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NEC、理研、日本医科大学の3者、電子カルテとAI技術の融合により医療ビッグデータを多角的に解析するマルチモーダルAIを構築

 日本電気株式会社(NEC)、理化学研究所(理研)、日本医科大学の3者は13日、複数の大学病院と共同で、医療分野における電子カルテとAI技術の融合研究を進め、前立腺がんを対象に医療ビッグデータを多角的に解析するマルチモーダルAIを構築したと発表した。

 研究では、医療ビッグデータの多角的な解析に向け、従来の医療AIシステムは単独の検査データを対象とするものが多く、複数の検査データを利用して統合的に判断することが難しいという課題に対して、マルチモーダルAIを構築。複数の検査データを同時に解析することを可能とした。

マルチモーダルAI解析、複数の検査データを統合的・多角的に解析

 研究において、日本人男性に最も多いがんの一つである前立腺がんを対象に、手術前の電子カルテデータや病理生検画像などを用いたマルチモーダルAI解析を実施したところ、手術後から再発までの年数によってAIが捉えた予測因子のパターンに違いが見られることが分かった。この結果は、がん再発までの年数によって再発メカニズムが異なる可能性を示唆しているという。

 さらに、生成系AIにも使われる機械学習技術を応用した次元削減の改良や、AIが捉えた予測因子の多次元的な最適化を行うことで、既存手法と比べ、手術から5年後までの再発予測の精度を約10%向上でき、今後、さらに対象データを拡大して実用化に向けた検証を進めていくとしている。

 3者はこの成果を基に、NECが保有する電子カルテをベースとした各種データを統合するプラットフォーム技術、理研が開発した広範囲画像解析技術や特徴選択などを活用したマルチモーダルAI、そして日本医科大学をはじめとする複数の大学病院の医師による信頼性の高い検証データを組み合わせ、各種医療データを多角的に解析する医療AIシステムの実用化を目指す。

 この医療AIシステムにより、治療計画の最適化や疾患の早期発見、データの安全な運用が可能となり、治療期間の短縮による医療費の削減や、医療従事者の業務負荷の軽減と効率化が期待されるとしている。