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サイロ化されたデータをコピーせずにつなげるデータ仮想化――、Denodo Technologiesがそのメリットをアピール

 データ仮想化ソリューションベンダーのDenodo Technologies(以下、Denodo)は3月26日、データ仮想化の現状と自社製品「Denodo Platform 7.0」に関するメディア向けのラウンドテーブルを開催した。

 さまざまなデータを活用し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したいというニーズは高まっており、AI(人工知能)やマシンラーニング、BI(ビジネスインテリジェンス)などDXのツールは日進月歩で進化し、次々と新しいツールがリリースされている。

 しかし、営業本部長の中山尚美氏は「分析ツールに十分なデータを与えなければ、本来持っているはずの能力を発揮できない。次々と新しいツールがリリースされ、担当者からは『もっとデータをくれ』という要求があっても、必要なデータの準備ができていない」と、多くの企業の現状を説明する。

Denodo Technologies 営業本部長 中山尚美氏

 データの準備ができてない原因には、「データはあるが使える状態になっていない」「データが収集できていない」「どんなデータが必要なのかがわからない」などがあるという。

 その中で最も多い原因であり、現在多くの企業が改善したいのは、使える状態にないデータを使える状態にしたいというもの。これまでビジネス課題の多くは個別に最適化されたポイントソリューションで解決する多く、それぞれのシステムやアプリケーションごとにデータがサイロ化され、横のつながりがない状態で管理されている。

 そのままではデータをほかの用途で活用することができないため、企業内で分散管理されているデータを統合して一元管理する基盤が求められるのだ。

 データ統合といえば、データレイクやデータウェアハウス(DWH)にデータを集約するアプローチをとることが多い。また、分析ツールやほかのアプリケーションから利用するには、ELT(Extract/Transform/Load)ツールによって、定義されたフォーマットとスタイルに変換してから保管しなければならない。既存のシステムやアプリケーションにひもづいたデータを“コピー”して“変換”することになるため、元データと重複したデータを保存するストレージが必要になる。

 「Denodo Platform 7.0」は、データ仮想化技術によってデータ管理基盤を構築するためのソフトウェアソリューションだ。単一のデータ仮想化レイヤから、企業内に散在するさまざまなデータソースと接続し、分析ツールなどフロントエンドのアプリケーションに配信することができる。

 データレプリケーションによるアプローチとは異なり、データ仮想化レイヤで保持されるのはデータを参照するためのメタデータである。実データをコピーする必要がないため、非常に軽量で実装しやすく、コストの削減にも大きく寄与する。また、アクセス制御はデータ仮想化レイヤにまとめることができるので、環境全体でガバナンスを効かせ、セキュリティ制御を実現できる。

リアルタイムデータ仮想化アーキテクチャ

 Denodo Platformは、実際のデータがどこにあるか、どのような形式で保存されているかといった、データアクセスに必要となる複雑な要素を抽象化している。さらに実際にデータを活用するビジネスユーザー自身が、Denodo Platformのに対し、WebベースのGUIからサーチエンジンで検索するように、例えば「クレームの起きた注文は」などの自然言語や、任意のコードなどを使って必要な情報をリクエストできるようになっている。

 なお、データを参照するユーザーの権限や部門などに応じて、参照可能なデータを制限することも可能で、ビューの中に参照できないデータが含まれていた場合は、自動的に該当個所がマスキングされるようになっている。

 もちろん、複数のデータソースから必要な項目を取り出すといったデータマート的な利用も可能になっており、エクスプローラーのようにドラッグ&ドロップで簡単に作成できる。また、必要に応じてデータカタログを統合することも可能だ。

 中山氏は「情シスに依頼すると、DWHから必要なデータを取り出して使える状態になるまでには、3カ月もかかる」と述べ、加速するビジネスの速度に合わせるには、ユーザー自身が必要なデータを扱えるようにすることが重要であることを強調した。

 データ仮想化の利用にあたって気になるのはデータアクセスのオーバーヘッドだが、Denodo Platform 7.0では、トランザクションの統計情報を分析するDynamic Query Optimizerによって、より高速なデータアクセスを実現しており、競合他社のデータ仮想化ソリューションとの差別化ポイントだという。

 プラットフォームとしてはWindows、Linux、UNIXで動作するほか、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどのパブリッククラウド上でも実行できる。中山氏は「顧客の7割はパブリッククラウドでDenodo Platformを利用している」と述べた。なお、多くのアプリケーションとの連携を踏まえ、データ参照をはじめとするさまざまAPIも提供されている。

 製品は、CPUコア数に応じたライセンス形態となっており、データソースやフロントエンドのアプリケーション数は価格に影響しないとのこと。

 Denodoの日本法人は2019年1月だが、すでに国内でも日本ではKDDI、三井住友銀行、大日本印刷など業種を問わず10社ほどの大手企業がDenodo Platformを利用しているという。