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Zuora、“サブスクリプションビジネスに欠かせない”分析ソリューション「Zuora Insights」
2017年11月17日 12:09
Zuora Japan株式会社は16日、サブスクライバー分析ソリューション「Zuora Insights」の提供を開始した。
同社はサブスクリプションビジネスを行うためのプラットフォームを提供しているが、「直近1年間の売上は前年比244%成長と大きく成長している。コマツ、リコー、横河電機、オービックビジネスコンサルタント(OBC)など、30社を超える企業と契約を結ぶことができた。パートナーとして、富士通、電通、ソニーペイメントサービスといった企業との協業もスタートしている」(代表取締役社長 桑野順一郎氏)と、日本でのビジネスも成長しているという。
新たに提供するZuora Insightsは、サブスクリプションビジネスを展開するにあたり必要となる指標に基づいた分析を行えることが特徴。購入見込みユーザーが誰か、契約を解除しそうなユーザーは誰かといった、従来のプロダクト販売には使っていなかった指標で顧客分析を行う。
米本社の創業者でCEOのティエン・ツォ氏は、「サブスクリプションエコノミーはすでにスタートしており、日本企業にとっては大きな成長のチャンス。サブスクリプションエコノミーを実践するためには、従来のプロダクト販売とは異なる、顧客中心の考え方に移行する必要がある。われわれが提供しているのは、サブスクリプションモデルを導入し、成功するために必要な要素すべて。日本で提供が始まったInsightsは、顧客の行動データをもとにしたKPIを算出し、お客さまがサブスクリプションエコノミーで成功するお手伝いするものだ」とアピールした。
Zuoraではサブスクリプション・ビジネスの最新動向として、「2015年が日本でのサブスクリプション元年と考えると、この2年間でビジネス規模は大きく成長した。IT業界を見ても、クラウドへのシフトによってソフトウェアのサブスクリプション化が加速している」(桑野氏)と指摘。
最近では意外な企業がサブスクリプションモデルを採用しており、同社のユーザーでも、プライベートジェット機を提供するSURFAIR、フランスの高速列車TGVなどがサブスクリプションを導入している。
「B2C分野でも、ギターのフェンダーがサブスクリプションモデルを導入。実はフェンダーは、ギターを弾く難しさから購入者の9割が3カ月で使うのを止めてしまうという、“3カ月の壁”に悩んでいた。そこでトレーニングコンテンツをオンラインで提供し、購入者がギターを弾き続けるアドバイスをすることで、3カ月後もギターを利用し続ける人を増やす取り組みをスタートしている。その結果、これまで見えていなかったユーザーの属性を認識できるようになり、どれくらいのギタースキルを持った人がどの製品を購入しているのかといったことをフェンダー自身が把握できるようになった。こうしたことから、ビジネスモデルを変えていくことが可能になっている」(桑野氏)。
日本国内でも、コマツ、リコー、東芝、横河電機といった企業がプロダクト販売から、サブスクリプション提供へとビジネスモデルを変える動きが出ている。
ZuoraのCEOであるツォ氏は、「ソフト業界だけ見ても、従来型ソフトビジネスは成長横ばいとなっているのに、サブスクリプション型は大きく成長している。日本にもその考え方を持ち込むことで、イノベーションが生まれる」とサブスクリプションモデルによってイノベーションが実現すると強調した。
そのためには顧客を中心に据えた新しい考え方が必要だと説明した。
「Appleのビジネスは、iPhoneをどれだけ販売したかよりも、どれだけ多くのApple IDが存在するかにかかっている。Apple IDから、さまざまなサービスを提供し、そこから収益があがる。そしてこうしたビジネスモデルを導入するためには、それまでのビジネスモデルを変更する必要がある」(ツォ氏)。
具体的には、プライシングを常に調整すること、複数の決済方法への対応、契約変更への対応、顧客ニーズの多様化への対応、海外における通貨・税制・規制への対応、サブスクライバーの履歴管理、収益化の可能性の模索、多岐にわたる消費モデルなどがあるという。
そこでZuoraではサブスクリプション管理システム「Zuora Central」を提供。顧客を中心に置いて、プライシングエンジン、サブスクリプションオーダーエンジン、グローバルペイメントエンジンなど、新しいビジネスを実現するためのエンジンが用意されている。
「CRMは提供していないので。他社のCRMを利用する必要がある。例えばセールスフォース・ドットコムのCRMと連携し、プライシングなど、セールスフォースが持っていない機能を当社から提供する。サブスクリプションを実施する際のハブとなる機能を当社が提供するということだ」(ツォ氏)。
Zuora Insightsの国内提供を開始
今回、日本で提供を開始した「Zuora Insights」は、サブスクリプション指標として契約、顧客維持率、解約率、ARPA(平均顧客収益)、回収期間、顧客生涯価値などを自動算出する。
インタラクティブダッシュボードにより、モバイルにも最適化されたインテリジェンスなダッシュボードで、各指標を視覚化。会計指標とサブスクリプションに関するデータを統合し、共通の契約や行動をもとにサブスクライバーをセグメント化して、収益化のための機会を明らかにする。
予算スコアリングでは、サブスクライバーの解約の可能性を特定し、前もって解約の予測を行うことで、契約継続のための行動を優先化する。導入する場合には、長期的な導入作業は必要とせず、すぐに利用を始められるとした。
なお記者会見には、自らソフトウェアを開発し、ハードウェアビジネスからソフトウェア企業への転身を実践しているGE Digitalから、Predix Platformの製品マネジメントを統括しているGytis Barzdukas氏が登壇。
「現在は第3のインターネット世代を迎え、消費者が大きく変わっている。GEは古い会社だが、新しい時代に進むために第3世代インターネットに対応すべく、センサーからあがるデータによって新しいビジネスを始めている。かつて企業はERPを使ってアセット管理のインテリジェンス化を実現した。現在はデジタルデータを活用した、オペレーションインテリジェンス化が始まっている。その際に新しいシステムが必要になるが、Zuoraが中心的なプラットフォームとして機能している」と述べ、インダストリアルインターネットに、Zuoraのテクノロジーが欠かせない役割を果たしていると強調した。
【お詫びと訂正】
- 初出時、製品名を「Zuora Insight」としておりましたが、正しくは「Zuora Insights」となります。お詫びして訂正いたします。