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Oracle Cloud東京リージョンとAzure東日本リージョン間の相互接続が可能に

東京エリアにおける低遅延な相互接続に対応

 日本オラクル株式会社と日本マイクロソフト株式会社は、Oracle Cloudの東京リージョンと、Microsoft Azureの東日本リージョン間における相互接続を、5月8日から開始した。

 米Oracleと米Microsoftは2019年6月に、相互接続について発表。Oracleの米国アッシュバーンと英国ロンドンの2つのリージョンで、Oracle CloudおよびMicrosoft Azureとの相互接続を開始したほか、すでに米国バージニア、カナダのトロント、オランダのアムステルダムでも相互接続を行っているとのこと。なお、今回の東京での相互接続がアジア地域では最初となる。

 日本オラクル クラウド事業戦略統括 ビジネス推進本部長の佐藤裕之氏は、「2019年6月にパートナーシップを発表して以来、日本のお客さまから東京リージョンでの相互接続に関する問い合わせを、かなりいただいていた。クラウド上の実行環境としてOracle Databaseを使いたい、といったAzureユーザーを中心に興味を持ってもらっており、一部ユーザーにおいては、すでにベータ版として活用してもらっている」との現状を説明。

 「既存のIT投資を保護しながら目的にあった最適なサービスやツールを活用するために、複数のクラウドサービスを利用したい、というニーズにも対応でき、マルチクラウドの促進とともに、高度に最適化され、安全で、統一されたクラウドエクスペリエンスを提供できる」とメリットをアピールした。

東京エリアにおける低遅延な相互接続に対応

 今回の、日本オラクルの東京リージョンと日本マイクロソフトの東日本リージョンの相互接続により、オラクルおよびマイクロソフトのサービスを利用している日本のユーザーの多くが、東京エリアにおける低遅延な相互接続が可能になり、「Oracle Cloud」と「Microsoft Azure」で実行されているアプリケーション間の相互運用を行えるようになる。

 例えば、すでに両社のクラウドを活用しているユーザーは、一部のワークロードをOracle Cloudで実行し、同じワークロードの別の部分をAzureで実行する、といったことが可能になり、既存のIT投資を保護しながら、それぞれのクラウドの特長を生かした活用が可能になる。

 また、Oracle ExadataとAzure上で稼働するアプリケーションを組み合わせたプライベートクラウドとパブリッククラウドの連携、オラクルによる基幹システムとAzureによるデータウェアハウス(DWH)のデータ連携において、閉域網接続を行うといった活用のほか、Azure上のAzure MLとOracle Cloud Infrastructure(OCI)上のAutonomous Databaseとの組み合わせといった、両社それぞれの特徴的なサービスを組み合わせた利用も可能だ。

活用ケース

 「日本に先行した欧米での相互接続では、Oracle Databaseのワークロードをクラウド上で動かすことに苦慮しているユーザーからの期待が特に大きく、また、Azure上でのデータベースをどうするのかといったことに頭を悩ませていたユーザーからの関心が高かった。また、Azureに対応したパッケージは豊富な数がそろっており、それを活用しながら、Oracle Databaseのメリットを活用したいというニーズにも対応している」とのこと。

 さらに、「OCI上のOracle Autonomous DatabaseやOracle Exadataなど、ユーザーが選択するデータベースソリューションと接続するエンタープライズアプリケーションをMicrosoft Azure上で実行したり、Azure IoTサービスやOracle Digital Assistantなどのクラウドネイティブサービスを活用して、既存のアプリケーションのモダナイゼーションを行ったりするなど、両社のソリューションを有効に活用したいニーズに対応できる」とした。

 Oracle Databaseのクラウド利用を促進するほか、同データベースの最大の特徴であるAutonomous Databaseの広がりにも貢献することになりそうだ。

 なお今回の相互接続では、統合されたIDとアクセス管理も提供する。

 「Oracle CloudのID管理と、Azure Active Directory(AD)間での連携を可能とすることで、Azure ADで認証して、OCIコンソールにログインしたり、EBSアプリケーションにログインしたりといった利用ができ、クラウドリソースとアプリケーションにアクセスする際に、複数のパスワードを管理する必要がなくなる。Azure ADは広く利用されていることから、多くのユーザーからこの機能があるのならば使ってみたいという声をもらっている」としている。

 さらに、両社の協業関係を、さらに推進する姿勢もみせる。

 「具体的な内容や時期については明確にできる段階にはないが、OCIとAzureをより使いやすくする機能の追加などを検討していくことになる。より使いやすい環境において、OCIとAzure間で、ミッションクリティカルなワークロードへの移行や実行を支援できるようになる。既存のIT投資を保護しながらクラウド活用を最適化するための新たな選択肢を提供し、日本のお客さまのデータドリブンなビジネス変革を支援していく」と述べた。

 なお、大阪リージョンにおける相互接続については、「現時点では公開できる情報はない」としており、今後、国内における要望などを見て検討を進めることになりそうだ。