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オープンソース監視ソフト「Zabbix 5.2」リリース、スクリプトを用いた柔軟な監視に対応
IoT/産業機器の監視、収集済みデータの分析による障害検知などもサポート
2020年10月29日 12:37
ラトビアZabbixは27日(現地時間)、オープンソース監視ソフトウェア「Zabbix」の新版「同 5.2」をリリースしたと発表した。複雑な合成モニタリングやセキュリティ関連の改善、IoT/産業機器の監視機能など、30以上の新機能と機能強化を搭載したという。
Zabbixは、サーバー、ネットワーク機器、サービス・その他のITリソースを監視・追跡できるよう開発された、オープンソースの監視ソフトウェア。
今回の新版では、JavaScriptを利用した監視データ収集設定に対応し、複雑な収集データの加工や複数ステップの監視処理が可能になった。スクリプトからHTTPリクエストを送信でき、クラウドやマイクロサービス、アプリケーションの監視を行う場合に、複数回のリクエストを実行して監視データを収集するといった、より柔軟な監視処理を行えるという。
また、新たにサポートしたトリガー関数により、蓄積した長期間の監視データを解析することで、通常時とは異なる値を障害として検知可能にしている。これにより、例えば、「9月にネットワークトラフィック量が28%増加した」「先週の新規ユーザー登録数が12%減少した」など、従来対応していた単純なしきい値監視だけではなく、異常値を検知した障害通知を行えるとのこと。
Zabbix社では、この機能を、システムのリソースの監視だけではなく、セールスやマーケティングの効果、カスタマーサポートのクオリティなどのビジネスパフォーマンスを測定するためのKPIにも利用できるとアピールしている。
さらに、IoTのスタンダードであるMQTTとModbusプロトコルに対応し、センサーやFA機器をZabbixで一元的に監視できるようになった。なお、これらのプロトコルの対応はZabbixエージェント/Zabbixエージェント2で行っており、エージェント経由で監視対象の機器から監視データの収集を行える。
セキュリティ面では、HashiCorpの機密情報管理ソフトウェア「Vault」と連携することで、パスワード、暗号化キー、トークン、ユーザー名などの機密情報を安全に保存できるようになった。Zabbixのデータベースにはこれらの認証情報を保存せず、セキュアな方法で外部へ保存できるようになったため、監視システムの、より安全な運用を実現するとのことだ。
ユーザーロールの機能を追加し、ユーザーごとにWebインターフェイスの各メニューや各設定、Zabbix APIの各メソッドへのアクセス許可を細かく設定可能となった。これにより、ダッシュボードのみにアクセスできるユーザーを作成したり、特権管理者ユーザーのアクセス権限を制限したりすることができる。
このほか今回は、UIとAPIの負荷分散や、フィルター設定に名前をつけて保存しクリック1つで再利用できるカスタムビュー機能、ホストやテンプレートのインポート/エクスポートにおけるYAML形式のサポート、といった改善も行われている
なおZabbixは、おおむね1年半ごとに安定版が提供され、5年間サポートが提供されるLTS(長期サポート:Long Term Support)と、6カ月ごとに安定版が提供されるポイントリリースの、2つのリリース形態で提供されており、今回提供開始となったZabbix 5.2はポイントリリースにあたる。