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レノボ、厳しい設置状況に対応したエッジサーバー「ThinkSystem SE350」

インフラ用ハードウェア製品を従量課金制で利用できるプランも提供

 レノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)は16日、顧客向け年次イベント「Transform 3.0 Tokyo」に合わせて新製品発表会を開催。エッジサーバー「ThinkSystem SE350」や、IoTゲートウェイ「ThinkCentre M90n-1 Nano IoT / Nano」、インフラ用ハードウェア製品を従量課金制で利用できるプラン「Lenovo TruScale Infrastructure Services」を国内で発表した。ThinkCentre M90n-1 Nano / Nano IoTは7月16日発売、ThinkSystem SE350は開発表明段階で年内に正式発表の予定となっている。

 同時に、赤城乳業株式会社が、レノボのハイパーコンバージドシステムであるLenovo ThinkAgile HXシリーズを導入したことも発表した。

 レノボのIoTやエッジへの取り組みについて、レノボ 執行役員 副社長/レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 取締役の安田稔氏は、「すべてがつながる世界で重要な要素としてレノボが取り組むのが『ThinkIoT』ブランドだ」と説明した。

 また「ITとOT(Operational Technology:現場の技術)がすごい勢いで融合している。そこにおいて、通信量/料の爆発や柔軟性、プライバシー保護など、クラウドセントリックの弊害も出てきており、エッジの重要性が高まっている」と語った。そして、外的環境に対して、IoTゲートウェイ、エッジサーバー、コアITの3段階のラインアップを説明した。

レノボ・ジャパン株式会社 執行役員 副社長/レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 取締役の安田稔氏
「ThinkIoT」ブランド

0℃~55℃の気温や塵に耐えNVIDIA T4 GPUもサポートするエッジサーバー「ThinkSystem SE350」

 エッジサーバー「ThinkSystem SE350」は、製造現場などのサーバーラックではない場所に設置されることを想定したサーバー。高温、塵、IT担当者不在、有線LANなし、といった厳しい設置状況に対応している。ワールドワイドでは、2月のMWCバルセロナで発表されており、今回が日本での発表となる。年内に正式発表(発売)の予定。

ThinkSystem SE350
ThinkSystem SE350を持つレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長のジョン・ロボトム氏
ThinkSystem SE350の発表
ThinkSystem SE350の基調講演での発表

 「まだ開発意向表明で、正式発表までにはまだ変わることもある」と前置きして、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの金地秀夫氏(製品マーケティング本部 製品部 部長)がスペックを説明した。

 サイズは、1Uサイズの奥行きを半分にしたぐらいで、重量3.75kg。0℃~55℃の外気温度に対応し、防塵対応、30G衝撃や3G連続振動でも稼働保証。有線LANのない場合のために、Wi-FiやLTEを内蔵可能で、5G対応も検討中という。

 また「重要視しているのがセキュリティ」(金地氏)ということで、OSやリモート管理用モジュールから認証キーを見ることができない設計になっているという。管理については、無人運転を想定し、xClarityによるリモートからの監視に対応する。

 CPUにはIntel Xeon Dを搭載し、GPUとして、NVIDIA T4も搭載可能にするという。ストレージにはM.2 SSDを搭載。VMware vSANもサポートする。

ThinkSystem SE350の特徴
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの金地秀夫氏(製品マーケティング本部 製品部 部長)

缶ジュース相当の容積の小型PC「ThinkCentre Nano」とIoTゲートウェイ「ThinkCentre Nano IoT」

 IoTゲートウェイの「ThinkCentre M90n-1 Nano IoT」と「ThinkCentre M90n-1 Nano」は、基本設計は同一だ。サイズは、Nano IoTが約179×34.5×88mmの約720g(容積約0.55L)で、Nanoが約179×22×88mmの約505g(容積0.35L)。既存の小型デスクトップのThinkCentre Tinyと比べ、大きさで半分程度、容積で1/3程度だという。

ThinkCentre M90n-1 Nano IoT
ThinkCentre M90n-1 Nano。後ろにThinkCentre Tinyが置かれている

 Nano IoTはIoTゲートウェイ専用の製品で、Nanoは一般的なデスクトップPCとしての用途も想定しているのが異なる。そのため、CPUはNano IoTがCore i3/Celeronでメモリが8GB/4GB(オンボード)のところ、NanoはCPUがCore i7/i5/i3でメモリが16GB/8GB(オンボード)。一方、Nano IoTはファンレスになっており、筐体上部が大きなヒートシンクで覆われている。

