大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

リーダーにはメジャーリーガー級を起用? Dell SecureWorksがこれから日本で大暴れする理由

競合ベンダーとの違いは?

 セキュリティサービスでは、IBMやベライゾン、シマンテック、AT&Tなどがグローバルで事業を展開。IBMでは、Tokyo SoCを設置して、日本におけるサイバーセキュリティに関する監視活動を強化している。

 「Dell SecureWorksは、監視するだけでなく、セキュリティサービスを提供している。そこがIBMとの大きな違い。また、あらゆるベンダーのシステムを監視できるという点も違う。蓄積している知見には大きな差がある」と、ウィンクラー氏は胸を張る。

 現在、日本においては、Dell SecureWorksが提供する「マネージド・セキュリティ・サービス」、「セキュリティ&リスク・コンサルティング(SRC)」、「スレット・インテリジェンス」、「インシデント・レスポンス」の4つのサービスはすべて提供しているものの、このなかの細かいサービス内容をみると、すべてのサービスを提供しているわけではない。だが、その一方で、日本独自のサービスが開始されているとも語る。

 「日本では、高い品質のサービスが求められている。いや、他国とは比較にならないほど、突出したサービスレベルが求められているといった方がいい。それを提供できる体制を整えていく。ここには今後も力を注ぎたい。一方で、コンサルティング、教育などを含めたトータルソリューションを提供しているのは、Dell SecureWorksだけである。それを低コストで導入できるメリットも大きいだろう。変化する攻撃に対して、迅速な対応を図るためには、適切な技術、人材、プロセスが密接に連携している必要がある。世界トップクラスの情報セキュリティサービスにより、あらゆる規模の組織に対して、効果的なセキュリティサービスを、継続的に提供していく」(モルツ氏)とする。

ビジョンやミッションについて説明するモルツ氏

 そして、今後の日本におけるDell SecureWorksの事業拡大に向けては、パートナーとの連携が重要になるともいえる。

 「デルもある意味、パートナーの1社。私は、日本に赴任して、最初の2週間はパートナーばかりを訪問した」と、モルツ氏は語る。「そして、その1社がデルの日本法人である」とも語る。

 パートナーの現場、顧客の現場に足を運ぶのがモルツ氏の手法。「私の仕事は外に行くことだ」とモルツ氏。それは日本でも変わらないようだ。そして、日本を拠点として、世界に向けて発信するセキュリティエバンジェリストとしての活動も継続する考えだ。

 「Dell SecureWorksが、日本に本気になって参入したのは、日本の企業のセキュリティのリスクを最小化することだけが狙いではない。本当の狙いは、日本の企業のビジネスリスクを最小化することにある。企業によってビジネスリスクの価値は異なる。自らの企業が考えるビジネスリスクをもとに、どれだけセキュリティに投資すればいいのかを導き出すことが必要。それをメソッドとして提案し、最適なセキュリティ投資を提案できるのがDell SecureWorksの特徴である」とモルツ氏は語る。

 「日本の市場に対しては、われわれはこれからもコミットしていく。人材をしっかりと確保し、サービスの拡大に努めたい」と、ウィンクラー氏も異口同音に語る。

 日本市場に本格展開する姿勢をみせたDell SecureWorks。日本におけるその存在感は一気に高まる可能性がある。これからどんな成長を描くのか。日本におけるセキュリティ運用管理サービスの勢力図に変化が起きることになりそうだ。

大河原 克行