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NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進

 エヌビディア合同会社は7日、仮想GPUソリューションに関する説明会を開催した。

 これまでのNVIDIAのGPUユーザー層であるCAD、3Dグラフィックスソフトのユーザー、ディープラーニングやHPC分野での利用に加え、新たなターゲット層としてWindows 10をVDI環境で利用するユーザーをターゲットに販売を進める。

 これは、「Windows 10は、Windows 7に比べグラフィックリソースの使用が30%増加している。大量にWindows 10を導入したユーザーから、『VDIがサクサク動かなくなった』という声があがるようになった。仮想GPUテクノロジーによって、この問題を解決できることから、Windows 10をVDI上で利用する企業、学校などに販売していく」(エヌビディア エンタプライズ事業部ビジュアライゼーション部 部長の田上英昭氏)という狙いによるもの。

 今回の説明会では、あらためてNVIDIAの仮想GPUソリューションを説明し、9月にリリースしたソフトウェアの最新版「GRID 5.0」など最新の技術動向を紹介した。

NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 仮想GPUソリューション
仮想GPUソリューション
NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 エヌビディア エンタプライズ事業部ビジュアライゼーション部 部長の田上英昭氏
エヌビディア エンタプライズ事業部ビジュアライゼーション部 部長の田上英昭氏

グラフィックリソースの消費が増えたWindows 10

 Windows 10は、Windows 7に比べグラフィックリソースを大幅に消費する仕様となっている。「Windows 7と10とのフレームバッファを比較したところ、10はアイドル時でも最低256MBのフレームバッファが必要となってくる。GPUがない状態で動画再生を行った場合には、CPUに高い負荷がかかり、余裕がない状態となる。動画を使って商品説明を行うといった作業を行う場合には、作業が円滑に進まないといった事態が起こる可能性がある」(田上氏)という。

 ビジネスで日常的に利用するWindows用ソフトについても、グラフィックリソースを多く消費するものが増えていることから、VDI環境でのWindows 10利用には仮想GPUテクノロジーの利用を呼びかけていく計画だ。

 「大学などの教室でさまざまなソフトを利用する場合には、管理の容易さなどからVDIを導入するケースが増えている。授業でCAD、グラフィックソフトなどを利用している場合はもちろん、Windows 10マシンを大量導入している場合に、円滑に動作する仮想GPUソリューション導入メリットをアピールしていきたい。同様に、企業向けにもWindows 10をVDIで利用する場合には、スムーズに作業を進めることができる点をアピールしていきたい」(田上氏)と、マーケット拡大に意欲を見せている。

 また、NVIDIAの仮想GPUテクノロジーを利用すれば、従来はVDI化が困難であったグラフィックスワークステーションも仮想化できる。通常のVDI導入メリットであるリソースの集約、集中メンテナンス、セキュリティ強化、BYOD、ロケーションフリーなどに加え、CAD、3Dグラフィックスソフト、医療画像などのハイエンドグラフィックスアプリケーションを、GPUを搭載していないクライアント機で利用できることがメリットとなる。

 「通常のデスクトップPC、ノートPCだけでなく、iPad、シンクライアントなどでもハイエンドグラフィックスアプリを利用可能とする点が大きな特徴となっている」(田上氏)。

NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 通常のVDI
通常のVDI
NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 仮想GPUテクノロジー
仮想GPUテクノロジー

 仮想GPUテクノロジーを最初に提供したのは2013年で、シトリックスのテクノロジーに対応したものから。2015年にはVMware版の提供を開始している。現在は提携するベンダーは大きく拡大し、マイクロソフト、アドビ、オートデスク、ニュータニックスに加え、主要クラウドであるAWS、Google、IBM Bluemix、Microsoft Azureなどにも対応している。

 「当初、仮想化ソフトは無償で提供していたが、提携企業が増加し、仮想化ソフトがダウンすることによる影響が大きくなった。当社としても責任を持ってサポートしていく体制を取る必要があることから、現在は有償で提供している」(田上氏)。

 サーバー側に搭載するエンタープライズ向けGPUは、スタート段階ではKepler世代のK1、K2だったが、2014年ごろからMaxwell世代のM10、M60、さらにPascal世代のP6、P4、P40、P100を提供。用途、規模によって最適なGPUを選択することができる。

NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 GPUアーキテクチャのコードネーム
GPUアーキテクチャのコードネーム

 またNVIDIA GRIDソフトウェアは、次の3タイプのエディションを提供している。

1)RDSHソリューションを使って高性能のWindowsとアプリケーションを配信する「NVIDIA GRID 仮想アプリケーション」
2)仮想デスクトップでWindowsアプリケーション、ブラウザ、HDビデオを高速化し、Windows 10がVDI環境で快適に利用できる「NVIDIA GRID 仮想PC」
3)3D CADやプロフェッショナルなグラフィックソフトなどのアプリケーションを、あらゆるデバイスに配信する「NVIDIA Quadro仮想データセンターワークステーション」

NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 GRIDソフトウェアの種類
NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 GRIDソフトウェアの種類
GRIDソフトウェアの種類

 ソフトウェアライセンスとしても、年間サブスクリプションによる支払い、永久ライセンス+サポート更新保守契約での支払いの2つの形態を提供している。

 サポートは英語でのグローバルサポートに加え、電子メール、電話サポートは日本語でのサポートも用意した、

 なお、9月にリリースしたGRID 5.0は、Pascal世代のGPUをサポートし、CUDA/OpenCLのvGPUに対応した。機能としてもモニタリング機能、ライセンスサーバー機能が強化されている。モニタリングツールも拡充し、大規模展開のデータセンターで、エンド・ツー・エンドモニタリングや、既存のVDI管理インフラとの統合なども実現しているとのことだ。

NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 ソフトウェアライセンス
ソフトウェアライセンス
NVIDIA、Windows 10 VDIユーザーへ仮想GPUソリューションの販売を推進 GRIDソフトウェアの変遷
GRIDソフトウェアの変遷