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サイボウズ、2019年12月期業績はクラウド好調で売上・利益とも過去最高に
グローバル展開もさらに加速
2020年2月26日 11:31
サイボウズ株式会社は25日、2019年12月期決算および2020年12月期事業戦略について説明会を開催した。
サイボウズの2019年12月期業績は、連結売上高が134億1700万円(前年比18.7%増)、営業利益が17億3200万円(同57.0%増)、経常利益が18億400万円(同51.0%増)、当期純利益が10億1200万円(同54.9%増)となった。
この結果について、サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏は、「当社は2011年からクラウドへの先行投資を積極的に行い、2015年度には営業利益が赤字となったが、そこからV字回復を果たし、2019年度は連結売上高、営業利益ともに過去最高を達成した。クラウド関連の売上は前年比28.6%増の95億6000万円となり、連結売上高の71%を占めるまでになっている。特に昨年は、パートナー企業を通した間接販売により販路を拡大し、クラウドサービスのエコシステムを加速した」と、クラウドビジネスが好調に推移し、業績を押し上げていることを説明した。
主力製品の販売実績は、2019年12月時点で、業務アプリ構築クラウド「kintone」が1万4000社、中小企業向けグループウェア「サイボウズOffice」が6万6000社、大企業・中堅企業向けグループウェア「Garoon」が5400社、メール共有システム「メールワイズ」が8800社となっている。
各製品の2019年12月期のビジネス状況としては、kintoneは売上が前年同期比1.4倍、契約者数が同1.3倍と順調に伸長。エコシステムの拡大に注力したことで、さまざまな業種・規模で利用が広がっているという。ユーザー向け施策では、2019年末時点でリアルイベント「kintone hive」の登壇企業が108社、会場総動員数は8061人となった。また、kintone認定資格試験の2019年度累計合格者数は650人、2020年度は500人の新規合格者数を目標としている。
サイボウズOfficeは4年連続で最高売上を達成。Garoonはクラウド版の売上が順調に増加しており、大規模・中堅組織でもクラウドが主力になりつつあるという。なおGaroonについては昨年、最新版「Garoon 5」をリリースし、API連携を強化。Microsoft Office 365など他製品との連携を拡充している。2020年のアップデートでは、カスタマイズのパッケージング(プラグイン)やポータル活用支援の拡充などを予定している。
メールワイズも順調にビジネス成長を続けており、2019年度は売上全体の約80%がクラウド版となっている。今までは、サポート窓口を中心に利用されていたが、今後は、新規開拓にも取り組み、営業職向けの市場拡大を狙ったプロモーション施策を展開していく計画。
グローバルでの導入実績は、2019年12月末時点で、中華圏が1030社(前年同期比3%増)、APACが590社(同39%増)、米国が360サブドメイン(同33%増)となった。
青野氏は、「昨年はグローバル展開も加速させた。特にAPACでは、現地企業へのアプローチを強化し、インドネシアの東南アジア配車大手GO-JEKにkintoneを導入。また、インドやマレーシアでも新たに営業体制を立ち上げ、現地企業向けセミナーやイベントを開催した。さらに、グローバルブランディング施策として、英語版とインドネシア語版のオウンドメディアを開設した。米国においては、さらなる事業加速化に取り組んでおり、配車サービス会社のLyftへの導入、AWS(Amazon Web Services)とZuoraを基盤としたkintoneの提供、パートナーやユーザー向け自社イベントkintone Connectの開催などを実施。アナリストからの評価も引き続き好調だ」としている。
2020年12月期に向けた事業ビジョンとしては、「業務で使うデータベース、文書ファイル、コミュニケーションが、1つのプラットフォーム上でオープンに情報共有されているオフィス環境の実現を目指し、このプラットフォームとなり得るサービスの開発・運用とエコシステム作りに注力していく」(青野氏)との方針を示した。
具体的な施策としては、kintoneをさらに使いやすくするため、継続的にアップデートを行い、機能拡充を図っていく。また、世界各地にエコシステムを広げていくために、グローバルに横展開できるパッケージモデルを作り、これをもとにパートナー開拓や拠点開設を進めていくとした。
国内外の各拠点での活動も拡大・強化する。国内では、仙台オフィスを移転し、同社初の路面店をオープンしたほか、東京オフィスの業務フロアを増床している。
海外では、オーストラリアと台湾の現地拠点に日本メンバーを赴任し、現地企業を中心に販促活動を強化する計画。さらに、組織戦略室と事業戦略室を新設し、国外拠点における事業ノウハウを職能組織で効率よく吸収し、連携を推進していくとのことだ。