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富士通の2026年度第1四半期連結業績、営業利益は56.9%増 Uvanceとモダナイゼーションビジネスが成長を牽引
2026年7月31日 00:00
富士通株式会社は30日、2026年度第1四半期(2026年4月~6月)連結業績を発表した。それによると、売上収益が前年同期比3.9%増の7793億円、営業利益は同56.9%増の525億円、調整後営業利益は同56.4%増の549億円、税引前利益が同60.4%増の594億円、当期純利益が同76.6%減の401億円となった。
富士通の磯部武司副社長 CFOは、「Uvanceとモダナイゼーションビジネスが成長を牽引し、採算性改善もしっかりと進捗している。2026年度も増収増益でスタートした。計画通りの進捗である」と総括した。
セグメント別の業績
セグメント別業績では、サービスソリューションの売上収益が前年同期比6.7%増の5489億円、調整後営業利益は同31.3%増の628億円となった。調整後営業利益率は2.1ポイント改善し、11.4%となっている。
「サービスソリューションは、Uvanceおよびモダナイゼーションを中心に伸長。エンタープライズは製造、パブリックは金融、自治体、公営競技、防衛と幅広く増収になっている」とした。
サービスソリューションにおける採算性改善によって、利益増は78億円となり、2026年度第1四半期のグロスマージン率は前年比1.5ポイント改善して37.2%となった。「持続的な採算性改善が進んでいる」と自己評価した。
採算性改善では3つの取り組みがあるという。
ひとつめは「Oneデリバリ体制の進化」である。顧客への提供価値最大化に向けて、従来のJGGおよびGDCに、お客さまフロントSEを加えて、大きく強いデリバリへとさらに進化したという。
2つめは、「AIドリブンデリバリ」だ。開発プロセスの標準化、自動化を加速。工期の短縮やサービス品質の向上にも大きく貢献しているという。
「SIプロジェクトのほぼすべてにおいてAIを活用し、裾野を拡大。現在は、個々のプロジェクトにおいて、適用の深掘りを進めるステージに入っている。工程範囲の拡大だけでなく、大きな生産性向上が狙えるプロジェクトを特定し、AI適用スキルが高い人材を集中的に投入して、効果の深堀りを実現する『AIトップガンプロジェクト』を開始している。AIエージェントを活用した開発により、生産性の大幅向上を実現し、そのノウハウを横展開することで、スピードとスケールによる価値創出を目指す」という。
2026年7月からは、「AIドリブンモダナイゼーションサービス」を商談に展開。マルチAIエージェントによる最先端AI技術の活用と、富士通の専門エンジニアの知見をかけあわせて、移行期間の40%短縮を実現した成果も出ている。
3つめは、「プライシング戦略」であり、人月型から提供価値ベースのプライシングへの移行を図っている。「アウトカムがどれだけ出せたかがベースになる。お客さまと富士通の双方が納得感を持った形で、サービス提供につなげていくことが大切である」と述べた。データ量およびコード量ベースの従量型や、成果報酬型などへの移行を図っているほか、オファリングビジネスの拡大にも注力。付加価値が高い自社IPによるUvance Vertical商材の拡大も図っている。すでに、Uvance Verticalの25~30%がリカーリングビジネス化しているという。
磯部CFOは、「持続的な生産性改善には、これらの3つの取り組みが不可欠だが、特に、AIドリブンデリバリのポテンシャルが高い。最も重要な取り組みに位置づけている」とした。
サービスソリューションのうち、Uvanceの売上収益は前年同期比31.0%増の1922億円となり、サービスソリューション全体に占める売上構成比は、前年同期の29%から35%に拡大した。
内訳は、Verticalの売上収益が前年同期比47%増の734億円(前年同期実績は498億円)、Horizontalの売上収益は同23%増の1188億円(同969億円)。また、Uvanceの受注高は、前年同期比51%増の1933億円となった。
「2025年度にリリースしたUvance for FinanceやUvance for Retailなどの受注が好調であり、力強い伸長となっている。2026年度通期では、Uvance全体で前年比18%増の8400億円を目指しているものの、これを上回る伸長を期待している」と、さらなる事業拡大に意欲を見せた。
モダナイゼーションの売上収益は同29%増の949億円となった。そのうち、Uvanceとの重複部分を除いたサービスでは、前年比5.4%増の544億円となった。受注高は同23%増の916億円となっている。「2026年度は前年比20%増の4700億円を目指している。AIドリブンのモダナイゼーションを拡大し、さらなる品質向上や移行期間の短縮を図ることで、自社製品のモダナイゼーションにとどまることなく、ビジネス拡大を目指す」と述べた。
サービスソリューションのサブセグメント別内訳では、エンタープライズ(自動車、製造、流通、小売など)の売上収益は前年同期比7.8%増の2130億円、調整後営業利益は同12.0%増の193億円。そのうち、国内の売上収益は同7.6%増の1732億円、海外の売上収益は同8.5%増の397億円となった。
