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NEC、2018年度第3四半期連結業績は増収減益、システムプラットフォーム、ネットワークサービスが減益に

 日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、2018年度第3四半期の連結業績を発表した。それによると、2018年度第3四半期累計(2018年4月~12月)の売上収益は、前年同期比3.2%増の2兆0346億円、営業利益は同16.9%増の166億円、税引前利益は同34.2%減の264億円。当期純利益は同56.5%減の76億円となった。

 NEC 代表取締役執行役員副社長兼CFOの森田隆之氏は、「パブリックが伸長したものの、システムプラットフォーム、ネットワークサービスが減益となった。2018年12月にKMD Holdingの買収を発表し、NEC Safer Citiesを強化。NEC、NPS(Northgate Public Services Limited)との三者連携を進め、新たな顧客価値の創出につなげていきたい」などとした。

2018年度第3四半期の実績サマリー
NEC 代表取締役執行役員副社長兼CFOの森田隆之氏

セグメント別業績

セグメント別 第3四半期業績サマリー

 セグメント別業績では、パブリックの売上高が前年同期比3.6%増の6481億円、営業利益は前年同期から77億円増の278億円。社会公共領域は消防・防災向けが増加し、社会基盤領域は航空宇宙・防衛向けを中心に増加した。また、不採算案件の減少により営業利益が改善したという。

 エンタープライズは、売上高が前年同期比9.1%増の3177億円、営業利益は前年同期から1億円増の252億円。コンビニエンスストア向けを中心にした流通・サービス業向け、保険・証券向けを中心にした金融業向けが増加した。このほか、AIおよびIoT関連の投資費用として10億円の負担増があったものの、システム構築サービスの増加によって増益になったとのこと。

パブリックの概要(第3四半期のみ)
エンタープライズの概要(第3四半期のみ)

 ネットワークサービスは、売上高は前年同期比0.8%増の2651億円、営業利益は前年同期から26億円減の61億円。依然として、通信事業者の設備投資が低調に推移したことが影響している。

 システムプラットフォームは、売上高は前年同期比0.9%増の3756億円、営業利益は前年同期から101億円減の45億円となった。ビジネスPCの増加がプラスに影響したが、80億円の事業構造改革費用を計上したことで減益になった。

ネットワークサービスの概要(第3四半期のみ)
システムプラットフォームの概要(第3四半期のみ)

 グローバルは、売上高は前年同期比0.4%増の3204億円、営業利益は前年同期から67億円改善したものの、98億円の赤字となった。ディスプレイが減少するものの、セーフティが増加。ワイヤレスソリューションも改善した。さらに、NPSとの新規連結の効果もあった。サービスプロバイダーソリューションやワイヤレスソリューションは横ばい、海洋システムは増収。ディスプレイは、北米でのサムスン、LG電子との競争激化や米中貿易摩擦の影響により減収となった。

グローバルの概要(第3四半期のみ)
グローバル事業の状況の概要(第3四半期のみ)

 その他事業は、売上高が前年同期比7.8%増の1078億円、営業利益は前年から100億円増の66億円となった。

 NECの森田副社長兼CFOは、「国内ITサービスの受注は、第3四半期累計で前年同期比8%増で、特にエンタープライズは9%増、パブリックは7%増となっている。国内の事業環境は良好であり、エンタープライズおよびパブリックには追い風が吹いているので、年間計画に対する上振れが期待できる。現時点では、足元は数字については減速の兆候はない」とした。

エンタープライズ、パブリックを中心とした上振れに期待

収益構造改革の進捗を説明

 また、収益構造改革の進捗についても触れ、約3000人の人員減少を行う見通しであることを明らかにした。内訳として、2018年12月28日を退職日とした実施した特別転進支援施策に対し、2170人が応募。それに伴い約200億円の費用を計上(当初計画では300億円を計上)している。

 セグメント別では、パブリックが30億円、エンタープライズが10億円、ネットワークサービスが20億円、システムプラットフォームが80億円、グローバルが10億円、その他が30億円となった。また、その他の施策として、2019年3月までに約400人をグループ外企業に出向・転籍させるほか、NECライティングの全事業を2019年4月1日に譲渡する。

 さらに2020年3月までに、筑波研究所の稼働を停止。それに伴い約50億円の費用を計上することを新たに発表した。研究リソースの配置最適化を図る目的という。

 「現在、筑波研究所には約70人が在籍しているが、量子コンピュータの研究について、産総研と合流することが決定し、約30人が移動する。もともと300人が収容できる施設であり、そのままでは効率が悪い。そこで、残る40人は玉川地区に移動することになる」と説明した。

収益構造改革の実施状況

2018年度通期の業績見通しは据え置き

 一方、2018年度の業績見通しは、4月27日公表値を据え置いた。

 売上収益は前年比0.5%減の2兆8300億円、営業利益は同21.7%減の500億円、当期純利益は同45.5%減の250億円としている。

 「第3四半期までの累計では、社内計画に対して売上高は670億円の上振れ、営業利益では190億円の上振れがあるが、年度内に実行可能な施策をぎりぎりまで検討し、実行していきたい。グローバル事業のリスクを好調な国内でカバーし、通期予想を達成したい」とした。

業績予想サマリー

 グローバル事業の収益改善については、「パソリンクによるワイヤレスソリューションの収益改善がほぼ計画通りに進んでおり、ランレートベースでは黒字化が見えてきた。収益改善を確実にし、さらに収益を向上させるために、他社とのアライアンスについても交渉中の段階にある。決まり次第、公表したい。また、海底ケーブルは工場がフル稼働であり、設計変更を含む原価低減活動も同時に進めている」などと説明した。

 グローバルは、第3四半期累計で280億円の営業利益改善を見込んでいたが、67億円の改善にとどまっている。「セーフティやワイヤレスソリューションは計画通りに進んでいるが、サービスプロバイダーソリューション、エネルギー、ディスプレイはリスクが残っている」という。

 そのほか、改元や消費増税の影響については、「若干のプラス要素になる。そのあとの反動を覚悟しておかなくてはならない。改元においては、システム改訂についてかなり準備を進めている」とした。

 なお、第4四半期における収益改善施策として、NECプラットフォームズの生産拠点再編として、一関および茨城を対象に再編。NECライティングの構造改革、オフイスフロアの効率化、海外拠点の効率化のほか、「開発投資の前倒しを進め、来年度のリスク低減、2019年度の収益改善につなげる」とした。