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パブリックセクター事業でデザインシンキングアプローチを開始――、マイクロソフトが事業方針を説明

“人の一生に寄り添うマイクロソフト”をアピール

 日本マイクロソフト株式会社は18日、パブリックセクター事業の方針などについて説明。日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「当社が目指す企業像は、『革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の社会変革に貢献する』こと。パブリックセクターのビジネスは、日本の変革を支援する上で重要な事業である。また、政策との連動が大切である。日本の政府は、Society 5.0を掲げており、日本が率先して新たな世界を作っていくことになる。ここにおいて、クラウド、AI、MR(Mixed Reality:複合現実)などのインテリジェントテクノロジーが果たす役割は大きい」と述べた。

日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏

国別売上規模で2番目を目指していく

 同社のパブリックセクター事業は、政府・自治体、教育、ヘルスケア(医療・製薬)を対象にしており、同社が2018年度における重要業種として取り組む、6つのインダストリーイノベーションのうち、3つの業種をカバーするものになっている。

パブリックセクター事業の対象

 日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏は、「パブリックセクターの国別売上規模を見た場合に、日本は、Microsoft全体のなかでは5番目である。今後5年で、米国に次いで2位になりたい」とした。

日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏

 2018年4月18日付けで、パブリックセクター部門において、デザインジャパン推進室を設置。コンルサティング、ソリューション提案、マーケティング施策検討、プロトタイピング、クラウド活用支援、パートナーとの協業などの機能を統合して、顧客に対してシームレスなプロセスを提供していくことになるという。

 また、アイデアを創出する専門ルームを本社26階に設置し、協創人材の派遣、コンサルティングサービスによるペストプラクティス展開を行う一方、政策立案に向けた課題抽出およびデザインからプロトタイピング、実装までを支援する。こうして、営業、サービス、マーケティング、エバンジェリストが一丸となって各フェーズで適切な支援を行うほか、パートナー企業と協創し、将来の実装までを意識するとした。

デザインジャパン推進室を設置
本社26階に設置したアイデアを創出する専門ルーム

パブリックセクターでデザインシンキングアプローチを開始

 佐藤氏は、「2018年5月から、パブリックセクターにおいて、デザインシンキングアプローチを開始する。デザインシンキングは、人の視点で人の生活を高めるためにデジタルを活用し、それを短期間に実装していく方法論であり、3回に渡るデザイシンキングのトレーニングを行い、専門家の人材育成を開始している。日本の社会のためになにができるのかといったアイデアを出しており、マイナンバーを利用した新しいサービスや事業補助金などを申請しやすいWebサイトなど、短期間で、国民の生活をよくすることができるものが多数ある。パブリックセクターでは、いままでのプロセスを踏襲し、最先端の新たなプロセスを導入し、国民の立場に立った社会インフラ改革を推進。多様なパートナーとの協業を図る。さらに、海外のベストプラクティスも活用していくことになる」とした。

 すでに、約100人体制で実践的な教育を行っており、日本マイクロソフト全体のなかに、デザインシンキングの手法は展開していくことになる。

デザインシンキングアプローチを開始
インダストリー別デザインシンキング適用分野の例

 日本マイクロソフトがデザインシンキングへの取り組みを対外的に発表するのは、今回が初めてだといっていいが、「デジタルシンキングと言わなかったが、これまでにも、デジタルアーキテクトと呼ぶ人材が、ワークショップを通じて、ビジネス課題とテクノロジーを組み合わせる取り組みを行ってきた」と、平野社長は説明。

 また佐藤氏は、「公共分野におけるデザインシンキングは、他社をみてもユニークなものであり、私自身も遠いものであるという感じを持っていた。政府の政策を考える人たちの課題と、それを解決すべきテクノロジーは、隔離されている状況がある。だが、イノベーションされていないところが、何かに気がついたときに、パワーを持って加速されていく。公共分野のデジタル化はまだ遠い存在であるが、だからこそ、最新技術を活用して、課題解決と社会変革につなげることができる」と述べた。

 佐藤執行役員常務は、2018年1月に、日本マイクロソフトに入社し、パフリックセクターを担当することになったが、「私は、30年におよぶIT業界での経験があるが、もっと日本の成長に貢献できるのではないかと考えていた。それに必要な要素を、日本マイクロソフトはすべてを持っている」と話す。

 また、「日本マイクロソフトは、人が生まれてから亡くなるまで、人の一生に寄り添っている。電子母子手帳や子育て行政サービス、デジタル農業の実現、介護施設でのコミュニケーションロボット、女性の就労支援など、幼年期、学生、成年、老年期の人生のすべてにかかわっており、これからさらに、日本マイクロソフトが貢献できるものがあると考えている」と述べ、この分野で多くの社会貢献を行っていきたいとした。

 このほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)に触れ、「DXは、なにをもたらすかといった点では、よりスマートで安全で効率的な都市を実現するほか、個人の健康状態の予測と管理の向上によるヘルスケアの強化、高付加価値の職業の創出、AIやロボットが支援する活動による生活の質の向上などが挙げられる。DXでは、社会変革に貢献することが求められており、そこに日本マイクロソフトのパブリックセクター事業が貢献できる」と話している。

DXは社会に貢献する
パブリックセクター事業の使命
人の一生に寄り添う日本マイクロソフトの取り組み
これまでの取り組み