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セールスフォース、コラボレーション基盤「Quip」を国内提供開始

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は21日、新しいコラボレーションプラットフォーム「Quip」を日本で提供開始した。利用料金は、Quip Enterpriseライセンスが、1ユーザーあたり月額3000円。

 Quipはもともと、2016年8月に米Salesforce.comが買収した企業の同名の製品で、「日々の業務に役立つ革新的な製品を作る」というコンセプトで開発された、コラボレーションのための新しい基盤だ。

 企業の情報共有を、メールにドキュメントを添付してコラボレーションを行うのではなく、「リビングドキュメント」という機能により、チームでドキュメントを共有しながら作業を進められるように支援するという。またチャット機能を搭載し、必要な時に参加メンバーとの会話を行えるほか、ドキュメントに手を入れた際には、「いつ」「誰が」といった記録が残る。

 モバイルファーストになっている点も特徴で、PCのデスクトップと同じ内容をスマートフォンから利用可能。リアルタイムでアップデートされるインタラクティブなアプリ「Live Apps」や、Salesforceとサードパーティの連携機能によって、データをリアルタイムで更新することもできる。

Quipの特徴

 セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏は「企業では生産性をあげるためにさまざまなツールを活用しているが、20年前、30年前に開発されたものも多く、現代ではレガシーになってしまっている。Quipはデジタル時代の企業文化を変える新しいコラボレーションツール」と、特徴を説明する。

 「PCのアプリケーションは、表計算ソフトのように個人の生産性をあげるツールは大きく進化してきた。また、Slackのような新しいコミュニケーションツールも登場し、共同作業に利用されているものの、表計算と新しいコミュニケーションツールは連動されていなかった。Quipはこれまでバラバラだったものを連携し、コミュニケーションをとりながら、ドキュメントなどを共有していくことができる」(御代氏)。

セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏

 なおQuipは単なるツールではなく、「プラットフォーム」として提供されている。今後はAPIを公開し、セールスフォースの提供するサービスをはじめ、サードパーティのアプリケーションなどと含めて、コミュニケーションをとりながら同時にコラボレーションを行うプラットフォームという位置づけとなっているためだ。

 今回、新機能としてQuip Live Appsを搭載し、チーム作業で必要となるアプリケーションプロジェクトカレンダー、スプレッドシートなどをあらかじめ埋め込んだ。コラボレーション機能も拡張し、使い慣れたアプリに会話機能が追加された。ソリューション展開のために、QuipのAPIを利用してアプリを構築することもできる。

Quip Live Apps

 またSalesforceとの連携が大幅に強化され、Salesforce内のデータをQuipに表示することや、Chatterとの連携、Lightningコンポーネント、ファイルとの連携、管理者コンソールの利用などが可能となった。加えて、Salesforce以外の日常的に利用するツールとの連携を強化するために、AppExchangeエコシステムを2018年前半から提供開始することも予定している。

Salesforceとの連携

 「2012年から提供され、1万社が利用している実績がある。代表的なユーザーである21世紀フォックスでは、市場ごとにプロジェクト管理する際のコミュニケーションが課題となっていたが、Quipを利用することで、社内、社外も含めた2万人がコミュニケーションプラットフォームとして利用し、課題解決を実現している。日本でもMipox社がQuipを利用することで、メールでのやり取り、Excelシートでの共有からリアルタイムコラボレーション実現するといった事例が出ている」(セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの秋津望歩氏)。

セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの秋津望歩氏

 なお、コミュニケーション、コラボレーションといった機能は、マイクロソフトのOffice 365、GoogleのGoogle Appsなどと競合すること部分もあるが、「他社を押しのけて販売していくものではなく、エンタープライズデータとの連携など他社製品にはない機能を提供していくためのもの」(御代氏)という位置づけで販売を進める考えだ。