ニュース

「Slack」日本語版ついに登場

 ビジネスチャットツール「Slack」の日本語版が登場した。ローカライズにあたり、UIの日本語化や国内カスタマーサポートの提供、円建てによる請求書発行の対応、PC/Web版に「メッセージ送信ボタン」の追加など、“日本人の期待に応えた設計”になっているという。

「メッセージ送信ボタン」をPC/Web版に追加。デフォルトでは送信ボタンのほか、Ctrl/Command+Enterキーで送信することも可能
スマートフォン版の日本語UI
既存ユーザーは環境設定画面から日本語版へ変更することも可能だ

 日本語版の提供に至ったのは、ユーザーから多数要望が寄せられたこと、また、現地法人設立前から日本が世界3番目の市場規模に達していることだと、米Slack Technologiesのロバート・フラティ氏(バイスプレジデントセールス&カスタマーサクセス)は語る。

 日本では「働き方改革」の実現に向けた取り組みを推進する動きもあり、業務効率の改善につながるサービスの1つとして個人・企業で採用されることで、多くのユーザーを獲得できたのではないかと同氏は分析する。実際、社内の一部で導入して好評を得たため、全社で展開するといった事例もあったそうだ。

 例えば、株式会社ディー・エヌ・エーではエンジニアリングチームから普及し、現在はグループ企業を含めた全社デフォルトの社内コミュニケーション/コラボレーション基盤になっているという。同様の事例はほかにも多く確認されたため、ユーザーがより使いやすくなるための“日本語完全対応”を目指し、これまで準備に時間を費やしてきたそうだ。

 「使い勝手の悪い状態を維持するのではなく、これまでの成功を元に投資を進めることで今後のユーザーの成功に貢献していきたいと考え、(日本語版の提供が)今のタイミングになった。」(フラティ氏)

米Slack Technologiesのロバート・フラティ氏(バイスプレジデントセールス&カスタマーサクセス)

 Slackには、無償プランのほか、有償の「スタンダード」「プラス」「エンタープライズグリッド」をラインアップする。エンタープライズグリッドは、複数のSlackワークスペースを連携させることが可能なプランで、大企業での社内コラボレーションに適している。国内企業では、ディー・エヌ・エーやDMM.comなどが同プランを採用しているそうだ。部門を超えたプロジェクトを円滑に進めるには「メールでは役不足になるため、生産性を高める上でSlackのようなツールが欠かせない」と米Slack Technologiesの熊谷喜直氏(シニアアカウントエグゼクティブ)は述べる。

Slack Technologiesの熊谷喜直氏(シニアアカウントエグゼクティブ)。日本語版を開発するにあたり、英語独特の表現を翻訳するのに苦労したそうだ

 Slackの全世界での月間アクティブユーザーは現在1000万人に達する。人気を獲得できた理由として、フラティ氏は同社がミッションドリブンな企業であり、Slackのみを専業にしていること、多数の企業で導入されるように既存ユーザーから気に入られていること、さまざまなツールとの連携を実現するプラットフォームであることを挙げる。

 日本における今後の展開の目標は、世界3番目の市場規模を継続させること。また、「ユーザー数が来年までに2倍に増加することに期待する」としている。