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サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進

 サイバートラスト株式会社は24日、IoT事業に関する戦略説明会を開催。ARM、Taisys Technologies、大日本印刷、日本電気、日本マイクロソフト、ミツフジ、ミルウス、ユビキタス、ラック、ラムバスの10社のパートナー企業とともに、セキュアな環境でIoT機器を提供する「セキュアIoTプラットフォーム」をアピールした。

 なお、同社は2017年10月1日付けで、サイバートラスト株式会社(眞柄泰利社長)、ミラクル・リナックス株式会社(伊東達雄社長)が合併して誕生しており、親会社であるソフトバンク・テクノロジーの阿多親市氏が、合併後の代表取締役社長に就任している。

ライフサイクルを一気通貫で提供するセキュアIoTプラットフォーム

 今回の発表会では、新たな事業として注力するセキュアIoTプラットフォームに関する事業説明と、パートナーとの協業が紹介された。

 セキュアIoTプラットフォームは、これまで認証局ビジネスを展開してきた旧サイバートラストの技術とノウハウと、これまでLinux、組み込み機器向けビジネスを展開してきた旧ミラクル・リナックスの技術/ノウハウ、そしてパートナー企業の技術を結集。IoT機器の誕生段階から廃棄までのライフサイクルを一気通貫で、セキュアなプラットフォームとして提供する。

 旧2社合計の売上は約30億円だが、IoT関連事業の売上はまだ5%程度で、これからの事業立ち上げを目指しているという。

 サイバートラストの代表取締役社長である阿多親市氏は、「IoT機器については、ライフサイクルを通じた一気通貫のセキュリティ環境を用意する必要がある。特に現在は脆弱性がなくても、将来、技術進化によって脆弱性が発見される、組み合わせによってセキュリティの問題が生まれる可能性もあるため、セキュリティパッチをあててアップデートすることが必須となる。さらに廃棄された場合には、証明書を消し込み、その機器を使えなくする技術を用意しておく必要がある。これは自分たちだけで実現することはできない。パートナーと一緒にやっていくことが重要」と述べ、パートナーとともに事業を展開していく重要性を訴えた。

サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 サイバートラストの代表取締役社長 阿多親市氏
サイバートラストの代表取締役社長 阿多親市氏
サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 IoT機器の増加とリスク
IoT機器の増加とリスク

 なおセキュアIoTプラットフォームは、旧サイバートラストが2015年から手がけてきたものだ。同社は1997年、日本で初めて電子認証センターを開局して以来、認証ビジネスを展開してきた歴史を持つ。2016年からは旧ミラクル・リナックスとIoT分野での協業を開始し、2017年3月には共同のIoTソリューションを提供してきたが、合併後、本格的にIoT事業強化をスタートした。

 「2015年、(合併前の)サイバートラスト単独でセキュアIoTプラットフォームを開発した時点では、提供できる機能は認証のみだった。ミラクル・リナックスと一緒になることで、トータルなライフサイクルまで管理する環境を提供できるようになる。2社が合併した新体制となることで、シリコンからトラストゾーンに認証鍵を提供し、さらに運用、破棄までより広義のサポートができる体制になることから、合併を決定した」(サイバートラスト 取締役 上級副社長の眞柄泰利氏)。

サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 合併の経緯
合併の経緯
サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 サイバートラスト 取締役 上級副社長の眞柄泰利氏
サイバートラスト 取締役 上級副社長の眞柄泰利氏

 総務省が試算した世界のIoT機器の市場規模は、2017年だけで200億台。「今後、搭載するチップが進化すれば、プログラムを搭載するスペースが大きくなり、より高度なプログラムが搭載されることになるが、それが結果的に脆弱性を高めることにつながる。IoT機器の耐用年数は、現在のインターネットにつながっている機器よりもはるかに長い年月になるので、セキュリティリスクはより高まることになる」(阿多氏)。

 そこでセキュアIoTプラットフォームでは、チップベンダーとパートナーシップを結び、チップ内の書き換え不可能なセキュアゾーンに共通鍵を書き込み、信頼できる認証が行える基礎作りを実現する。今回の会見には、アーム、ラムバスの2社がパートナーとして登壇。2018年から製品が出荷される見込みだと説明した。

 共通鍵を書き込んだ半導体をIoT機器に搭載し、機器の固有化、証明書のインストールを行った上で製品を出荷するとともに、出荷後もファームウェアの完全性の確認、セキュアブートを実施し、運用段階では無線経由でセキュリティパッチをあてる、アップデートサービスを実現する。製品を廃棄する場合にも、証明書を消し込み、廃棄した製品が悪用されるといったことが起こらないような運用を行う。

サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 セキュアIoTプラットフォーム
セキュアIoTプラットフォーム

10社のパートナー企業が登壇、各社の強みを生かして提携を進める

 今回の発表会には、10社のパートナー企業が登壇したが、提携場面は企業によって異なる。

 組み込み機器のソフトウェア開発を行っているユビキタスとは、シリコンの信頼性を保つための共同開発を行っていく計画。

 ミツフジ、ミルウスはセキュアIoTプラットフォームを搭載した製品を提供するパートナー。ミツフジは繊維メーカーで、健康情報などを計測する衣服を開発しており、2018年のCESでの発表を予定している。ミルウスは電子照明証対応メモリーカード「miParu」を開発し、ここに個人情報を蓄積して、セキュアな環境でのデータ蓄積を実現する計画だ。
 日本マイクロソフトとは、上流工程を構築するパートナーとしてパートナーシップを展開する予定となっている。

 また、ラックはサイバートラストに資本参加し、サービスの連携も実施する計画だ。

サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 10社のパートナーが登壇
10社のパートナーが登壇
サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 Taisys Technologiesの提供するセキュリティモジュール
Taisys Technologiesの提供するセキュリティモジュール
サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 ミルウスが提供する製品
ミルウスが提供する製品
サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 ラムバスのソリューション
ラムバスのソリューション

 「今回の発表には参加していないパートナーとの協業も進めており、今後、セキュアIoTプラットフォームを搭載した事務機器などが登場する予定となっている」(眞柄氏)。

サイバートラスト、IoT機器を誕生から廃棄までサポートする「セキュアIoTプラットフォーム」を推進 パートナー各社との記念撮影も行われた
パートナー各社との記念撮影も行われた