仮想化道場

苦難の2013年を越え、輝かしい2014年に賭けるAMD (輝かしい2014年に向け、省電力APUで新しいサーバー分野を切り開く)

Opteron Xの後継、サーバー向け64ビットARM、現行Opteronの後継の3ラインを提供へ

輝かしい2014年に向け、省電力APUで新しいサーバー分野を切り開く

 その意味で注目したいのは、Opteron Xの後継プロセッサとなる開発コード名「Berlin(ベルリン)」だろう。

 現行のOpteron Xは、モバイル用のKabiniを流用しているため、Jaguarコアを4つ搭載していた。しかしBerlinは、次世代のSteamrollerコアを4つ搭載したプロセッサになっている。さらに、BerlinはAPUとなっているため、GPU部分も搭載されている(製造プロセスは28nm)。

 統合されるGPUの世代に関しては明確にされていないが、Opteron Xで採用されたHD8330(デスクトップではHD7900世代)と同じGPUコアが採用される可能性が高い。ただし、Opteron Xは、128個のGPUコアを搭載していたが、Berlinでは512個のGPUコアを搭載する予定で、コア数が4倍になっている。

 AMDではBerlinについて、パフォーマンス/ワット性能では、現行のハイエンドモデルであるOpteron 6386SEに比べると7.8倍になると説明している。

 また特に注目すべきは、Berlinが、サーバープロセッサにおいて初のHSA(ヘテロジニアス システム アーキテクチャ)を採用した製品になること。つまりBerlinは、GPUとGPUが同一のメモリ空間に均一的にアクセスできる、hUMA(ヘテロジニアス ユニファイド メモリ アクセス)アーキテクチャをサポートする製品となる。サポートされるメモリ容量も、現行Opteron Xの2倍の64GBになる予定だ。

 なおBerlinは、全く新しいプロセッサと紹介されているが、基本的にはデスクトップ向けのAPU「Kaveri(開発コード名)」をそのままサーバー向けに流用しているといえる(Kaveriの省電力版)。

 リリースに関しては、2104年の上半期を予定している。デスクトップ向けのKaveriが2014年の春以降といわれているため、Kaveriと同じタイミングでBerlinも発表されるだろう。

AMDは、省電力性にすぐれたx86APUと64ビットARMプロセッサを提供する。さらに、高密度サーバーをSeaMicroから提供
BerlinはSteamrollerコアを4つとGPUコアを統合したAPU。デスクトップ向けのKaveriを流用。APUと周辺チップ(System Controller Hub)の2チップで構成
x86 APUのBerlinは、Opteron Xの約7.8倍の1Wあたりのパフォーマンスを実現する。HASを採用した初めてのサーバープロセッサだ

 Berlinは、HPCで必要とされているGPGPUを本格的に利用できるサーバー向けプロセッサとして注目されるだろう。HPの高密度サーバーMoonshotなどで採用されれば、1台のサーバーに40個ほどのプロセッサ(全体で160コア)、2万480個のGPUコアを持つサーバーが実現する。

 これなら、HPCクラスタとしてある程度の性能を持つサーバーとなるだろう。最先端のスーパーコンピュータには追いつかないが、コストパフォーマンスを考えれば、GPGPUを使った新しい分野のサーバーとして定着するかもしれない。

BerlinやSeattleは、今後成長するクラウドやビッグデータに向けたサーバー プロセッサ。Warsawは、既存のサーバー用途に向けたプロセッサ
クラウドの登場がサーバーに要求される機能が変わっている。パフォーマンスよりも、低消費電力性が重視されている
タブレットやスマホなどの新しいデバイスの登場が、クラウドで必要とするサーバー数を爆発的に増大させる

(山本 雅史)