大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

リーダーにはメジャーリーガー級を起用? Dell SecureWorksがこれから日本で大暴れする理由

 デルのセキュリティ運用管理サービス「Dell SecureWorks」の日本で展開が、さらに加速することになりそうだ。2015年1月から、日本市場担当ジェネラルマネージャーとして、ジェフ・モルツ氏が就任。エグゼクティブチームにも参加する同氏が日本に常駐することで、日本におけセキュリティビジネスに、一気にドライブがかかると見込まれるからだ。

 なぜ、Dell SecureWorksは、モルツ氏を日本に送り込んだのか。Dell SecureWorksの創業の地でもある米国アトランタを訪れ、Dell SecureWorks グローバル&マーケティング担当バイスプレジデントのタイラー・T・ウィンクラー氏、日本に赴任したDell SecureWorks Japanのジェフ・モルツ ジェネラルマネージャーに、Dell SecureWorksの取り組みと、日本における今後の戦略について聞いた。

Dell SecureWorks グローバル&マーケティング担当バイスプレジデントのタイラー・T・ウィンクラー氏
Dell SecureWorks Japanのジェフ・モルツ ジェネラルマネージャー

25万以上のデバイスを監視、一日1100億件のログを収集

 SecureWorks(現・Dell SecureWorks)は、1998年に独立系セキュリティプロバイダーとして、アトランタで創業。2006年にはマネージド・セキュリティ・サービスのLURHQを買収、2009年にはVeriSignのマネージドセキュリティ部門の買収を通じて、事業を拡大してきた。2011年には、Dellに買収され、現在、Dell SecureWorksのブランドで事業を展開している。

アトランタのSecureWorksが入る建物

 そのDell SecureWorksは、企業に対するセキュリティサービスを専門に提供。デルが推進してきたソリューションプロバイダーへの変革において、重要な役割を果たしてきた。

 現在、同部門が提供しているのは、

1)セキュリティ管理技術の認定資格を持つセキュリティ専門家によって運用されるSOC(セキュリティオペレーションセンター)を通じ、24時間365日でのセキュリティ監視を行う「マネージド・セキュリティ・サービス」
2)ネットワークへの侵入検査のほか、クラウドセキュリティやモバイルセキュリティを提供する「セキュリティ&リスク・コンサルティング(SRC)」
3)脅威の解析やマルウェアの分析などを行う「スレット・インテリジェンス」
4)インシデント対応やデジタルフォレンジック調査などを行う「インシデント・レスポンス」

の4つのセキュリティサービスだ。

Dell SecureWorksのサービスメニュー

 全世界の社員数は1600人。1000人以上のセキュリティおよびコンプライアンスの専門スタッフを擁し、米国のアトランタ、シカゴ、プロビデンス、英国のエジンバラと、日本の川崎の全世界5カ所に、セキュリティオペレーションセンター(SOC)を開設。25万以上のデバイスを監視することで、一日1100億件のログを収集している。

 また、サイバーセキュリティの問題となる80億件を、独自のエンジンを活用して解析し、そのなかから、重大なインシデントとして検知されるのが、一日平均4000件強になるとのこと。これらの脅威に関する重要な情報を、専門のアナリストが直接確認し、分析結果のレポートや、対応策をサービス提供する仕組みを構築している。

 また、Counter Threat Unit(CTU)と呼ぶ研究組織を持ち、サイバーインテリジェンスに詳しいスタッフが、脅威の首謀者の特定や、情報を盗む技術について調査。その対策も提案する。この組織には、米国政府や米軍などで、情報セキュリティ対策に取り組んでいた人材などが参加しているのも特徴だ。

セキュリティ脅威を、グローバル規模で可視化する仕組みを整えている

 Gartnerが発表しているMagic Quadrantでは、セキュリティ運用サービスにおいて、リーダーとして最も高いポジションにリストされており、「そのポジションは、年々高まっており、2位以下との差が広がっている」(ウィンクラー氏)と、その評価に自信をみせる。

 ビジョンとして、「情報セキュリティサービスで世界のリーダーに」なることを掲げ、ミッションには「優れた情報セキュリティサービスによりお客さまを保護する」ことを打ち出す。

 「日々、われわれが心がけていること、そして提供する価値とは、最上品質の優れたサービスを提供すること、常に正しいことをする誠実なビジネスであること、迅速に有言実行し、信頼されるパートナーであること、お客さまにかかわる課題やアイデアはすぐに明らかにして実行する、オープンかつ実直なコミュニケーションを構築すること、ブレイクスルーや新たなアイデアによって評価を獲得する革新性に取り組むことである」と、モルツ氏は語る。

 日本においては、2013年からDell SecureWorksの提供を開始。デルの郡信一郎社長は、「Dell SecureWorksに関しては、これまでは英国が最も早い成長を遂げてきたが、日本はその3倍の速度で成長している。日本における事業拡大が急速な勢いで進んでいる」と語る。

 ウィンクラー氏も、「日本の市場に対して多くの投資を行っていくつもりである。日本は大規模な市場であり、大きなチャンスを持った市場である。そして、日本は、デルが長年事業を行い、実績を持った国でもある。Dell SecureWorksが事業を拡大するための基盤が整っている」と、これからの見通しを話した。

(大河原 克行)