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医療法人社団KNIとNEC、AIを活用した病院経営改革への取り組みを実施

 医療法人社団KNIと日本電気株式会社(以下、NEC)は23日、AIを活用した医療・社会改革に向け、共同で取り組むと発表した。

 KNIではこれまでも、医療分野において高度なICTを活用する「デジタルホスピタルの実現」を推進してきたが、その中で、AIを医療分野に活用するための共創活動をNECと行っており、今回の取り組みもその一環。まず、両者で医療現場の改善個所を検討・抽出し、経営に影響をおよぼす、入院期間の適正化を目的として実証を行ったという。

 具体的には、KNIにおけるカルテ分析の結果、入院患者の約34%に不穏行動(入院患者に起こりうる急性の錯乱状態)が確認されたが、不穏行動を起こした患者は、退院が通常の患者より約19日遅延しており、スタッフの業務負荷増大の一因になっていたことが分かった。

 そこで今回の実証では、患者が着用する時計型センサーから、体温、心拍などのバイタルデータを取得。これらのデータから、AIを活用して特徴を抽出し、NECのAI技術群「NEC theWISE」を活用して不穏行動につながる予兆検知に取り組んだ。その結果、不穏行動の予兆のある患者を、71%の精度で約40分前に未然検知できるようになったとのこと。

 一方で両者は、退院・転院調整を支援するための取り組みも実施した。患者の入院時に、自宅、回復期病院、慢性期病院などの退院先を予測できれば、治療と並行して退院・転院調整を行えるようになる。

 そこで、入院翌日までの情報を活用してAIで分析した結果、退院・転院先を84%の精度で予測できたとのこと。こうして、入院後の早期の時点から退院・転院調整を行うことで、退院待ちの解消、患者の早期社会復帰、ベッドが空くことによる新たな患者の受け入れなどが期待できるとしている。

 なお両者では、2017年12月に開院される北原リハビリテーション病院新棟(東京・八王子市)において、回復期病院の課題解決に向け、今回の実証、およびAIを活用したさらなる取り組みを行う予定だ。