大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

リーダーにはメジャーリーガー級を起用? Dell SecureWorksがこれから日本で大暴れする理由

今後も200%増の成長を

 その一方で、モルツ氏は、日本における課題を次のように示す。

 「まず感じたのは、日本におけるDell SecureWorksの認知度がまだまだ低いという点。さらに、日本の企業が、セキュリティに対する認識が低いことも感じた。そのため、営業、マーケティング、SOCなどの体制を強化することに力を入れ、日本市場に対する啓発活動からはじめていきたい。また、日本のセキュリティサービス市場は、グローバルプレーヤーの参入が少なく、中小規模の独立系セキュリティ会社が中心であるという市場環境も特徴。Dell SecureWorksが持つグローバルでの知見を生かし、ここにも切り込んでいきたい」とする。

 モルツ氏は、すでに日本での活動を積極的にスタートしている。日本のユーザー企業への訪問を開始し、Dell SecureWorksの説明とともに、セキュリティに対する認識をさらに高める必要を訴えているという。

 「ソニーがサイバーアタックを受けた事例は、日本の企業にとっても、情報セキュリティを再認識するきっかけになったといえる。自分の企業はどうしたらいいのかという会話になることが多い」という。

 また、「日本で事業を拡大するためには、信頼を勝ち取らなくてはならないということを強く感じた。まず、日本における最初のゴールは、高い専門知識を持った人材を確保し、教育し、実行する体制を整えることにある」とする。

 もちろん、数値目標もある。

 ウィンクラー氏は、「日本では事業を開始してから約1年の実績があるが、前年比で200%増の成長を遂げている。今後も200%増の成長を遂げていきたい。これはすでに米国市場において、ジェフがあげてきた実績と同じ。そして、2003年当時のSecureWorksと、いまのSecureWorksとは勢いがまったく違う。日本ではより大きな成長が期待できるだろう」と語る。

 一方で、Dell SecureWorksは、欧米において、金融機関の顧客を数多く抱えており、日本においてもそうした市場に踏み出していきたいとする。また、大手企業が多い製造業などにも展開していく姿勢をみせる。だが、基本姿勢はあらゆる企業が対象だ。

 「サイバーアタックは、業種を問わず、あらゆる企業に向けて行われている。金融データや個人データ、知財情報などは、どの企業も持っているものであり、言い換えれば、すべての企業がサイバーアタックを受ける可能性があり、情報が漏えいする可能性があるといえる」とウィンクラー氏は指摘。

 「Dell SecureWorksは、SOCをはじめとして、全世界がつながっており、ここでの知見の蓄積は、他社とは比較にならないほど、大きなものだ。これを日本で生かすことができる。日本の企業のIT資産の保護、法令の順守、セキュリティコストの削減を支援していくことができる」とする。

SecureWorksではその事業成果などを社内で紹介するコーナーを用意している

(大河原 克行)