ThinkCentre Nano / Nano IoTの基調講演での発表
NanoとNano IoTの違い

 Nano IoTは、ミルスペック準拠の堅牢筐体で、0℃~50℃に対応。機器制御のためにRS-232Cも装備する。通信方式として、有線LANやWi-Fi、LTEのほか、LoRaWANにも対応する。PoE給電などの拡張ポートを搭載した拡張ボックスも、3か月以内に出す考えだという。

 Nano IoTが必要となる背景の課題として、レノボ・ジャパンの大谷光義氏(コマーシャル事業部 企画本部 製品企画部 部長)は、すべてのセンサーがネットワークにつながっているわけではない点と、セキュリティやレスポンスの問題で、エッジ側で処理すべきデータも多いことを挙げた。

 それに対するNano IoTの活用例としては、センサーによる温度状況監視や、カメラをつないで顔認証、スマートオフィスなどが挙げられた。Nano IoTがある程度のCPU/GPUリソースを持って直接コアITと接続する場合のほか、エッジサーバーのThinkSystemSE350と組み合わせる場合も想定されている。

Nano IoTのポート等
Nano IoTの活用例
Nano IoTとマウントパーツ類
レノボ・ジャパンの大谷光義氏(コマーシャル事業部 企画本部 製品企画部 部長)

 一方のNanoは、デスクトップPCとして超小型で、設置場所の柔軟性を確保。低消費電力で、スモール筐体比で年間1台あたり約1500円の節約になるという(同社調べ)。動作温度は0℃~35℃。USB Type-C受電にも対応する。

 販売価格は、Nano IoTが4万5000円(税別)より、Nanoが7万4000円(税別)より。

ThinkCentre Nanoの特徴
基調講演でThinkCentre Nanoを持つレノボ・アジア地域本部の大隈健史氏(APコマーシャルプロダクト統括 パートナービジネス統括役員)

 なお、イベント「Transform 3.0 Tokyo」の展示会では、スポーツシューズ店を模して、ThinkCentre M90n-1 NanoをIoTゲートウェイとして使ったソリューションをデモしていた。

 カメラにより来客数をカウントしたり、センサーにより来客が靴を手に取った回数をカウントしたりした結果を、エッジのNano上で動くAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」で直接分析し、コアIT側に投げてグラフ表示していた。

ThinkCentre M90n-1 NanoをIoTゲートウェイとして使ったスポーツシューズ店の展示
カメラやセンサーから、来客数や人気シューズを分析

オンプレミスの機器を消費電力にもとづく従量料金で利用する「TruScale」

 「Lenovo TruScale Infrastructure Services」は、レノボのサーバーなどオンプレミスのデータセンター用のハードウェアをサブスクリプションの月額制で利用できるサービス。これにより、ハードウェアの料金をCAPEXからOPEXにできる。契約期間は3年~5年。米国で2月に発表され、日本も含めて7月16日よりスタートした。

 基本料金の「ベース・プログラム・コスト」の上で、月額固定で支払う「固定利用料金」と、消費電力にもとづく「可変利用料金」の割合を、契約ごとに決められる。すべて固定利用料金とした場合はリースに類似した形態になる。可変利用料金は、アイドル電流からの差分にかかるため、月ごとの使用状況に波がある企業で有利となる。なお、消費電力はxClarityでモニターする。

 また、ベース・プログラム・コストには、リモート監視や、プロアクティブメンテナンス、ハードウェア管理、情報管理などのサポートサービスが含まれる。

TruScale Infrastructure Servicesの概要
TruScaleの料金体系
消費電力ベースの利用料

 TruScaleのGeneral Managerである米Lenovoのマシュー・ホーン氏は、TruScaleについて「100%サブスクリプションベースであり、100%オンプレミスであることが特徴」と語った。

 また、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの高橋寿和氏(サービスビジネス統括本部 統括本部長)は、TruScaleについて「オンプレミスでありながらサブスクリプションで使える契約」と説明した。

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長のジョン・ロボトム氏は、TruScaleが必要になる背景として、新規技術などの複雑なタスクが企業の差別化に有効であるのに対し、IT部門は日々のメンテナンスやセキュリティなどに時間をとられるという「CIOのジレンマ」を挙げ、「ITはシンプルにすべき」と語った。

TruScaleのGeneral Managerである米Lenovoのマシュー・ホーン氏
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの高橋寿和氏(サービスビジネス統括本部 統括本部長)