としては、東芝デバイス&ストレージのデバイス設計や実装に関する知見と、サイバートラストの組み込みLinux技術、認証・セキュリティ技術を活用し、IoT機器の設計から廃棄に至る全過程において、機密性、完全性、可用性を確保したシステムの構築を目指す。

 今後、両社では、東芝デバイス&ストレージ製マイコンとサイバートラストが提供する「セキュアIoTプラットフォーム」を組み合わせたソリューションに関して、市場調査、共同拡販、構成技術の要件検討などを進めていく。

サイバートラストと東芝デバイス&ストレージの提携イメージ

 東芝デバイス&ストレージ システムデバイス事業部 事業部長の松井俊也氏は、「当社のシステムデバイス事業では、サイバーフィジカルシステム(CPS)社会の実現に向けて、フィジカル空間のセンシング、データ処理、制御を担うさまざまなエッジデバイスを展開している。例えば、センシング分野では車載ADAS向け製品、データ処理分野ではマイコンやカスタムIC、制御分野ではモーターコントロールドライバなどを提供している」と、システムデバイス事業部の取り組みについて紹介。

 「今回の提携では、当社のマイコンを活用したトラストアンカーやルートオブトラストを半導体設計・製造段階で提供し、サイバートラストのトラストサービスと連携することで、車載・産業・民生機器の信頼性を担保するプラットフォームを確立していく」と、提携における同社の役割を説明した。

東芝デバイス&ストレージ システムデバイス事業部 事業部長の松井俊也氏

 「EM+PLS」の今後の展開としては、コア機能を試用できる組み込み向けLinux OS「EMLinux」試用版を本日より提供開始し、パートナーや企業ユーザーに対して使用感などのフィールドテストを経て、今年秋のサービス提供開始を目指す。2020年以降は、グローバル展開を視野に、機能拡張を含め段階的にアップグレードを実施しつつ、対応するSoCや各パートナーとの連携を強化していく予定。