「国内では自動車や組立、化学などの製造分野を中心に幅広く伸長。ブレインパッドやGK Softwareの統合効果も増収に寄与している。採算性改善も進んでいる」という。
パブリック(官公庁、自治体、防衛、金融、ヘルスケアなど)の売上収益は同6.0%増の3359億円、調整後営業利益は同42.1%増の434億円。そのうち、国内の売上収益は同7.5%増の2363億円、海外の売上収益は同2.6%増の996億円となった。
「国内は金融、自治体、公営競技、防衛など、全方位で伸長している。海外は、為替影響がプラスに働き、実質ベースでは前年並となっている」という。
国内サービスソリューションの受注状況は、全体では前年同期比10%増となった。そのうち、契約期間が複数年に及び、1件当たり25億円以上の大型商談受注額を直近12カ月の引き渡し額に置き換えた「引き渡しベース」では8%増となった。
分野別では、エンタープライズが前年同期比1%増、引き渡しベースでも同1%増となった。そのうち、製造(自動車、組み立て、化学ほか)が同6%増となり、流通(小売、商社、食品ほか)が同4%減となった。「製造は、広い範囲で強いデマンドが継続している。DXやモダナイゼーションが中心だが、AIを組み込んだ付加価値が高い商談が増えているほか、次世代システム基盤としてソブリンクラウドの受注獲得もあった。流通は前年同期にあった大型商談の反動により下回ったが、デマンドや受注獲得は高い水準で推移している。製造および流通では、ともに注残と確度の高いパイプラインが2桁伸長で積みあがっている。第2四半期以降の受注拡大も期待している」とし、ITに対する旺盛なデマンドが継続していることを強調した。
パブリックは、前年同期比14%増、引き渡しベースでは11%増。そのうち、金融(銀行、証券、保険ほか)は同9%減、パブリック&ヘルスケアは同15%増、ミッションクリティカル・ナショナルセキュリティは、同39%増となっている。「金融ではメガバンク向けの基幹システム商談の反動があったが、自治体システム標準化や大学向け教育DX、医療DXに対するデマンドが高い。着実に商談獲得が進んでいる。ミッションクリティカル・ナショナルセキュリティでは、防衛関連で大型案件の獲得があり、前年度の2桁伸長をさらに上回る実績になっている」と述べた。
ソブリンクラウドについては、「規模の大小はあるものの、第1四半期には、民間企業からの受注も獲得している。DXにAIが組み込まれるようになり、モダナイゼーションの際にも、ソブリニティを意識してクラウド化する商談が出てきている。今後、こうした商談が増えていくだろう」と語った。
ハードウェアソリューションの売上収益は前年同期比4.5%増の2112億円、調整後営業利益は前年同期から50億円減のマイナス37億円の赤字。そのうち、システムプロダクトの売上収益は同4.7%増の1750億円、ネットワークプロダクトの売上収益は同3.3%増の361億円となった。
「システムプロダクトは、売上構成変化に伴う利益率の低下に加えて、メモリなどの部材価格上昇の売値への転嫁に、若干の時間差が生じて減益になった。また、国内では、前年同期の高採算性の大口商談の反動があった。ネットワークプロダクトは国内向け基地局を中心に増収となったが、赤字である」とした。
なお、部材コスト変動に対しては、新規受注分から、タイムリーに売値へと転嫁ができる契約へと変更。部材コスト変動による年間でのマイナス影響は軽微になると見ている。
ユビキタスソリューションの売上収益は前年同期比28.1%減の344億円、調整後営業利益は同45.8%減の44億円となった。前年にあったWindows10サポート終了に起因する更新需要や、金融機関向けロット商談の反動があった。
なお、消去・全社は、調整後営業利益は、136億円増加したものの、マイナス86億円となった。本社がある川崎地区の「Fujitsu Technology Park」の再開発に伴い、一部土地区画の売却益として100億円強を計上。一方で、フィジカルAIや次世代CPU、量子コンピュータなどのテクノロジー開発への投資が増加した。開発投資は、年間で200億円程度増加させる考えを示した。
富士通では、2nmプロセスを採用した「FUJITSU-MONAKA」の提供開始を2027年に予定しているが、「2026年度中には一部の先行ユーザーに対して提供を開始する。すでに試作機が完成しており、国内トップ企業を中心に30社との事業機会が見え始めている。そのうちの半分の企業には、2026年度から試用機を提供し、検証を開始する」としたほか、「パートナーとの連携を含めて、日米欧を中心に拡販していくことになる。2029年度には、次世代のFUJITSU-MONAKA-Xの投入を計画しており、間もなくお披露目できる」とも述べた。
一方で、2026年度(2026年4月~2027年3月)の業績見通しは据え置き、売上収益は前年比0.2%増の3兆5100億円、営業利益は同19.1%増の4150億円、調整後営業利益は同8.8%増の4250億円、当期純利益が同31.0%減の3100億円、調整後当期利益は同7.3%増の3200億円とした。「過去最高益の更新を目指す」と述べた。











