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日本IBM、生成AIや音声認識AIを用いて医療文書作成を支援するソリューション

電子カルテシステム「CIS」のオプションとして提供

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は17日、電子カルテシステム「IBM Clinical Information System(CIS)」の拡張機能として、医療従事者の業務負荷の削減を目指す「病院業務支援AIソリューション」を開発したと発表した。生成AIや音声認識AIを活用し、病院における記録作成や医療文書作成といった非診療業務をほぼ自動化するもので、今回はその最初の機能として、「退院サマリーのドラフト自動作成機能」を同日より提供開始する。

退院サマリーのドラフト

 「病院業務支援AIソリューション」は、生成AIや音声認識AIを活用し、医療情報交換のための国際標準規格「HL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)」を介して「CIS」から取得した患者のカルテなどの情報を基に、医療文書のドラフトを自動生成するもの。

 作成された文書は、「CIS」クライアントを通じて直接「CIS」に取り込めるが、取り込み時には医療従事者による確認が必要な設計となっており、医師や看護師により適切に確認・修正された内容のみが「CIS」に保存されるという。

 また生成AIは、日本IBMのIBM watsonxだけでなく、Microsoft Azure OpenAI、Amazon Bedrockといった多様な生成AIプラットフォーム上で稼働できるため、医療機関それぞれの要件や予算、セキュリティポリシーなどに応じて最適な基盤を選択可能。クラウド環境だけでなく、オンプレミス環境での稼働にも対応しており、患者情報の機密性をより重視する医療機関や、独自のセキュリティポリシーを持つ医療機関のニーズにも応えられるとした。

 なお今回は、最初の機能として、生成AIを活用した退院サマリーのドラフト自動作成機能が提供される。日本IBMによれば、同機能は医療機関と協力して実証を行い、医療従事者の記録業務時間の短縮に寄与することが確認済みとのことだ。

電子カルテに反映された退院サマリー

 今後は、音声認識AIと生成AIを活用し、医療カンファレンスやインフォームドコンセント(十分な説明と同意)、外来診療記録の音声からそれぞれのサマリーのドラフトを作成する機能や、生成AIを活用した看護記録のドラフト作成機能の開発を進めており、医療機関における検証後、順次提供を開始する予定としている。