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単なるNASベンダーという印象を拭えれば――、クラウド時代に向けたネットアップの製品戦略

NetApp Insight 2019で発表した製品を解説

 ネットアップ合同会社は10日、米NetAppが10月に開催したイベント「NetApp Insight 2019」にて発表されたプロダクトに関する記者説明会を開催した。国内での「NetApp INSIGHT 2019 TOKYO」開催に合わせてのもの。

 記者説明会では、NetAppの製品戦略が語られたほか、ハイブリッドクラウドでのデータを一元的に管理する「Fabric Orchestrator」と、SAN専用ストレージ製品「All SAN Array(ASA)」が紹介された。

「単なるNASベンダーという印象を拭いたい」

 NetAppでは2014年から「データファブリック」のビジョンを打ち出している。オンプレミスからクラウドまで一貫した機能を提供するアーキテクチャとデータサービスだ。

 データファブリックを背景にして、NetAppのプロダクトは3つに分かれると、ネットアップ合同会社の常務執行役員 CTO システム技術本部の近藤正孝氏は説明した。

 1つめはストレージシステム&ソフトウェアで、NetAppの古くからの製品であるNASとそのOSであるONTAPからなる。2つめはクラウドインフラで、HCI製品やオブジェクトストレージ製品、買収したオールフラッシュストレージ製品のSolidFireなど、プライベートクラウドを構成する製品が含まれる。3つめはクラウドデータサービスで、NetAppのNASなどのデータ製品と同様の機能をパブリッククラウド上で提供するものだ。

 「NetAppといえばNASという印象が強いのではないかと思うが、NASは事業の一角。単なるNASベンダーという印象を拭えればと思っている」と近藤氏は語った。

ネットアップ合同会社 常務執行役員 CTO システム技術本部 近藤正孝氏
データファブリックを背景とした3つのポートフォリオ

ハイブリッドクラウドでデータアセットを統合管理するFabric Orchestrator

 米NetAppのクラウド データ サービス事業担当シニア バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャーのAnthony Lye氏は、クラウドデータサービス分野について説明した。

 「NetAppは4年前にパブリッククラウドを受け入れると判断し、コアの技術をAWSに移植して、オンプレミスと同じ環境を作れるようにした」とLye氏。

 その結果、現在では世界中のパブリッククラウドのロケーションで数千の顧客をサポートしているという。「顧客は平均して1日10社増えている。その10社のうち4社が、既存のNetApp顧客ではない新規顧客だ」(Lye氏)。

 現在、世界400以上のクラウドデータセンターでNetAppのクラウドデータサービスが利用できる。フルマネージドのクラウドストレージサービス「NetApp Cloud Volumes Services」のAzure版が、東京リージョンで12月から、大阪リージョンで2020年2月から提供されるとLye氏は語った。

米NetApp クラウド データ サービス事業担当シニア バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Anthony Lye氏
「顧客は平均して1日10社増えている」
NetApp Cloud Volumes ServicesのAzure版が、東京リージョンで12月から、大阪リージョンで2020年2月から提供

 こうしたNetAppのクラウドデータサービスに新しく加わったのが「Fabric Orchestrator」だ。オンプレミスからプライベートクラウド、各種パブリッククラウドに散らばったデータアセットのエンドポイントを検出し、統合して管理できるようにする。また、統合した形で自動化や保護を実現する。

「バックアップを例にとると、新しいエンドポイントが追加されたとき、プロダクションとラベルにあれば自動的にバックアップ対象にする、といったポリシーを適用できる。また、インスタンスをオンプレミスからクラウドにマイグレーションすると、自動化は引きつがれる」とLye氏は説明した。

オンプレミス、プライベートクラウド、各種パブリッククラウドのデータを統合して管理する「Fabric Orchestrator」

SAN専用にしてアクティブ/アクティブ構成に対応したASA

 ネットアップ合同会社のソリューション技術本部 SE第3部 部長の中川拓也氏は、ストレージシステム&ソフトウェア分野について説明した。

 新しく発表されたのは、SAN専用にしたONTAPベースのストレージ製品「All SAN Array(ASA)」だ。従来のONTAPでもNASとSANの機能を持っていたが、そのNASの機能を工場で削除して出荷する。「選択肢が増えると複雑になるため、シンプルに徹した」と中川氏。

 その一方でASAでは、従来対応していなかった、コントローラのアクティブ/アクティブ構成の冗長化に対応した。これにより、フェイルオーバー時間をほぼなくすことができる。ASAではまた、専用のサポートサービスもバンドルする。

 ベースとなるのはAll Flash FAS(AFF)AシリーズのうちA220とA700の2機種で、それぞれASA A220とASA A700となる。

 現在すでに受注開始しており、12月中旬から出荷開始する予定。価格について中川氏は「機能を削除したぶんが減り、専用サポートが加わったので、プラスマイナスで同じレンジに収まっている」と説明した。

ネットアップ合同会社 ソリューション技術本部 SE第3部 部長 中川拓也氏
All SAN Array(ASA)の概要
ASAの特徴
アクティブ/アクティブ構成に対応
AFF Aシリーズのうち、A220とA700がベースに