ニュース

NECとFiNC、AIを活用したウェルネスソリューションを共同開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)と株式会社FiNCは4月28日、ヘルスケア領域で協業を開始したと発表した。

 NECはこれまで、従業員の健康増進のため、定期健康診断のデータ分析結果に基づく健康促進施策を日本電気健康保険組合と共同で行ってきた。2016年度からは、NECのAI技術群「NEC the WISE」を活用して、生活習慣病予備群を抽出することで、より高度な疾病予防に努めている。

 一方、FiNCは2014年から、企業向けにスマートフォンを利用して食事・運動・休養といった生活習慣の改善を働き掛け、さらに従業員の健康状態・健康リスクを統計分析し可視化することができるウェルネスサービス「FiNC for Business」を提供している。

 両社は協業により、従業員の健康状態を取得するIoTデバイスおよびNECのAI技術と、FiNCの生活習慣への指導ノウハウと「FiNC for Business」を組み合わせ、新しいウェルネスソリューションの開発を行う。

 ソリューションでは、企業内で従業員の健康状態を把握するために、カメラやウェアラブル端末などのIoTデバイスにより、人の表情、声音、脈拍や体温などの生体情報を取得。「FiNC for Business」のアプリケーションに蓄積された食事や運動などのライフログデータと組み合わせて、AI技術で可視化・分析する。

 両社は共同で、ソリューションの実証実験を2017年6月から6カ月間実施する。NECとFiNC社内の特定保健指導対象者からモニターとして50~100人程度を選出し、本人の同意を得た上で、「FiNC for Business」を使った食事改善などのアドバイスの提供や、BMI値などの数値の改善度を測定し、AI技術で導き出した改善度の予測モデルとの関係性を見出す。また、AI技術による生活習慣病の発症リスク予測および生活習慣病予備群の予測結果から、効果の期待できるモニターの選出を行う。

 これにより、従業員がデータ入力を行うことなく、従来の定期健康診断では困難だった健康状態の日々の変化や健康リスクを捉え、より早い段階での気づきや健康促進に関するタイムリーなアドバイスを行う。

 また、AI・IoT技術を用いた人事・労務向けウェルネスデータ分析マネジメントツール「FiNC Insight」の高度化や、従業員の心身の健康状態及び健康リスクの早期発見につなげるサービスなど、新規サービスの共同研究を実施する。

 両社は今後、「FiNC for Business」の導入企業やNECの顧客企業を中心に、ウェルネスソリューションの共同提案、セミナーの共催、各種プロモーションなどの共同マーケティングを実施。また、企業内だけでなく、全国の医療機関と連携した予後(退院後の治療・療養など)のフォローや、自治体と連携した地域医療連携へのウェルネスソリューションの展開を進めるとともに、両社のさまざまなノウハウやテクノロジー、データなどを組み合わせたヘルスケア分野における新たな価値を提案していくとしている。