ニュース

1週間で利用者が1200万人増加したMicrosoft Teams――、今後の展開は?

オンライン記者説明会レポート

 日本マイクロソフト株式会社は24日、コラボレーションツール「Microsoft Teams」に関する説明会を開催した。同説明会は、Microsoft Teamsによるオンライン会議で実施された。

 Microsoft Teamsは、2017年3月にチャットベースのワークスペースツールとして提供が開始され、今月でちょうど3周年を迎えたことになる。リリース数カ月後の2017年6月には教育機関向けのTeamsが登場し、9月にはAIを活用したビデオ会議と音声通話が可能となった。2018年7月には無料版Teamsが提供開始され、2019年にはいわゆるファーストラインワーカーと呼ばれる現場で働く従業員向けの機能や、医療機関向けの連携機能などが強化された。

Microsoft Teams 3年間の歩み

 日本マイクロソフト Microsoft 365 ビジネス本部 本部長の山崎善寛氏によると、2019年11月にはTeamsの1日あたりのサービス利用者が2000万人に到達し、その数カ月後の2020年3月には4400万人に達したという。

 特に今月は、新型コロナウイルスの影響でリモートワークに移行する労働者が世界中で急増したこともあり、「先週1週間だけで新たに1200万人利用者が増加した」と山崎氏。ウイルス蔓延という困難な状況下での利用者増加のため、「この成長率を手放しでは喜べないが、数多くのユーザーのリモートワークをサポートできていることはうれしい」と山崎氏は語った。

急速に利用が拡大するTeams

 現在Teamsは、米フォーチュン誌が選ぶ100社(Fortune 100)のうち93%の企業で採用されており、1万人以上の利用者を抱える法人数は650社以上にのぼる。Teamsが利用できる国と地域は181カ所におよび、53言語をサポートしている。

 Teamsの使われ方としては、チャットや会議、ドキュメント共有などが中心だが、リモートワークで社内会議に使われることはもちろん、社外のユーザーとも会議できることを山崎氏はアピールする。

 今回のTeamsによる説明会は、まさにその状況を参加者である外部の記者らが体験できる場となった形だ。外部の参加者は、PCにツールをダウンロードしていなくても、送られてきたURLをクリックするだけでブラウザ上から会議に参加できる。

 またソフトバンクと共同で、Teamsで固定電話番号が利用できるオンライン音声通話サービス「UniTalk」も提供している。これにより、固定電話番号での発着信が可能となるため、「固定電話に対応する必要があるため在宅勤務ができないと言われているが、この機能を使えば場所を問わず固定電話の番号が利用できる」と山崎氏。現在、新型コロナウイルスによる在宅勤務への対応として、この機能を無償提供できないかソフトバンクと交渉中だという。

今後登場する新機能とは

 山崎氏は、今後Teamsに搭載される新機能も紹介した。そのひとつは、ウェブ会議時にリアルタイムでノイズが抑制できる機能だ。これにより、在宅勤務時などに課題となる周囲の生活音や雑音が抑えられ、自宅からでもスムーズに音声会議に参加できるようになる。また、会議の進行をサポートするツールとして、発言時に挙手する機能も追加する。さらには、現在PC版のみで提供されている背景のぼかし機能を、iOS版でもサポートする。背景をぼかすだけでなく、今後は背景をさまざまな画像やシーンに置き換える背景効果機能も提供する予定だ。

 通話機能も強化する。4月1日からは、これまで大企業向けに提供していた外線発信機能を、中小企業向けのパッケージ製品「Microsoft 365 Business Voice」として国内でも提供開始する。また、チャット機能も改善し、オフラインや低帯域幅でも音声品質を向上させる。

 さらに、工場や空港、小売店舗などの現場で働くファーストラインワーカーに向け、Teamsでスマートフォンをトランシーバーのように使える機能も展開する予定だ。常に音声通話できる状態にしておきたいという現場からのニーズに応えるものだという。

Teamsの今後について
今後登場予定の挙手機能。赤丸で囲んだ部分で手を挙げることで、発言の意思を伝えることが可能
iOSに搭載予定のぼかし機能のデモ。iOSでサインインしている左下担当者の背景が……
iOSの左下担当者の背景にぼかし機能が施された

 Teamsには、連携する認定デバイスも複数存在する。例えば、企業向けARヘッドセットなどを提供するRealWearと共同で開発した「Microsoft Teams on RealWear」は、ウェブカメラが搭載されたTeams対応ヘルメットだ。このヘルメットを装着することで、現場で働く作業員がハンズフリーで目の前にある機器などの様子を遠隔地のエンジニアに伝えることができ、問題解決までの時間が短縮できる。山崎氏は、「今後認定デバイスの拡充にも積極的に取り組みたい」としている。

Microsoft Teams on RealWear